黒霧の少女、乃愛11
くうは統括会の最上階の円形のどデカい机が真ん中に置かれている会議室にやってきた。
椅子の数は相当数ある。
「じゃ、私あっちだから」
そう言ってママは上座に座る老人の元へ歩いていった。
あの人が賢者。気配を感じない。そこに居るのにそこには居ない様な錯覚を感じる。
「………くう、あの人を、よく見ておけ」
「うん、それがいい。くうは基本的に当事者だけど発言はしなくていいから賢者をよく見て魔力の扱い方を掴めるようにした方がいい」
「私、会議に来る意味あったの?」
「ないよ。ライセンスないじゃん。無理を通して出席させただけ。賢者を見せる為にね」
もう一度老人を見る。目を凝らせば凝らすほど見えなくなる。
首を傾げる。なんだあれ?
賢者がこっちを見て、笑ったように見えた。
フォールスが、静かにお辞儀して着席した。
「おい!私を除け者にしようなんてどーゆー事だ!」
北欧系の綺麗なお姉さんが汚い言葉遣いで入口のドアを蹴飛ばし入ってきた。
ドアの真ん前で様子を見ていたくうは驚きのあまり後ろを振り返り飛びぞいた。
「悩みの種がきおった……」
威厳ある賢者からただのおじいちゃんみたいな雰囲気に、変わった。
この人は誰だろう。
ネクが手招きして座るよう促す。
くうはそれに従ってネクの隣に座る。
「今入ってきたのが時期学園長、雅・アテンダントだ。謎多き人物だが、ただ1つハッキリしてることは強いって事」
「どのくらい?」
「色のレベルは間違いない。もしかするとそれ以上かもしれないらしい」
「ふーん。あ、でも確かに賢者と同じふうに見え
る」
雅も存在感に対して認識がしにくい。
惑わされてる気分だ。
これが世界のトップ達。
私には目標とかないけど漠然と憧れを抱いた。
それは、強さをがむしゃらに求める空の後ろ姿を見てきたからだろうか。もがく姿はくうにはかっこよく写り、焼き付いていた。




