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B‐BOY秘密結社  作者: 東雲 ヘルス
夢みる熱帯魚
11/23

サードプラン

秋の夜風を背中に受けながら、小走りで駅に向かう。

いつもなら電車とバスで移動なのだが、今日は仲間を待たせているので、タクシーで行くことにした。深夜料金なので、結構高いが・・仕方が無い。それに今日聞いた内容をいち早く仲間に伝える必要があった。


駅前でタクシーに乗り込むと、「木場公園まで」とだけ伝え、シートに深々と座った。

夜の荒川を渡り、江東区に吸い込まれていく。

空は晴れていて、月が良く見える夜だった。

ふと、IPODを取り出し、[MURDER WAS The CASE]のアルバムを呼び出した。こんな重い気持ちは初めてだ。

イチは、IPODのイヤホンを耳にして、音楽に入った。

西海岸のhip hop。思いっきりギャング系の悪そうな曲。

こんな曲が今夜には最適だった。おかげで色々と頭も整理され、「これからすべきこと」が次々とうかんだ。そして、ちょっとした糸口を見つける「方法」を思いついたのだ。



木場公園はみんなが家から一番近いなかでも、比較的大きな公園で、よくシンゴとナチは昔スケートをしていた馴染みの公園だった。

シンゴもナチもイチも平日はそれぞれ、ジムや道場に通っている為、酒を呑まないってのもあるが、今回も相当な密談の為、居酒屋ではダメなのだ。かといって、カラオケも金が掛かるので却下。自然と近場で昔から溜まっていた馴染みの木場公園が会議室となったのだ。


タクシーが走り出してしばらくすると、少しの安堵感と憂鬱がやってきた。というのも、今回の事件のことじゃなく、仕事のことだ。

今週は明日から金曜までみっちりシフトに入っている。

なんでも、オーナーが別の用事で週末まで店に出られないらしいからだ。

何時も大体DVDショップには居ないのだが、毎日少しでも店に来て、在庫管理と時に仕入れの段取りをして帰るのだ。

DVDショップはそんなに毎日売れるわけではないが、マニアな人向けの為、需要はそこそこあるのだ。

だから一度来たマニアの「ツボ」にはまれば、100%の確率でリピーターになる。

そんな、顧客の期待を裏切ってはならないし、1つのタイトルにつき何枚も在庫を抱えるわけではないので、常に在庫はチェックして、補充しなければならないのだ。大型のチェーン店ではなく個人店の為、在庫を沢山抱えられない代わりに、

「少ないお客をがっちり放さない」というやり方でオーナーは今までやってきた。賢いオーナーなのだ。


今週はそのオーナーが居ないとなると、在庫管理と仕入れの管理をやらなくてはいけないし、何よりイチ1人なので、シフトに穴をあけられないのだ。

こんな時に・・・運が悪い。

ただ、その代わりと言ってはなんだが、週末の土日の連休はコンビニも、パートのおばちゃんがフルで出てくれるし、DVDショップも休んでいいとのこと。つまり土日の連休は動けると言うことだ。

