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第四章《小話》 密かな悩み

 僕には悩みがある。



 え?九尾の番の片方がそんなんでいいのかって?

 いや…誰にだって悩みはあるでしょ…



 いくら九尾の番の炯眼けいがんといえど、悩みくらいいくつかあるものだ。



 その中でも特に悩んでいることは…

「ねぇ」

「ん?どうしたの鋭峰」

「腹減った」

「ええぇ…今は食べ物無いよ、何か欲しいなら鎌鼬に頼めばいいんじゃ…」

「やだ」

「そんな…」

「炯眼」

「な、なんだよ…」

「食べ物」

「だから今は無いってば!」


 そう、彼女──僕と合わせて番と呼ばれる鋭峰(えいほう)が基本的に一語文しか話せないということ。


 生きている頃から鋭峰はずっとこうだ。

 鬼神様ももう分かりきっているから何も言わないけど…

 例えば鋭峰に何かを殺してくるよう頼まれる時でも、僕以外のあやかしならある程度理解ができたとしても戸惑うのではないだろうか。

「炯眼」

「殺してきて」

「あいつ」

「腹立つ」

「後で食う」

 …ということを言われるだけなのだから。


 鬼神様は出会った頃からなぜか鋭峰の言うこと全てを一度聞くだけで…いや、なんなら表情を見ただけで理解していたのが未だに謎だけど…



 僕だって一度だけ理解ができなかったことがある。

「炯眼」

「眠い」

「どうするの」

「助けて」

「大変」

 …といわれた時は理解するのに時間がかかった。


 普通に考えれば眠い、何とかしてくれ、と言っていると思うだろうが、実は違う。


 眠さに耐えれなくなってパニックになってどうしたらいいかわからなくなって奇行に走って大変なことになったどうすればいいの、というのが正しい訳。


 …全くもって訳が分からない。



 それに、鋭峰に対する悩みというものは他にもある。

 彼女は青行燈(あおあんどん)と仲がいいのだが、人やあやかしを食べるにしても、その行儀の良さの差が凄い。

 お(しと)やかに青行燈が食べているのに対し、鋭峰は肉を手で鷲掴んで喰らい、骨まで噛み砕いて食べるという…


 僕も鋭峰も犬神ほどの牙はあるから骨まで食べれるのだが…まぁもう少し、一応女の子なのだから女の子らしく食べてほしいものだ。







 まぁ何を言っても「何」「やだ」としか返してくれないんだろうなぁ…


 ──鋭峰ほど掴みどころが無く、扱うのが難しいあやかしはいないと思う。確実に。

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