黒霧の少女、乃愛12
各組織のトップが集まることは稀らしい。
統括会からは4名。
魔導図書館はくうを入れた3名。
遅れて来た陰陽局の人は4名。うち2人はなんだか人じゃないみたいに感じる。
遅れてきたのに悪びれもしない。ちょっと嫌な感じ。偉そうだ。
「揃ったな」
賢者がそれぞれの組織を見渡して、会議を始めようとした時、ドアが開けられみなの視線が集中した。
「いやはや、仲間はずれはよろしゅうないなあ」
誰もが思わぬ登場人物の現れに固まった。
ある者は畏怖し、驚愕し、ある者は警戒し、睨みつける。
とんだ嫌われ者だった。
「守護者代表、燈火です」
「何しに来た!」
陰陽師の老人が怒りも顕に怒鳴りつける。
「黒霧はうちの弟子、空の管轄下や。説明したろおもてな」
チラリと横目に見ただけで気にした風もなく燈火が説明する。爆弾付きで。
魔導図書館サイドとママ以外がざわめく。
議題の内容、禁止指定の魔術具の使用。黒霧の少女の処遇。被害の補填、及び修繕等。
そして、黒霧を使役する空の所有権について。
今回のメリット全てを燈火は主張した。
「オホン、静粛に。黒霧の罪は重いのだぞ、幽閉せねば示しもつかぬて」
「幽閉?どこの組織の?」
燈火はイライラした様子で単語を一つ一つ区切りながらゆっくりと聞き返した。
「それを含めの会議じゃ」
賢者は依然とした態度で迎え撃つ。
すると燈火は魔力を全開にし、会議室を覆った。
一種の固有世界を構築したのだ。
今、この場では燈火の意思一つで生きるも死ぬも決まるのを肌で感じる。
「要らねーよ、空、及び黒霧こと乃愛の身柄は私が管理する」
空気がガラリと変わる。
ビリビリと痺れるような圧。近寄り難い威厳。
何よりも圧倒的強者の覇気で有無を言わせなかった。
この人は何かある。
誰もが燈火という人物に抱いていた疑念は、この場で確信へと変わり、しかし、なにもできないでいた。




