1.プロローグ
「■■■ッ■■■■■!■■ミドリ!■■■■■■■■■ッ■!」
---------自分の名前を呼ぶこの男は誰だろうか。---------
「■■■■■■■ミドリッ!■■■■■ッ■!」
---------鎖に繋がれた男はがなりたてる。---------
(ここは一体どこ……?確かさっきまで家でゲームをしてたような……?)
暗い部屋の中で後ろには鎧やらローブやらを着た男が数人立っており、足元には魔方陣のような模様が光輝いている。
「えーと、ここは一体どこで、どういう状況でしょうか……?」
「それは後程説明します勇者ミドリ。まずは部屋を移動しましょう。」
ローブを着た男がそう答え優しく微笑む。
「あ、はい」
訳がわからないながらも、男の促すままに部屋を出る。
(勇者ミドリ?聞き間違いじゃなきゃそう言ってたような……。もしかして異世界召喚ってやつじゃ?イヤイヤそんなまさかね……)
そんなことを考えながらも廊下を歩いていると男が立ち止まり部屋に入るよう促す。
「ではミドリ様、こちらの部屋にお入りください。現在あなたの置かれている状況などは私から説明させて頂きます」
部屋に入ると3~4人は座れそうな大きさのソファへと勧められる。ミドリがソファーの端に腰掛けると向かいに男たちも腰掛け、ローブの男が口を開く。
「ではまず自己紹介からしましょう。私はキース、職業は賢者で魔法や薬学の研究を生業としています」
ローブを着た男は端正な顔立ちで微笑みながら簡潔に自己紹介を済ませる。手には複数の指輪少し過剰気味に嵌められており、温和な表情は優しさと知性を感じさせる。
「自分はギルバートと申します。職業は聖騎士で普段は神殿での警備をしております」
キースに続き鎧の男も簡単な自己紹介を済ませる。大柄な体格に好青年という言葉がピッタリな風貌であり、言葉の端から真面目な性格が伺える。
「俺はロビン、職業は盗賊だ嬢ちゃん」
フードを目深に被った男は短くそう述べる。顔は笑っているが、フードから覗くその目は自分を値踏みしている様子だ。
「ご丁寧にありがとうございます。私はミドリ、向こうの世界?では学生をしていました。今どういう状況なのかが全くわからないのでイチから説明して貰えるとありがたいんですが……」
「承知しましたミドリ様、ではまずはこの国の状況を交えてミドリ様の置かれている状況を説明させて頂きます。」
この国は魔王軍からの攻撃を受けている事、その対抗策として召喚の儀を行い召喚されたのがミドリであること、ミドリにはこれから魔王を倒して欲しい事などを詳細に説明した。
「つまり、私が敵の軍と戦うということでしょうか?自慢ではないのですが、元いた世界では喧嘩もしたことなくて……。とてもじゃないですが戦いの役には立てないかと……」
「その点に関しましては問題ございません。古来より異世界から召喚された勇者様は特別なスキルを授かっており、今までの勇者様方も例外なく戦闘に秀でていたとの事です。」
そう言ってキースは自分の嵌めていた指輪を差し出す。
「これは?」
「これは【鑑定】のスキルが付与された指輪です。これを指に嵌めて自身の体の一部を見ながら【鑑定】と念じてみて下さい。」
ミドリは指輪を受け取り自分の手の甲を見ながら心の中で【鑑定】と呟いてみる。すると、眼の前に文字の書かれた半透明の板が出現する。
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名前:サトウ ミドリ
職業:勇者
STR:128 CON:157 DEX:186
INT:84(-30) POW:60(+30) LUK:15
スキル:身体強化 Lv.7 NEW!
剣術 Lv.7 NEW!
魔力強化 Lv.8 NEW!
雷魔法 Lv.4 NEW!
光魔法 Lv.6 NEW!
生活魔法 Lv.1[MAX] NEW!
異世界言語 Lv.1[MAX] NEW!
鑑定 Lv.1[MAX] NEW!
称号:召喚されし者 忘れし者 勇者始めました
現役JK(?) 薄情者 恋愛体質
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まるでゲームのような表示を見て絶句する。
「これは……?」
「今見えているのがステータスと言い、その人の職業、身体能力、魔法の素養、スキルなどの情報を見ることができます。」
「称号に【現役JK(?)】ってあるんですがこれは意味があるものなのでしょうか……?」
「じぇーけー?が何かは存じませんが、称号というのは神や世界、人々に認められた通り名のようなものです。神々の中には愉快な方もおられるらしく、少々おふざけの過ぎる称号を授かることもあると聞きます。勇者は神々から特別注目される為、数々の称号を授かると思いますが、あまり気になさる必要はないかと」
「はぁ、そうですか……」
「他人のステータスを見れる者は限られており、片手の指で数える程しかいない為、口にしなければ知られることもありませんので」
そう言ってキースは苦笑気味にミドリを慰める。そして今後の訓練計画等の話をし、キースが席を立つ。
「では、私は各担当者との打ち合わせをするのでここらで失礼させて頂きます。護衛としてギルバートを付けますので質問等あれば遠慮無くお聞き下さい」
「わかりました。よろしくお願いしますね。ギルバートさん」
「よろしくお願いします!ミドリ様!」
「んじゃ俺は出番来るまでに今の仕事片しとくわ。またな嬢ちゃん。」
ギルバートとの挨拶を済ませていると不意にロビンが立ち上がり、短くそう伝えると部屋を後にする。
(そういえば最初の部屋で鎖に繋がれてた人って誰だったんだろう……?)
「ミドリ様!お部屋に案内いたします!」
「あ、はい!」
疑問を振り払い、ギルバートと共にミドリは部屋を後にした。
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名前:サトウ ミドリ
職業:勇者
STR:128 CON:157 DEX:186
INT:84(-30) POW:60(+30) LUK:15
スキル:身体強化 Lv.7 NEW!
剣術 Lv.7 NEW!
魔力強化 Lv.8 NEW!
雷魔法 Lv.4 NEW!
光魔法 Lv.6 NEW!
生活魔法 Lv.1[MAX] NEW!
異世界言語 Lv.1[MAX] NEW!
鑑定 Lv.1[MAX] NEW!
称号:召喚されし者 忘れし者 勇者始めました
現役JK(?) 薄情者 恋愛体質
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