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旧式 時と歌  作者: 新規四季
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魔法の前進1

「さて、研究しますか」

金閣寺にて仕事もなく、謹慎処分でやることも無い。空は目が覚めてから無為に時間を過ごしてきたけどそろそろ魔法の向上に努めることにするらしい。

地下では相変わらず魔法使い達が依頼やらをこなす為に仕事を選んでいる。

空は金閣寺に一室貰って生活しているがあの事件以来同居人が増えた。

「はあ?なんの為に」

その同居人こと乃愛が外の観光客を眺めながら問うてくる。

魔法の被害者とも言える乃愛は魔法に対して後ろ向きだ。魔法使いなら誰しも喉から手が出るくらいに強力な黒霧という固有の魔法を持っているにも関わらずだ。

「力の為に。てか、くうは今どこに居るんだ?」

空は物入れから紙やら石やら羽やらを引っ張り出して確認しながらそういえばと思い乃愛に聞いてみる。

「さあね、燈火にでもきけば?」

素っ気ない答えだ。乃愛はくうと一緒に行動した期間がある。その時にくうの気持ちを聞かされている。だから応援したい気持ちが強かったりする。

「そこまでして会いたいわけじゃないからいいや」

「本当に不憫ねあの子」

気持ちは一方通行らしい。乃愛はくうに同情する。

その間にも空はビーカーやら釜やらを出してきてレシピらしき紙と石とかと見ている。

角度によっては色が異なる石は乃愛には珍しくまた、綺麗だと感じた。

やたらデカい羽や、どう見ても動物の物じゃない干からびた手など不思議な物ばかりだ。

「……材料が足りない」

空が呻くように呟いた。

今から作ろうとしているのは擬似魔法を扱う為の石を錬金しようとしていた。

言ってしまえば魔道具なのだが、従来の魔道具は魔法を魔道具に閉じ込めて、使う時に解放する。といった形に対して、空がやろうとすることは道具から魔力を捻出して魔力を流すことで発動させる事だ。技術の前進を試みていた。

「じゃあ、出かけましょうよ!私、軟禁扱いだから保護者同伴じゃないとどこにも行けないのよ」

そんな事はお構い無しで乃愛は外に出たかった。

「そうだな、乃愛は墓参り行ったか?」

「……ええ、燈火とくうと一緒にね。何も感じなかったわ」

「そっか。それじゃ、まあ、行くか?」

「久々の外出よ!どこ行くの?」

「魔道具屋」

「何屋なのよ」

「着いたら説明するよ。その方が分かりやすい」

分かりやすく落胆してみせるから空は帰りにご飯でも食べに行こうかと考えた。

こう見えても実は心優しい少年なのだ。

「魔法って何の為にあるのかしらね」

必要になるものをメモしてると乃愛が真面目なトーンで聞いてきた。

「難しい事を言う。力の為、守る為、生活の為。いくらでも言うだけなら考え付く。つまりは使い用で当人しだいって事」

「そりゃ、そうでしょうけど。なら別に魔法なんて無くてもいいと思うけどね」

「あるんだから仕方ない」

そして、世界の仕組みなのだから無くならない。

誰か一人だけ使えるようにしなかったのは複数人居れば抑止力になるからだ。

そして、もし、魔法を習うことが無くても起源の魔法は勝手に人の中に入る。

「興味本位なんだけど」

「答えれることなら」

「魔法の犯罪ってどんなのがあるの?」

「お前当事者じゃないか」

「あれ以外に」

「まあ、一般人相手に使って金儲けする奴もいれば武力介入して国の乗っ取りなんかもあった気がする」

「えっ、魔法って国すらどうにかできるの?」

「余程腕の経つ魔法使いじゃなきゃ無理だ。確かソイツは……黒の魔法使いだっけか」

「統括会のトップじゃない」

「魔法に魅入られし者、魔法に操られし者」

「なにそれ」

「魔法使いに伝わる言葉さ。魔法は便利だ。力にもなる。だからこそ正しい心の在り方が必要だって教訓」

「正しい心の在り方」

「……怒らないで欲しい。君の父親は魔法に魅入られて心の隙を付かれたんだと思う。クローンなんて現代科学でも難しい事を魔法と組み合わせあと一歩の所まで完成させたんだ。実力と技術はあったんだろう。でも心が弱かった」

「別におこってるわけじゃないんだけどアナタも心は強くないわ。危うさを感じるもの」

「……そう、だな。でもどうしようも無い。さて、無駄話が過ぎたね。行こうか」

「ねえ、空」

「私はあなたの味方よ。きっとくうもね」


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