囚われ四重奏26
「……ただの草原じゃないね。まだヴァンパイア共の国か、次元だな」
「オイオイオイ、大丈夫なのかよぉ!」
鈴が若干焦ったようなエレの様子に不安に駆られる。
「ッスね。嫌な気配感じるッス」
アックスは斧を持ち直しいつでも動ける準備をする。
アックスは魔法を使えない。しかし魔力の量はネクをも凌ぐ。
主な戦闘方法は……
「オラァァァァァァァァァァァァァ!!」
斧を振るい次元の裂け目から伸びる黒く人の手ではない手が池鳥の背後に現れると同時にアックスが動き黒き手を叩き割った。
魔力を乗せた斧を魔力で無理やり強化した身体能力で振るい、辺りに突風が吹き荒れる。
膂力は計り知れない。これがアックスの戦い方。シンプルで強い。脳筋だった。
レーナはアックスの体の中の魔力の巡りを凝縮していた。物珍しさと膂力への羨望が芽生えた。
「あっ、あっち!あっち行きましょう!何か感じる!」
池鳥は目の前の普通じゃない出来事に混乱する中で、無意識下で安全を願った。
それは目覚めたばかりのヴァンパイアの力を引き出した。
エレは何となく池鳥の素質に当たりをつけ、
「案内してくれるかい?」
と、池鳥を先導させ移動する。




