囚われ四重奏50
「早く力をって……レーナ!君に人の心は無いのか!今はどう逃げるかより、どう姫様を助けるかじゃないのか!」
何に憤っているのか池鳥自身分かっていなかったと思う。
今更ながら普遍的な日常が崩れたことに気付いたのか、危ない事は分かるのに、その恐怖が体感として弱い。
故に楽観的で偽善的な発言をした。
「?分からない。コレはもう助からないよ。それとも誰か彼女を救える?出来なそうだけど。……私は死にたくないの。私の目的を果たすまでは。だから、さあ、早く」
「池……鳥さん!ぁ…くっ……。彼女を怒らないであげて……ください。私は持ちません。はぁ、はぁ、はぁ、っ。……レーナさんは最適なだけ。何も間違ってないですよ」
最後の一言だけはレーナに向けられていた。
自身の意識は霞の如く、もう消える。
「………レーナ、ごめ」
「言わないで」
「う、ん」
「クソがっ!」
ビアが拳を壁に叩きつけた。
その衝撃て壁面は瓦解し彼女の感情を代弁していた。
「なんなんだよ、てめぇら。とんだ役立たずだな、おい。疫病神か?あ?お前達を殺したら解決するんじゃねーのか?」
「待ちたまえ、短絡的にも程があるだろう。助けに来た結果今まで逃げてこれたのを忘れたのか」
「あ、ああああああああぁぁぁ…………ああああああああぁぁぁ!!」
「不味いっ!アックス、構えろ!フォールス!」
「ああ。………最悪のシナリオ」




