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オタクな私、イケメンと話す

続けて投稿。



 突然の白い光にぎゅっと目をつむる。

 そしてゆっくり目を開けると全く雰囲気の違う部屋にいた。いわゆる転移魔法というものだろうか。ここ魔法の世界なの!?なーんて驚くなかれ、もう魔法陣で察していた。いやびっくりはするけどね。

 部屋をぐるりと見回してみるとシックで手入れの行き届いた奇麗な部屋。多分この王子っぽい人の部屋なのだろう。


「───。───?」


 ぽんぽんと肩を叩かれたかと思うと王子っぽい人が心配そうに顔を覗き込んで話しかけてきた。そういや怖くて抱き着いたままでしたスミマセン。

 相変わらず何を言っているか理解できないが、改めて顔をみるとあらイケメン。先ほどは暗くてよく見えなかったが、透き通った翡翠色の目、さらりと腰まであるだろう銀髪を後ろで緩く一括りにしてある。二次元がリアルになったよ!すごい!顔がまぶしすぎて見れない!これがAPP最大値の威力……ッ!


 何かずっと話しかけてくれているが反応できず、ひたすら首を傾げるしかない。そうしていると相手はハッと気付き、書類が沢山置いてある机に向かっていった。

 ガサゴソと引き出しを漁り戻ってくると、手には三センチ程度の石がついたネックレス。有無を言わさずそのまま私の首にかける。


「俺の言ってる言葉が分かる?」

「うわ突然わかるようになったキモ」


 思わず言ってしまった。

 王子っぽい人はきょとんと目を見開き、さっと顔をそむけると笑い始めた。


「……ふふ、そうだね、キモい、ね……んふふッ」

「いやしょうがなくない!?突然こんなわからんとこ来てわからん言葉喋ってたじゃん!?」

「ふ、ごめ、……アハハ!」


 王子っぽい人は声を上げてひーひー笑っている。いや笑い事じゃねえんだこちとら。なんで笑ってんの。なんで笑ってんの!?

 ジト目で銀髪男を睨みながら案内された椅子へと座る。ひとしきり笑いが収まり、やっと話ができる状況になった。目尻には笑いすぎたのか涙が溜まっている。


「はー……笑ってごめんね。まずは自己紹介。俺はグレイベル・マークス。君は?」

「……なつめ」

「ではナツメ、君がここにいる経緯を話そう。僕が担当しているとある案件であの場所を調べようと向かっていたら、光の柱が屋敷から立っててね。慌てて向かったら君がいた。あの様子だと召喚されたんだろうね」


 グレイベルはいつの間に呼んでいたのか、執事から紅茶を受け取ると音もなく飲む。部屋や所作からして絶対に偉いであろう階級を、私が委縮しないよう彼はあえて言ってないのかもしれない。アッ執事さんが私にも紅茶をひえええカップ高そう割りそう。喉カラッカラなので飲むけど。


「どうして呼ばれたのかは知らない。召喚した者たちは捕らえてあるよ。どうする?」


 私に決定権があるんですか?それなら。


「全員ぶん殴る!私を平手打ちした奴はタコ殴りにする」


 拳をぐっと握りしめて叫ぶ。少し落ち着いて状況を理解するとムカついてきてた。勝手に呼ばれて殴られるなんてキレるに決まってんじゃんね!


「勝手に呼ばれた割に元気がいいね。しかもこの状況にもう慣れてきている。ナツメもしかして結構いいところの出だったりするかい?」


 クスクスと笑いながらグレイベルは問う。まあ普通に考えたら泣き出したりするもんね。


「いえ、オタク……こういった状況の物語が最近人気でよく読んでいたんですよね。実際に体験するとは思わなかったけど。グレイベルさんも結構偉い方ですよね?家名を言ったのに階級を言わなかったのは私が本当に召喚された人か試したんですか?」


 グレイベルは目がこぼれ落ちそうなほどに見開いてこちらを凝視する。どうやら図星だったらしい。いやちょっと気になっただけなんで!たまたま!頭の回転はそんなに良くないよ!キラキラした目で見ないで……ッ!


「……まさか気付かれるとは思わなかったよ。そうだね、本当に召喚されたかどうかこの目で見たわけじゃないから家名を言ってどう反応するか試したんだ」

「どうでした?」

「もちろん”白”だったよ」

「それはどうも」


 ちょっとニヤニヤしないで貰っていいですかイケメンが何か企んでそうな顔ってなんか怖いんで!






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