囚われ四重奏3
「あ、すいません。起きてました」
そう言って最後の1人は挙手しながら起き上がる。気まずそうに。
「あ、うん」
池鳥はなんと言っていいか分からないようで相槌だけ打った。
「なんか、ごめん」
ものすごいテンションの下がりを部屋から感じ取ったのか男の子はもう一度謝った。
「あー君は?」
池鳥は可哀想なものを見る目で形式的に名前を聞いた。
「フフん、良くぞ聞いてくれました。俺は…」
名前を聞かれただけで水を得た魚の様に鷹揚を付けて喋り始めるが、「ドア開いたよー」とレーナは男の子そっちのけで部屋から出ていこうとする。
「いや、自己紹介くらいやらせて!明らかに興味無さそうだけどぉ!皆やったじゃぁん!」
「レーナ」
レーナは振り返って名前だけを言う。
「あれ?吸血鬼のくだりやんないんだ……」
さっきまで起きていて会話を聞いていた身からすると少し寂しそうに映る。
「彼女かなり自由だよね、改めて池鳥です」
流石に可哀想すぎて同情したのか池鳥は自分から名乗った。
「あ、ああ。よろしくね。俺は鈴。君優しいね」
「僕は零。可愛い名前だね」
零の見た目は女の子と見間違えるほどの整った顔つきで、そんな顔から微笑みながら褒めている。
「おいー、名前いじるなよー。分かってるよこの見た目に対して可愛すぎる名前って」
一方日本人ながら彫りが深く、少し肥満な体型を気にしている鈴は拗ねたように言う。
「いいじゃん、鈴」
「そうだよ、鈴」
2人してからかい笑い上げている。
レーナはどっか行った。




