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旧式 時と歌  作者: 新規四季
124/220

黒霧の少女、乃愛4

夢なのだと理解した。

黒い世界。絡みつく闇。

「あら、やっと気が付いた。夢の中ですけれど」

姿は無く、声だけが頭の中に直接響く。

「……乃愛」

「気安く呼ばないでくださる?」

接点は少なかったが、面と向かって話した乃愛はこんな冷酷で重い声じゃなかったはずだ。

嘲笑と苛立ち。彼女からは嫌な圧力を感じる。

「これからお前はどうするつもりだ」

「ええ、本体の話ですね。記憶を無くした時に罪を犯しました。普通に考えれば投獄ですね」

思ったよりも冷静に状況を把握している。取り乱しもしない。諦めと未練だけが彼女に寄り添っているのかもしれない。

「条件付きだが、それを回避出来るかもと言ったらどうする?」

澄ました感じを出しても所々声は震えている。

黒霧の力は今後魔法界では畏怖の目で見られるかもしれない。それでも手中に収めることが出来るなら……

「何ですか?情でも沸きましたか?浅はかな人」

乃愛は答えず、はぐらかす。

馬鹿にした様子を見せるが虚勢だろう。

「答えろよ。無理やり答えさせる事も出来るぞ」

右手の契約の指輪の力は本物だ。傀儡にさせて従わせるなんて簡単だ。

そんなことする程の魔力量はないけれど。

「……ええ、そうですね。もう正常では無いとはいえ自由の身は惜しいです」

少しの間を開けて乃愛は答える。

「なら、力をくれ。その黒霧の力を」

契約の指輪は借りる事は簡単だ。だから協力という形を取りたい。それを条件にだす。

「やはり、貴方も所詮力の亡者なのね。小さいのに可哀想」

激しい怒り。絡みつく闇が力を増しより重くなる。

他者に力の為に家族を壊され、記憶を無くし、挙句の果てには投獄。

地獄の様な末路。

被害者。

同情はするさ。ただ人権を無視してでも力がいる。

「……目的があるんだ。その為なら多少は手を汚すさ」

「どんな素敵な目的なのかしら、聞かせて貰えないかしら」

空は語った。

それは、誰にも言ったことの無い無謀に近い目的で、それ故に幼きながら命を賭けている事を。

「アハハハ!狂ってる!貴方も正常じゃないわ!いいですよ、不本意ですが黒霧を共有してあげましょう、私の身の安全と引き換えに」

乃愛は聞き終わり、笑い、共感した。

根底にある憎しみと共に黒霧を貸し出すことを了承した。

ここに、2つの起源の魔法持ちが生まれた。


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