個人情報の取り扱いには気を付けましょうね、皆様。
・実は苺が好きで、食後のデザートは大体苺を使ったもの。
・剣技よりも弓の腕の方が勝る。
・身体を動かすのより、本を読む方が好き。
・部屋のちいさな植木鉢で、花を育てて愛でている。
・動物全般が好きだが、実は犬よりも猫派。
「わぁ…………、レオナルドの隠してる事、ほとんど書かれてるじゃん…………。」
何処まで王太子の生態が漏れているのか、確認するために四人で小説を囲み、
ティグレが現実と小説が重なっている部分を列挙して書き並べていたが、あまりにも多くバレている事に声を漏らした。
小説に色々と暴露されてしまった本人は、両手で顔を隠している。
「照らし合わせていけば照らし合わせていくほど、流石に可哀想になるわ………。」
「殿下、どっちかっていうと中性的で女々しく見られるから、そーゆーイメージは潰そうと頑張ってたんですけどねぇ………。」
「ファヴィオ!!!、なんで言っちゃうんだ!!、アリアにバレちゃうじゃ………」
「もうバレてます。というか、肉体改造されてもどっちかっていうとまだ男らしさは無いです。」
慌ててファヴィオの口を塞ごうと思ったのに、バレたくない本人にバッサリと斬られた王太子は頭にタライを落とされたような顔をしている。
「……この情報って、王太子殿下の身近な人でないと入手出来ないはずですよね?」
王太子が落ち込んでいる事など気にせず、アリアは気になったことをティグレに確認した。
「そうだね、王宮でも知ってるのは、王太子付きの侍女とか……」
「「まさか、」」
王太子とティグレはハッとした顔で揃って声を上げ、続けて気付いた事を言おうと口を開いたが、その前にティグレがその内容を話し始めた。
「うん。お気付きの通り、王太子に近い使用人から情報流されてますね。しかも、記述内容的に結構絞れるんじゃないですか?」
「そうか……?、内容だけ見ると、料理人も、侍女や近衛騎士も知っていそうな事ばかりだと思うが……、」
隠してたとはいえ、国家機密程のものではないため、自分に近い人間が知ろうと思えば知れる内容だと考えていた王太子は、犯人を絞ることができるというファヴィオの言葉に疑問を持った。
「そうですか?、例えば……、殿下の部屋に料理人や近衛騎士は入れないでしょう?。」
「まぁたしかに……。部屋に料理を持ってくるとしても侍女か従者の俺の役目になるし、近衛騎士が部屋の中まで護衛することは無いもんね。」
「となると、王太子付きの侍女か従者、または執事まで、情報を売った人物を絞ることができます。
で、ティグレくんは絶対ありえないじゃん?」
「自分の兄弟のような奴の事、売るわけなくない?。それに、お金とかに困ってないし……、うーん、俺がレオナルドを売って得になることなんて、何もないんだよねぇ。」
ファヴィオの述べたことに、ティグレはうんうんと頷きながらこたえている。
「じゃあ、必然的に侍女の誰かが売ったことになるわね。王宮の執事長方は王家に代々忠誠を誓ってる方々ですから、そんなヘマはしないでしょう。」
「アリアの言う通り、執事長や、侍女長が私を売ることはありえない。となると……、」
「侍女として入ってきた、下級貴族のご令嬢の方々の誰か、が妥当ですね。」
「それでも数が多いよなぁ………、」
ある程度王太子付きの侍女を把握しているティグレが頭を悩ませている。
王太子付きの侍女といっても、王太子の世話を中心に行う侍女の事を表すため、ざっと見積もっても二十人程度はいる。
何事にも対応出来るようにするためには、質も大事ではあるが人手が多ければ多いほど良い。ましてや次期国王となる方の生活を任されるとなれば尚更である。そのため寝室までとはいかないが、王太子の執務室を出入りする侍女は多いのだ。
「結婚して退職した婦人等も含めると、五十は超えてしまうんじゃないか……?、」
「うわぁ、流石王家ね、規模が違うわ……。」
「?、公爵家もそのくらいは使うだろう?」
数の多さに若干引いているアリアに対して、王太子はこれが普通ではないのかと言わんばかりの顔をしている。
「うちは少数精鋭なんですよ。それに、自分でやれることは自分でやるのがモットーなので、私付きの侍女は乳母ともう一人、あと護衛が一人ぐらいです。」
貴族の令嬢の中では珍しく、アリアは、髪結いも大層なものでなければ自分で行っている。ドレスも簡素で自分で着られるものを選んでいるため、人手はいらないのだ。
「護衛って、アリスちゃんのこと?」
「そうです。まぁ、護衛というよりは私の足と手として活躍してもらっているので、側には置いてませんが。」
アリアとアリスが同一人物である事を知るファヴィオは、素知らぬ顔で紅茶を飲みながらティグレの問に答えているアリアに、側におけないのは自分自身だからだろ!、とツッコみたくて仕方なかったが、ソレを察知したであろうアリアから物凄い形相で睨まれたため、咳払いをして犯人探しの方へと話を戻した。
「五十人の中から探さなくていいと思いますよ。多分ここ五年以内に王太子の近くで働くことになった若い侍女を探るのがいいかと。」
「……その理由は?」
王太子に問いかけられたファヴィオは、不敵な笑みを浮かべながら呟いた。
「記述が少なすぎるからですよ。」




