囚われ四重奏24
「おっ、来たね小僧」
「………どうして、あなたが、いらっしゃるのですか」
フォールスは困惑していた。
アックスが下級とはいえヴァンパイア達を蹴散らし姫君と合流する事は容易だと考えていたし、実際その通りになっている。
「肩慣らしに来たんだけどねぇ、もう終わっちまってさ」
我が魔導図書館最高戦力、エレ。
素性は不明。多分ネクは知っているのだろうけどフォールスには知らされていない事だった。
「な、なぁ!俺達どうなるんだ!?一体何なんだ、アンタ達」
4人の転生者達のリーダー格の男の子がそう訪ねてくる。
「………時間が惜しい。詳しいことは後で」
「…連れていった先で私を確実に殺すかもしれない。今、言え」
静かな声はしかし圧力を持って言霊となった。
フォールスといえど転生者の少女に一瞬怯んだ。
「何なんだこの子…」
アックスは何か恐ろしいものを見るように少女を見る。
「嬢ちゃん、アンタはそんなこと言える立場じゃーない」
「そうかもね、でも、従う理由もないのよ」
小首を傾げ虚空を写す瞳でエレに言う。
流石のエレもなにか得体の知れないものを感じ取ったのか簡潔に説明する。
「嬢ちゃん達は前世がある。そして、攫われていた。そこで勝手ながら私達が助けに来たってわけさ。さぁ、もう良いだろう」
「……より詳しい事の説明があると期待する」
少女はそう言って歩き出し、虚空に指で線を引く。すると時空が歪み現実世界が現れた。
これにはアックスはもちろんフォールスとエレも驚いた。
「どうしてそれができるんだい!?」
「あなた達が適切な事を言ってくれたら私も言うわ」
そう言って誰よりも先に裏世界から戻って行った。