もう、ココしかない。真美に約束したとおりココでケリをつけるしかないと思っていた。

だが、イチはこの時、重要なことを見逃していたのだった。




三つ目通りまで来て、タクシーを降りると、イチは「第3会議室」を目指した。

「第3会議室」とは、ただの売店前。

夜は勿論売店はシャッターがしまっているが、自販機で飲み物も買えるし、椅子だってテーブルだってある。シンゴはここを第3会議室と呼んでいた。

第1はいつもの居酒屋。第2は錦糸公園、んで第3は木場公園の売店前。

第5まであるらしいが・・・イチはまだ知らない。


その会議室に着くと、もう2人とも居た。

シンゴは上下黒のadidasのジャージにsupraのスニーカー

ナチは501のリーバイスにナイキのスニーカー、上はTシャツに古着の白いシャツを着こなしていた。

2人とも、髪型はサラリーマンカット。ナチは相変わらずのヒゲ面。シンゴもうっすらと無精ひげが生えていた。

「お疲れ!」

と、自販機で買った、コーラで乾杯した。

前回散々もめて涙まで流したのに・・・そんな雰囲気は一切無く、いつも通り遊んでるような雰囲気で二人は接してくれた。イチは

「やっぱこの2人が友達で良かった」と居心地の良さを感じた。


イチは真剣な面持ちに戻り少し考え、1から順に、今日真美と話した内容をすべて思い出す限り話した。

シンゴとナチは、口を一切挟むことなく、怪談話でも聞いているかのように、イチに耳を傾けた。

一通り話し終えると、3人ともどっと疲れた表情になった、そして鋭い光が目に宿った。


それまで黙って聞いていたナチが口を開いた。

「糞餓鬼どもめが・・・悪魔だな。」


珍しく感情を露にしたナチを見るのは久しぶりだった。いや、初めてかもしれない。

次にシンゴが口を開いた。


「落ち着いて整理しよう。」


シンゴは意外と冷静だった。おそらくこんな局面は初めてだろう。けど、放り出すわけにはいかない。

そんな決意が感じられた。


イチが続いた

「このリーダーのカトウを何とかすれば、こいつらは解散するな。」


「あと、これは俺の意見だけど、こいつら全員警察に突き出しても、少年法だなんだって言って、すぐに出てきてた、同じ様なことするぞ。んで、真美たちに仕返しが来る」


すかさずシンゴが答えた

「解ってる。だから俺たちが動くんだ。」


それから3人はしばらく話し合った。

結果

カトウは地元に居られないくらいに痛めつけ、肉体的にも精神的にも「壊す」必要があると言うことになった。

最悪「殺す」こともありえると。

「カトウ」の件は本人と対面した後に決めることにしたが、皆「覚悟」は出来てるということだ。


この時点でイチは密かに実行していることがあった。

それは昔のセキュリティー時代の友人をたどって、沖縄の方のヤクザ「前原組」に連絡を取っていた。

「前原組」とは、戦後直後にできた沖縄を拠点とする「関東」にも「関西」にも属さない組だ。

日本のヤクザ組織はだいたい関東「菊川会」関西「川口組」などの大きな組織の息がかかっている。だが、この「前原組」だけは、唯一どこの盃を受ける事も無く、単独で大きくなった組だ。沖縄には土地柄、色々な組織の人間が居るが、沖縄を仕切っているのは「前原組」だった。古くからある由緒正しき組と言う事もあるが、関東からも関西からも一目置かれている組ということに間違えはないようだ。


イチは、カトウ、マサル、の2人をこの「前原組」に預けるつもりでいた。

しかし、ヤクザが無料で厄介ごとを引き受けてくれるはずは無い。

これをやってしまえば、イチ自身も沖縄に移住して「前原組」のフロント企業で働くことを約束させられていたのだ。

だから、2人には言えないし、出来ればこの方法は使いたくないが、2人を殺人者にしてしまうよりはマシとの事での保険だった。


一方シンゴもナチもイチの企んでる「何か」があることを察知しており、いざという時は、自分ひとりがカトウを「処分」する心算でいた。


カトウの「処遇」はこんなところで、具体的な作戦について話合いは進んだ。

先ず、奴らの「背後」の事。

確実にヤクザもしくはそれなりの不良の組織がバックにいると踏んでいた

真美のレイプでは、ビデオカメラを回してる役目の奴がいて、そのデータを使って真美を恐喝するわけでもなく、どこかにそのデータを持っていかなくてはならないという事が、真美の話から判明している。

そして、このデータを持っていく役目は必ずカトウで、カトウは面倒くさそうにしていたのだ。


何時もならカトウはこういうお使いの類は手下である、マサル、トモ、ケンタに命令し、その役目が重要でない限り、明、タケなどの無数にいる中学生に「仕事」が振り分けられるのだ。

だから、このデータを届けるという仕事がいかに重要か、そして届け先がカトウの「上」であることに間違いということなのだ。


この話を真美から聞いて、バイト先のDVDショップで仕事をしている時に、イチは思いついた。

まさか・・・

「女子高生レイプ物」のDVDはやまのようにタイトルはあるが、レンタルには「本当にヤバイヤツ」は出回らない。代わりに、セルビデオではたまに「本当にヤバイヤツ」が入ってくる。

もしかしたら・・・・


このことを2人に話すと、「調べられるか?」ということになり

都合よく明日からオーナー不在の為在庫管理を任されているので、ショップのデータベースでそれらしき販売元を調べてみることにした。

怪しい販売元、をピックアップして、ナチに情報を送信する。そこからはナチの出番だ。

内容を確認し、販売元、プロダクションを調べる。

3人の感が当たっていれば、奴らの背後関係、仕事内容、行動パターンも明らかになる。


次に現時点で解ってる限りで、奴らの行動パターンをまとめ、拉致されている女子高生の救出、奴らへの攻撃を話し合った。


奴らは、土日祝日など、仕事が休みの日に活発することは前にも調べて知っていた。

この頃、奴らは週末は大概、レイプに勤しんでいた。そして

真美がレイプされたのは何時も奴らが使っているホテルだということ。

このホテルはどうやら奴らの「行き着け」で毎回同じホテルを使用していること。

そしてこのホテルは、錦糸町にある「アンデルセン」であることが判明していた。


また、週末は、大体平日の溜まり場である、西葛西の公園には喧嘩が好きなロウと手下しかいなく

カトウ、マサル、トモ、ケンタ、はトモの家に集まり、監禁した女子高生をいたぶって遊び、カトウとマサルが車で出かけ、ロウも含めた5人で錦糸町の「アンデルセン」に集合するというパターンだった。

勿論、車で出かけた二人は、後部座席に2人もしくは1人の女子高生を乗せてくるのだ。

こうして深夜まで(時には朝まで)女子高生を弄び、ビデオを撮り、終わるとトモとケンタで女子高生を荒川の土手に「捨てに」行くのだ。

カトウとマサルは各々家に帰って行くという週末のパターン。


実に身勝手な2人。

先ず、この2人から攻めることにした。

あとは、トモ、ケンタを攻め

次に、ロウ、中学生ども

という順に、手早く襲っていくことにした。


そして、監禁されてる女子高生の救出

ここが、一番の難関だが、一番重要なところでもあった。

何しろ命が関わってる。


3人は綿密な計画を立てるため、明日から土曜日まで毎日ミーティングをすることにした。

とりあえず明日には、方向がしっかりする。

なんだか、わくわくする3人がいた。


決戦は土曜日。



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