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B‐BOY秘密結社  作者: 東雲 ヘルス
夢みる熱帯魚
13/23

アプローチ

金曜日


この日、シンゴは群馬県富岡市の車工場からランサーを引き取り、上信越道から関越へ入り、少し渋滞していたが、外環へ入りそこから首都高で木場まで帰ってきた。


代車で使っていたとはいえ、走行距離は5万キロ見た目はとても綺麗だった。

そのランエボを型落ちとはいえ、20万+整備費で譲ってくれた。

「こんな掘り出し物はないぞ!」

と工場の社長に言われた。

確かにそうだ。おまけに、ナンバー登録もやってくれるそうだ。

社長は理由も聞かずに、車を用意してくれ、車庫も貸してくれる。なんていい人なんだと痛感した。

この工場の社長とは昔ちょっとした因縁の仲なので今でも良くしてくれる。


社長曰く

「一応整備点検はしてあるけど、どうせお前の事だから、無茶なスピード出すんだろう?」

俺ってどう思われてるんだ。。 まぁその通りなんだけど。


社長はニヤケ顔で続けた

「だからこの車用意したんだよ。まぁ乗れば解る」


「ふーーんまぁ、ありがとう。今度改めてお礼させてもらうよ」

と言って、礼なんてしたこと無かったが、今回はこの件が終わったら、伊香保温泉にでも来ようとおもうので、ついでにお礼しに来ようと思う。


朝家を出て、電車で富岡まで来たので時刻は15時に指しかかっていた。意外に時間が無い事に気が着いた。早速帰ることにしたが、

試走もしたいので、スピードを出せる道路を選んだ。

上信越から関越に入ってすぐ北関東道に入る、そして東北道を南下して帰るルートを選んだ。

北関東道は出来たばかりなのでカーナビにもまだ乗って居ない場合が多いのでかなり空いているし、上信越みたいに覆面が居ないので、試走にはもってこいだった。

キーを回転させエンジンに火を入れたところで、携帯が鳴った。

フリップを開けてみると、アキからイチに送ったメールの転送がイチから送られてきた。

何か嫌な予感がしたが、フリップを開いて中身をみた


「お疲れ様です。今日学校で奇面組の奴らが言っていたんですが、今週末は先輩が全員忙しいので、急に集まりが無くなったそうです。良かったです。一応報告しておきます。」


との内容だった。

不自然だ。

なんで今週末に限って。。。

こっちの動きが悟られたか?

何かミスして気づかれたか?

色々な考えがよぎったが、とにかく東京に急いで帰ることにした。

ランエボは実は前に群馬時代乗っていた車だったので、懐かしいステアリングの感覚に感動した。

走り出してみると、普段乗っている営業車とはまるで違う扱いに、初めのうちは戸惑ったが、すぐに慣れた。

富岡インターに入って、ETCゲートを通過して東京方面へ向かって、スピードを少し出してその異変に気が付いた


足回り、車体の安定感がまるで違う。

ガチガチの足回り。タイヤが路面に吸い付くような感覚。ステアリングを切っても、決して歪まない車体。

かなりイジッてある。

見た目にはほぼわからないが、補強も相当入れてある。

タイヤが極太なので、薄々は感じていたが、とにかく物凄いマシンだ。


社長め・・・

ありがたくて涙がでた。

東京に着いて確認したが、ナンバーにはオービスやNシステムから認識されないように、特殊のアクリル板が薄く貼ってあった。

昔の「ニンジャプレート」の進化版だ。


首都高で少しの渋滞があったものの、2時間で地元に着いた

所々で240km/hまで出してみたが、車はなんともなかったどころか、凄く調子がいいようだ。

今度深夜に300まで出してみようと思った。


夕方に東京に到着すると、シンゴはオートバックスに行って、雪用チェーンと車用の工具、長めの結束バンド、バールを買った。

それらを車に積み込むとメールで召集の合図を送った。


20時にイチ、ナチの順で拾いに行く事を告げた。

その間、食事を済ませ、洗車をし、あらかじめ用意しておいた足立ナンバーにナンバーを付け替えた。

万が一でも、群馬の社長に迷惑をかけるわけにはいかないからだ。


3人が乗った車は、先ず西葛西の公園に着いた。

公園には、すぐ脇の路上に数台の下品な単車と1台のスポーツカーが停まっていた。

シンゴ達は少し離れた場所に車を停め、公園の中の様子を伺った。

ナチから車の中で受け渡された顔写真付きの資料と公園の中の人を見比べた。

ひっそりと静まり返った公園の中の自販機前に集まってる人物の中から、その顔を探した。

自販機の光では心もとなく、かといって近寄れないので、結局顔は確認できなかったので、作戦を変え、スポーツカーを見張ることにした。

すると、ほどなくして二人の少年がポケットに手を突っ込みながら、こちらへ歩いてきた。

なにやらごそごそと話しながら車に乗り込むと、野太い排気音とともに走り去っていった。


2人の少年はカトウとマサルだった。

2人を乗せた車は一旦三ノ輪に向かい、カトウを下した後、トモの家に向かった。

マサルがトモの家に入ったのを見届けて、地元に帰ってきた。

今日の打ち合わせは車でした。


色々なことが解って、様々な憶測があるが、明日は予定通りに夕方からトモの家を張り込むことにした。

奴らは暗くなってから必ず動く。

という確信が3人にはあった。

そう。誰として口には出さなかったが、最悪の事態を予想できたからだ。


もう後戻りもできないし、下手をすれば自分たちも相当やばい

警察、ヤクザ、両方に狙われる羽目になる。

相当な覚悟を決めて、この件に関わったが、逃げ出したい気持ちで皆いっぱいのはずだ。

最悪の予想が的中してれば・・・


帰り際に、ナチが言った

「アプローチは終わった。明日アタックするのみだね」

と、間の抜けたような言い回しにイチもシンゴも救われた。


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