魔法の前進9
「お前さんはまあ、良くも悪くも目立つような事をする」
受付にてぐっだーとしている燈火に瓶を見せる。パチパチパチと眠りながらも発電し続ける猫をみてなんとも言えないような顔で空を見返す。
「なんだ?」
依頼などを見ていた魔法使い達が空と燈火の組み合わせを遠くから見ている。
「また、空がやらかしたってよ」
「今度は何やったんだよ」
このような光景は珍しくもないらしくここのよく来る魔法使い達はまたか、と言う感じで成り行きを見ていた。
過去にはルーンを会得したと言って強固な盾を作り出したことがあった。結果として3秒も持たない欠陥品だったが、その辺の石に魔法を付与するという、その当時できる魔法使いは数十人しかいない技術を幼子がやってのけた事実に恐慄いた人達だ。
「魔法生物ね、自我はあるんか?」
「さあ、どうだろう。なんせ今さっきの出来事だしな」
「契約の指輪を使ったら?」
「ええ、浮気ですかっ!」
燈火がなんとなしに言ったら乃愛が猛烈に反応する!言葉を間違えている。
「なんのだよ!でもそれもありか」
「なしなしなし!私が居るじゃないですか!」
「何をそんなに否定的なんだ。別に問題ないだろう?」
「なっ、本気で言ってるんですか!?本気なんでしょうね!言わせてもらいますけど、この猫ちゃんは言ってみれば雷そのものなんですよ。それが魂とリンクなんてしたら」
「したら?」
「私と空が感電死しますよ」
「……なしだ」
「ですよね?ていうか気づいてなかったんですか」
「……なんせ目が覚めて1週間もたってないからな」
「目が覚めて1週間で偉業を成し遂げる方が凄いんやけどな」
「おい、聞いたか。偉業だってよ」
「くっそー!やっぱ特別なのか」
「空、アナタ今まで何をやってきたのよ」
「こう見えてこの子は研究者として第一線走っとるからな」
「そうでしょうね。えっ、私これからずっと付き合わされたりします?」
「するんじゃないか?」
「そんな……」
「で、どうしよう」
「眷属化するしかないやろな」
「魔力比べか」
腕がなると杖で瓶を突く。ニヤニヤと悪魔のような顔で。




