囚われ四重奏15
プリンセス、姫と呼ばれる女の子は一瞬の間に転生体の4人の元へ移動した。
「うわっ!」
鈴がいきなりの強風に腕で顔を守っていた。
レーナはじっと激闘を繰り広げる2人を見ている。まるで、師匠から技を見て盗む弟子の眼差しだった。
「さぁ、早く来なさい」
プリンセスがそう言うと、状態を上手く掴めてない男の子3人は指示に従った。
プリンセスの言葉は魔力を載せれば魅了の力が宿る。
「……レーナ?」
鈴はぼんやりとした思考の中でレーナが着いてきてないことに気付いた。
「なっ、私の声を破ったの……」
プリンセスは驚愕し、畏怖した。
鈴の未熟の才能の鱗片に。
「……ここがどこで私が何なのかなんてどうでもいいの」
「な、何言ってるんだ。ほら、行くぞ。池鳥も待ってる」
ここで、鈴が池鳥の名を出したのは偶然だった。
ただ、それでもレーナは一瞬迷う素振りを見せた。
「チッ、いいから!来い!」
プリンセスが苛立ちを見せながら叫ぶ。
今度はレーナも着いていく。
「フォールス!時間稼ぎお願い!」
「承知」
「舐められたもんですな、行きなさい。ヨテット!」
ヨテットと言われたものが天井を崩し現れた。
それは全長3mは有ろうかというほど巨大な蝙蝠だった。
「多重結界、帝王の血!」
プリンセスが5人を後ろに追いやって穴に立ち、両手を地面に付け魔力を流す。
ぶわっとプリンセスから鮮血が霧状に舞、壁を作り固まった。
「さあ、行くわ」
プリンセスは合流地点を目指し走った。




