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収穫祭を王太子と回させるな!、ファヴィオ。



「なるほどなるほど……、それでレオナルドの一緒に祭りをまりたいっていう提案を受け入れてくれたんですか。」


「うん、まぁ……何時魔物が出てくるかわかんないから隠れ霊長類最強怪力公爵令嬢が側にいれば安心かなって。」


「……それ、言い方ひどくないですか?」


「でも事実でしょ?」



王太子とアリアが並んで歩く後ろで、王太子の従者であるティグレにファヴィオが状況を説明していた。


王太子の近くに護衛を置けないのならば、護衛よりも強いアリアが側に居て守ればいい!、と考えたファヴィオがアリアに対して頼み込んで渋々了承させた為、王宮に着いて馬車を降りた時からアリアは極力王太子の側から離れないようにしている。

そのため、馬車を降りる際の王太子のエスコートも断れず、収穫祭の出店巡りにもつきあわされていたのだった。


ちなみに、王太子はこの件について何も知らされていないため、ものすごく上機嫌である。



「ノウン公爵とジルベルト以外で殿下を任せられるとしたらアリアぐらいだと思うんだよね……。あの二人ほどじゃないけど、強いことには強いし。」


「私よりも強いからなぁ。………だけどアリアちゃんって帯剣してないですよね、それで大丈夫なんですか?」


王太子やティグレは装飾としても華やかになるため剣を身に着けているものの、アリアは曲がりなりにも公爵令嬢であるため、剣を腰にぶら下げる事などできない。

そんな状態でレオナルドを守り抜けるのかとティグレは心配になった。


「あーー、そこは聞いたんだけど……、」


ファヴィオはアリアとの会話を思い出しながら苦笑いしている。



「『自分の背丈の二倍以下で、猪や鹿型の魔物なら素手でイケる。』……って言ってた。」



「うわ………、」


まさかそんな回答が返ってくるとは露にも思わなかったティグレはアリアの想像以上の強さに若干引いた。


「『流石に熊はお兄様かお父様じゃないと無理。』って言ってたけど、そこじゃないんだよなぁ………。」


熊は本当に危険だから背中を見せずに後退りして逃げないとだめ、とまでアリアが言っていたのだが、ファヴィオはそんなことを聞いたわけではないと突っ込んだことを思い出していた。


「まさか公爵家の令嬢からそんな言葉が出てくるとは………、いや、アリアちゃんだからできる気もするんですけど……、なんか……、ねぇ?、」


「聞いててアリアなら出来るって思えちゃう自分がちょっと嫌になったよ……。」



二人とも遠い目をしながら王太子とアリアの行動を見守っていた。








「………、そういえばお兄様を護衛につけてらっしゃらないのですか?」


収穫祭の出店を覗くために城下町を王太子と歩き始めていたアリアだったが、辺りを見渡しても王太子の護衛をしてほしいと頼んだ兄がいないことに疑問を感じ、王太子に尋ねてみた。


「ジルベルト?、ああ……、確かに護衛につくって言ってたんだが………。」


アリアには言いにくいことなのか、王太子は尋ねているアリアから目を逸らしながらゆっくりと話し始めた。



「いや……、その……、君と出店を巡りたかったし、それに……、流石にアリアに求愛するときに、君の兄がいるってのは、ちょっと………。」


「なんですかその理由は。」


たかが気まずいというだけでこの国で二番目に強いであろう兄を護衛から外したという王太子の行動にアリアは幻滅したような目で睨んでいる。


「貴方様の命の保障である護衛を、たかが私に求愛するときに気まずいからという理由で外すだなんて……!!!、だったら求愛しなきゃいいでしょうが!!」


「だが、今日は魔剣もあるし、私だって鍛えてるから君と自分の身ぐらい……」



女子(わたし)の一撃で倒れた貴方が?、私と自分の身()()()?、………はっ、軽く考えすぎだと思います。」



アリアは王太子の甘すぎる思考を鼻で笑い、王太子の鼻先に人差し指を当てるぐらい近づけて説教をはじめた。



「いいですか?、何度も言ってますけど貴方様の御身はこの国で三番目に尊いもの。だから、傷が付くのも困るし、死ぬなんて以ての外。わかります?、」


「………ハイ。」


女性にしてはドスの利いた低い声で唸るように怒るアリアに威圧された王太子は少し縮こまっている。


「だから必ず護衛をつけて歩くべきであり、自分が剣を持っているからと安心してはいけません。ましてや求愛したいからって護衛を外すなんて馬鹿なこと二度としないで。」


「でもっ………」


「でもじゃない、二度としない。いいですね?」


王太子はもう一度言い返そうかと動いたものの、アリアの指先から肯定しないのならここで殴ってやるといった殺気を感じた為、言葉を飲み込んで言い直した。


「………わかりました。」


「……よし。守ってくださらなければ求婚すら出来なくしますので。……というか、お兄様がいる場で求愛すら出来ない気持ちなんて、その程度って事では………」



「それは断じてない!!!!」



ここで威圧に負けていてはアリアに誤解されてしまうとレオナルドはここぞとばかりに大声で否定した。


「恥ずかしかったからジルベルトを外したのだが……、これからは義理の兄が側にいても愛を囁けるよう努力する!!、」


「だっ、誰が貴方の義理の兄ですか!!!!、というかそんなところに努力を使わないでください!!、護衛を付けるとか、自分の方に……」




「王太子殿下だ!!、王太子殿下がお見えになったぞ…!!」


「えっ、王太子殿下のお隣にいらっしゃるのって……!!、」


「あっ、アリア様!?、アリア様だー!!!」




王太子の斜め上の回答に驚いたアリアが狼狽えていると、収穫祭の出店を楽しんでいる民達が自分達に気付いて声を上げているのが聞こえ、自分たちの周りに少しずつ人が集まってきた。










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