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囚われ四重奏28
「ッ!ここは…」
姫が何かに気が付いた様で口に手を当て驚愕していた。
「何か知ってるかい嬢ちゃん」
エレが姫に訪ねる。
「はい。ここは負の遺産です」
工場の様な見た目の建物が立ち並び1つの街、いやスラムの様に感じる。
排気ガスのせいか空気は重く、油の臭いが強い。
レーナは服で口元を覆って顔を顰めている。
草原は晴天だったのにここは何処までも排ガスで薄暗く光の届かない世界だった。
今も稼働している様で機械の音があちこちから聞こえる。
「軍事基地と研究所です。もう何十年も前に潰したとお父様は仰っていました。なのに何故」
ヴァンパイアがユラユラと生気のない顔で歩く姿がある。
「移動しよう」
「……安全な場所は無いかもしれません」
「その時は作るか制圧するまでさ、さぁ、行こう」
皆が動き出すときレーナは幽鬼の様なヴァンパイアをじっとみていた。




