01 奴隷エルフのオークション会場へ(お知らせ)
女エルフ(奴隷)なんて、最高のシチュエーションダルルォ!?!?
って思ってた時期もありました(絶望)
R18版に移行します。
性描写はほぼないですが。
よろしくお願いします。
タイトルは変更なし。ハーメルンで連載を再開します。
https://novel18.syosetu.com/n9314gp/
こちらです。
「……」
一定のリズムで揺れている馬車の中で目を覚ます。
まず、目に入ってくるのは自分の汚れた裸足。これまで必死に逃げてきたから仕方の無いことだけれども彼らは僕に水浴びすらも許可しなかった。
曰く「貴重だから絶対に自由にさせられない」ということらしい。また、別の男は「逃がしたら殺される」とまで言っていた。それほど僕は貴重な存在なのだろうか。
いや、この質問は無駄である。僕の価値は僕自身が1番わかっている。
ふと、僕は自身の耳に触れる。それは一般のそれよりも長く、端に行くにつれて細くなっていく形をしていた。
この特徴的な耳。そして、自由になれていた時に湖の反射で見えた整った顔と緑色の髪、そして、緑色の大きな目。
エルフである。
この世界において、エルフは希少な種族で、森の奥深くに静かに暮らしている神秘の存在である。ある地方ではエルフを神として敬うようなところもあるのだそうだ。しかし、これは外に出たことの無い母親に聞いたことだ。本当かどうかは分からない。まぁ、実際にそんな国があったとしても僕が今いる国はそういう国ではないことはわかる。
なぜならここは──
「おいエルフ!出てきな!着いたぜ」
揺れが静まり、しばらくして男が大きな声をこちらに向けた。
僕はその声で現実に戻される。つい先程まで考えていたことなど途端に忘れてしまった。
僕は男達に従って荷台から降りる。両手は前で木の板で固定されているからこの動作だけでもなかなか大変だ。また、首には僕の身体には不釣り合いな大きな首輪が付けられている。首輪には鎖が繋がられていて男達はそれの先を引っ張って僕に歩くことを強制する。
「……あ、あの、引っ張らなくてもいくから……」
僕は声を絞り出し、せめて僕のペースで歩かせてくれるように訴える。だって、首を引っ張られるとバランスが崩れてしまうんだ。それだけでも今の僕にとっては致命的で恐ろしい恐怖になる。
だから、僕がこんな小さな声しか出ないのも仕方の無いことである。事実、怖いし、震えている。
「あぁ?仕方ねぇだろ!俺だって必死なんだよ!もう時間ねぇしさ。はやく歩け。お前の晴れ舞台だぜ?」
嫌味ったらしく男が言う。
なにが晴れ舞台だ。そんなもの誰が頼んだと言うんだ。というかそもそもの話僕は表に立って話をしたいとかそういう性格ではないんだ。ふざけやがって。
あぁ、誰が僕を助けてくれ。誰が勇者とかが僕を助けてくれないのか?
いや、たしか、この世界は勇者なんて居ないんだったな。誰かが言っていたのを聞いたことがある。勇者が魔王に殺されたらしいと。
魔王なんかがいるから僕がこんな目にあっているのか?
…………いや、僕がエルフだからか。
「オークション会場まであと少しなんだ。ちゃっちゃと行くぞ」
そう、ここはオークション会場だ。僕は今からここで見世物にされる。そして、誰かが僕を高値で買う。僕は奴隷という商品だから仕方がない。でも、僕はそのあとどうなるんだろうか。殺されるんだろうか。いや、殺されるのならまだマシか。たぶん僕は男に買われる。そして、嬲られるんだ。僕が狂うまでずっと嬲られる。いや、狂ってもやられ続けるんだろうな。
奴隷と言っても僕は何が出来る訳でもないし。
利用価値はたぶん性奴隷がいい所なんだろうことは僕にもわかる。いや、僕は前世でそういうことをされるエルフさんをたくさんゲームで見てきた。
まさか、僕自身がエルフになるなんてまったく思わなかったけどね。
僕は顔を伏せたまま歩き続けた。
男達はその後もいくらか下卑たことを言っていたが、僕は取り合わなかった。正直うんざりしていた。
これからされることなんてご存知だ。今更オークションのシステムなんか聞きたくない。知ってるし、奴隷である僕には関係ない。
ちなみに僕の格好は奴隷服を着せられた幼いエルフという感じだ。正直僕が僕の姿を見ればすぐさま助けるだろう。誰もが見蕩れるような美貌に憂いを帯びた表情。前世で萌え豚だった僕なら萌え萌えーと言っていただろう。いや、言ってないわ。言う前に男達に殺されるわ。
まぁ、これはあくまで仮の話。
実際は僕がエルフ。
これが現実。あぁ、なんて悲しい世界だろうか。
なんて、厳しい世界だろうか。
さらに、酷いのは先程男に嬲られるという表現でお察しの通り僕は女である。前世では男であったはずの僕が女。この意味が分かるだろうか。
つまり、僕視点で見れば男が男に嬲られるということだ。もちろん精神的な意味で。物理的には女が男にやられるだけなのだ。いや、それはそれで問題があるのだが。
まぁ、つまり僕視点ではBLなのだ。そして、僕はそんな趣味はない。つまるところ不快感がすごい。
僕は前世の記憶で知っている。あれがどれほど凶悪なものかを。どうやら前世では童貞であったが、前世の僕は比較的そういうのに興味はあった人間だった。
だから、色々調べていた。それがいかに怖いことか。恐ろしいことかを。あれなビデオから始まり、ネットに転がる女性の体験談などをたくさん見てきた。
だから知っている。
この世界ではそういうのはまだ発達していないようで中世後期辺りの文明力しかないようで、そうだからこそ僕は恐れている。この時代、そして奴隷制の存在。自由であった時にみた街での奴隷の扱い。それはとても同じ人間にするような行為ではなかった。いや、人間側からしたら僕のようなエルフや、ドワーフといった種族は人として、種族としての権利なんか無いに等しいのだろう。
恐らく、この国は人間至上主義者の集まりだ。
まったく、どうして僕をこんな所に生み出しやがったんだ。
もっと最適なところがなかったのか?
あの声め。許せないぞ。
いつか、復讐してやる。……いや、もう出来ないのか。
「ほら、着いたぞ」
気づくといつの間にかオークション会場に着いていたようだ。足元に広がるのは先程まで歩いていた街の粗い石畳ではなく、どこか綺麗に研磨されたような石レンガに変わっていた。
僕はここで買われるのだ。あぁ、どうか人畜無害で、平凡で、でも可愛い女の子が買ってくれないだろうか。
無理か。
「ほら、行け。」
そうして、僕は暗がりから明るい方へと歩いていった。
僕を競るクソ野郎のいる会場の中心へ。
タイトルはサブタイつけただけで変わってないのでよかったらどうぞ。