囚われ四重奏46
レーナの赤い目は生後数週間すると鳴りを潜めた。
両親はアルビノの子供と思っていたらしく、瞳の色が真っ黒に変色してパニックに陥ったそう。
レーナは人とは違うものを見ているんだと気付くのに随分と時間がかかった。
家の天井付近には必ず赤い球体が見えていて、指をさして訴えても両親は顔を傾げるだけだった。
言葉すら話せない幼子にしては両親が理解できないことが不思議でいっつも首を傾げてたそう。
幼稚園に上がる頃には他の子よりも凛としていて周りの大人達からはいつも大人びてると言われていた。
実際にその頃には思考し、他の子達が何故私の言う事を嘘というのか考えていた。
ある時、男の子にふざけて押された時、イラついたのかその子を思いっきり殴り飛ばした時がある。
その子は数メートル吹き飛んで救急車で運ばれて行った。
この時に他の子よりも力がものすごく強いと認識され、腫れ物の様に扱われた。
力が強い、それだけで誰も私を愛してくれはしなかった。
両親も手に余ったのだろう、早々に母方の祖母の家に半ば強引に押し付ける形でレーナの住処は山で囲まれているような田舎になった。
養育費は入れていたようで何不自由することなく、過ごすことは出来ていた。
山には精霊が多くいる。
よく、フラフラと山の中に入って人外の者と遊んでいた。
今思えばそれは魔力の扱い方を教えてくれていたのかもしれない。
小学校に上がる時には怪力のコントロールは完全に出来ていた。
それでも、何かのきっかけでまた恐れられるのは嫌だった。
何もしなければ、なんの感情も向けられない。
レーナは中学へ上がるまで必要最低限しか話さなかった。
おかしいと思う事は多々あった。
満月の日には必ず目が赤くなる。そして、血を渇望する時がある。
レーナはどうしていいのか分からない。だから自分の手を噛んで自分の血を舐めていた。
そうすれば気分が幾分か落ち着いたからだ。
不思議なことに噛んだ後が残ったことは無い。
ド田舎には高校はないからちょっと街まで降りなきゃ行けなかった。
そんな矢先気づいたらここにいた。
「池鳥は私に優しくしてくれるから、好きよ」




