深淵なる樹海12
「ま、まさか全員絞めるとは……」
築かれた呻く陰陽師達。その中心でイラついた様子のくう。
畳もそこら中ひっくり返って部屋はめちゃくちゃだ。
『バーサーカー……』
屋敷は無事でも人的被害を目の当たりにした神様は、その様子を狂戦士と例えた。言い得て妙だった。
「なにか?」
「ひっ、いっ、いや、なにも。なにもじゃよ。おい、神様!さっさとこのバーサーカーを連れて行け!全ての権限を一時期やるから、どっかへ!早く!」
『はー、耄碌しましたね。いいですよ、顔合わせだけの予定だったので』
「これのどこか顔合わせだ!全滅だ!こんなのが外部に知られてみろ!たちまち陰陽師は終わりだァ!」
みっともなく喚く老人にさらにイラつきが募る。
くうは妙案だと、神経を逆撫でするような提案を思いつく。
「キャラぶれっぶれね。いい案があるわよ。最悪、空を陰陽師のトップに立たせなさいよ。名前くらい知ってるでしょ?」
「ぬぅ、あやつか。しかし、アイツは炎の陰陽師の弟子と聞く。しきたり上難しい」
「知らないわよ。神様、早く仕事を終わらせましょうよ」
即否定してくると思っていたけど、訳ありらしい。
どうでもいいけど。
しかし、引っ掛かりを覚えつつももう用はない様な態度をとる。
呪詛体術と、陰陽術。
ママが話さない事柄の中に、なにか禁忌が隠れてそうで、また、蚊帳の外かと少し落ち込む。
『そうですね。くうさんにはあと1箇所だけ寄ってもらうところがあります』
「それで最後?」
『ええ』
神様はニッコリと後ろに手を回して可愛くポーズをとっている。




