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旧式 時と歌  作者: 新規四季
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黒の魔法使い7

「おい、化け物。泣いたって容赦しないぞ!」

「おお、怖い。では、貴女が泣いた時も容赦しないですよ?」

月の化け物が言い終わると2人とも消えた。

その場にいた全員が、そう思った。それほどに速い動きで、月の化け物は霊剣を振りかざし、雅は瞬間転移を駆使し、上空へ回避。

上から火の槍を投下する。大気を焼き尽くす程の熱量を伴って高速で月の化け物に迫る。

しかし、月の化け物の動きは火の槍では遅すぎた。着弾した時にはもう着弾地点から10メートルほど離れた別の場所に移動していた。

その場所から霊剣を振るい、突風を巻き起こす。

月の化け物が霊剣を振るい終わった硬直時間に雅は月の化け物の懐に転移していた。

「魔法使いは近距離戦では何も出来ないだろう」

月の化け物が視線だけ動かして雅に問うた。

月の化け物は返事を待たず霊剣を雅に霊剣を振るう。

雅は転移せずに、刃を体に受けてしまった!

が、血が出ることも吹き飛ぶこともなかった。

「この技はとても強力だが相手に触れなければ行けないから実戦向けじゃないって言われてるらしい」

月の化け物が肩から斜めに深い切り傷を作り口から血が逆流し、吐血した。

「呪詛返し。使えるのは私ともう1人だけの陰陽術だよ」

「魔法使いが魔法以外に手を染めるか!」

血走った目で雅を睨みつけ手を前に突き出した。すると、月の化け物を中心に周り一体の全てが吹き飛んだ。

それは、誰かを対象にとる魔法ではないが為に呪詛返しが発動せずに雅も吹き飛ばされ地面に転がった。

「悪に手を染めるよか良いだろ」

雅の魔力が1段階上がろうとした時、

「そこまでじゃ」

その言葉が響いただけで、その場全ての動きが止まった。月の化け物も例外ではなかった。

「まあ、変わり果てて無様だな」

「先生………フッ、ハハハハハ!無様だと、何も守りはしなかった貴様が!いい身分だな!その立場で何が出来た?」

「黙れ」

賢者は足を踏み鳴らした。瞬間、月の化け物は統括会の土地から締め出された。

「諸々の事は後日会議を開く。皆の物去れ」

「じいちゃん……」

「雅、アレは見せるな」

怒りを顕にした賢者は滅多に見ることは無い。

それ故に辺りには陰鬱とした雰囲気が漂った。

「……儂の唯一の失態じゃ」

雅にはその声は聞こえていたが、何も言わず学園の方へ戻った。



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