魔法の前進15
実は空がやろうとしていることは魂の束縛だ。
乃愛とは少し違うが、相手をコントロールする術など支配下に置くしか方法はない。
指輪のおかげで黒霧は多分使える。使用制限はありそうだが、決定打のない自分にとってはありがたい。
そこに、雷猫という偶然の産物だが強力な雷属性の魔法をもった魔法生物を眷属化出来るかもしれない。
いい流れが来ている。そう思うには十分なくらい出来すぎている。
出来すぎているのだ、怖いくらいに。何かが裏で糸を引いている気がしてならないがまだ自分の力はその糸にたどり着けない。
……気を取り直し、契約の準備をする。
「まずは名前を与える」
名によって魂をこの世に定着させて、精霊に近い雷猫を、より俗物的な存在に引き下げる。
これによる能力等の低下はない。
むしろ、魂が形を決めることにより魔力は高まるだろう。
「あ、なら私が決めたい!」
普段は斜に構えて俯瞰したような演技をしている乃愛が手を挙げてまで名前を決めることに立候補するなんて驚きだった。
「それはいいけど、さっさと決めてくれよ」
「んもう、薄情なんだから」
ウキウキしながら雷猫を無警戒にも抱きしめてあーでもない、こーでもないと悩む姿からはとても一気に家族を失ったとは思えなかった。
空は同時に乃愛の寄る辺に慣れればいいなと思っていたりする。




