囚われ四重奏47
どうにか表に戻る方法を画策するフォールス、エレ。
高等魔法を使いこなせるのはあとはプリンセスのみ。
経験値や知識ではプリンセスはこの2人に遠く及ばない。
何も出来ない自分はせめてと周囲を魔力感知で追ってなどが来ていないか、魔法の発動の予兆がないかを探っている。
「あのお姫さんなにやってんの?」
鈴は正座して瞑想をし始めたように見えるプリンセスを不思議に思い口に出す。
「さあ?魔法とやらんじゃないか?」
零は興味もなさそうに帰す。
「な訳なぇだろ?あ?てぇめぇらのスカスカの脳みそでは考えられない事だよ。尊い行いだ。次舐めた口聞いてみろ、殺すからな」
ドスの効いた声と魔力を載せた圧にたじろぎコクコク頷いて冷や汗が止まらなくなった2人。
口には気をつけようと声に出さずとも理解し合えた2人だった。
「なにやってんの、まったく」
池鳥は呆れた様子で3人を遠巻きに見ていた。
ビアが蔑んだ目を2人に向けて軽蔑するように言い放つ。確かな怒りを感じ取れる。
「減らず口でも言わねぇと怖いのさ」
アックスがワイン片手に壁に寄りかかって言った。
アックスには弱い立場の人の気持ちがよくわかる。自分がそうだったから。
だから強者と分かる人達と一緒の時に自分だけ怖がったいる時の気持ちは知っている。知っているから鈴と零を馬鹿に出来なかった。
「それは弱いから」
レーナが冷めたように反論すればアックスは何も言わず肩を竦めただけだった。
アックスは否定も肯定もしない。そして、フォールス達の方へ向かっていった。
「レーナ、なんでそう思ったんだ?」
「弱いは危険。強いは安全。それは何を示していても同じなのを知ってるから」
「……レーナは強い?」
「池鳥は守るよ。だから強い」
「そっか」
池鳥は思った。危ない思想だと。
それは間違いではない。
そして、起こった。
その思想を起因とする負の覚醒が。
「不味いッ!みんな逃げて!」
突如怒鳴ったのはプリンセス。
血相を抱えた表情は有無を言わすものではなかった。
その場の皆が次の言葉を待ったが、次に来たのは言葉ではなかった。




