魔法の前進18
「詳しく話してもらってもいいか?」
空が気遣う様に乃愛に言う。
空にも乃愛に対して思うことはある。
「ハッキリしないけど、ラストに名前をあげようとした時に私の意思じゃなくて、ラストを護ろうとする力って言うのかな、そういうのが流れたような気がするの」
「それが黒霧のコアかもしれなくて、そうなると乃愛の母親の意志かもしれないって事か」
「色んな奇跡が起こっとるな」
魔法は魂が宿るとでも言うのか。
魔法が意識を持って行動したのだとすると自分を含めた魔法使いは本当に自分が自分だと言えるのだろうか。
乃愛は例外かもしれないが、普通の魔法使い達がそう出ないと証明もできない。
起源の魔法はどうだろうか。
唯一無二の魔法の形。
俺の場合は『時の魔法』が意識があって、今こうして思考する自我は『時の魔法』の物の可能性があるということだ。
空は被りをふって、考えを捨てる。今はそうじゃない。やる事は他にある。
この考えもまた、研究の内容にすればいい。
「取り敢えず、次。形を与える」
「どうするの?今のままでラストは虎になっちゃったけど形どってるって事にならない?」
「アレは実体はないよ。……雪みたいなものかな。掌に落ちたらすぐ溶ける。魔力が無くなると消える」
「一大事じゃないの」
「そうならない為に、形をあげるんだ」
「理由は分かったけど、どうやってやるのよ」
「まあ、お前と一緒だな」
「分かってる、契約でしょ?」
ラストは生まれたばかりなのに知識が豊富だ。
まるで、何処からか知識を埋め込まれたみたいだ。
空はその違和感には気付かない。
『汝、姿を与える。漂うは器の導べ、意志を与えん』
空がラストに杖を向け、呪文を唱えると暖かいひかりがラストを包んだ。




