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旧式 時と歌  作者: 新規四季
210/220

深淵なる樹海4

『加護。その言葉についてどんな感想を抱きますか』


神様はくうに聞く。

くうの事を可愛い孫娘をみるおばあちゃんのような態度。

その様な態度を神様が自分にとっていると思うと嬉しい反面、少し怖い。


「ええっと、力を与えられる?」


くうは、ろくに知識を持っていないが、それでもイメージで答えた。


『ええ、概ね正解です。流石ですね』

「あ、甘すぎませんか?1割も答えれてませんけど」


咲は頭を抱え、神様に苦言をした。

神様はニッコリ笑って咲に諭すように話す。


『あら、1割も知っていれば十分ではないですか、何も知らない人に10割教えるより、少しでも知ってる人に残り9割を教えるのとでは違いますから。知識を得ている、それは好奇心です。とても大切な事ですよ』


咲がそれはそうですが……、といつになく弱気でいる。


『さて、話を戻しましょうか。加護とは言葉通り加わる護りです。それは与えるものによって効力は変わります』

「それって、この世界には加護持ちは沢山いるってことですか?」


くうは何種類もある=何人もの加護を持った人が居ると解釈し、神様に尋ねた。

なんかこの神様に無性に甘えたいと思ってしまう。


「多くはない。加護を得たことに気付かず死んでいく人もいる。加護っていうのは曖昧なんだ」

『そうですね、でもそれは1番弱い加護の話。運気が少しだけ良くなるとか、病気しにくいとか。その程度です』

「その程度って、それを願ってやまない人は沢山いるのに」


神様はなんて事ないように言う。

病気で苦しんでる人は五万といるのに。


「くう、神にとってはその程度なんだ。我々人と、神は違う。似通っていたとしても違うんだ」


咲は少しだけ悲しそうに言う。

どうしようもない事だと。

神は万能だ。人の苦しみは理解しないだろう。

人が虫の苦しみを理解できないのと同じだ。


『……くう、貴女はまだ、優しいのですね』

「まだ?」

『人は学びます。騙します。蹴落とします。けれど産まれた人間の根底にある物は優しさです。でなければ人は産まれない。そして、その優しさは削れて行くのです。優しさを保ったまま生きるのは難しい様ですからね』

「……そう、ですね」

『おもうところあり、ですかね。でもいいのですよ。その気持ちさえ捨てなければ。またも脱線してしまいましたね、いけませんね価値観や世界観が違うとすれ違いが多くなってしまいます。いっそ此処に住んでみようかしら』

「それは人類で会議しないとどうしようも言えませんね」

『あら、残念。お友達の家にも泊まれないのね』

「友達って」

『さて、加護の種類や効力ですが、私の加護は繋がりです』

「繋がり」

『縁結びってヤツです』

「一気に俗物っぽくなったな」

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