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囚われ四重奏10
急に執事はその場から離れた。
執事がいた場所に白の閃光が走る。
「何故ここに貴方のような劣等種がいるのです」
執事は跳躍し、男の後ろで着地する。
およそ人間のできる身体能力を超えた動きだ。
「…………救うため」
男は長い沈黙の後一言だけボソリと呟いた。
「おいおいおい!今度はなんだ!」
鈴が文句を言う。
「あの人、強い」
レーナは尻もちを着いた状態で男をみる。
恐れているような憧れている様な視線。
執事と急に現れた男はエントランスホールの様な場所で一進一退の攻防を繰り広げている。
「どうする……」
池鳥は今来た階段を見ながら呟いた。
「動かない方がいい、壁際で待とう」
それに対し零はあえて、皆の方を向いて落ち着くように指示を出す。




