深淵なる樹海1
所変わって、富士樹海。
ここに来るのは2回目で、あまりいい思いはしてないけど、そう度々来るところじゃないなとも思っている。
くうは、何故かロリっ子2人に手を引かれ光がなくなる方へ、グングン進んでいく。
「ねぇ、そろそろ目的言ってくれても良くないかなー」
「ダメ、言ったら、引き返す」
「まーまー、人助けだと思ってさー」
ロリっ子達はそれぞれ赤と黒の着物姿で、大変動きにくそうなのに機敏に走る。
地面には盛り出た大樹の根で、足場は最悪で、くうも何度か転びかけてるが、ロリっ子達は平原を走るかのように余裕だ。
段々と息が詰まるような圧力を感じるようになってきた。
何かとても強い力。
前回にこの森に来た時は富士山の中に繋がる洞窟に用があり、乃愛と共に何とか目的達成できた。
今は前回のルートじゃない。
ひしひしとイヤーな感じが伝わってくる。
「樹海に坂道なんて……絶対ヤバいでしょ!ねぇ!ちょっと!この、ロリっ子ども!!」
そう言って、止まろうとしてもロリっ子たちの力は相当なものでビクともせず、引っ張られていく。
「せめて、せめて乃愛と一緒が良かった!助けて、乃愛!空!」
音が吸収される森の中さらに深淵へと近づいていく。
そこに眠る人物の元へ。
秩序の綻びを知る為に。




