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アカネ・パラドックス  作者: 雲黒斎草菜
《第一章》旅の途中
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衛星・イクト

  

  

 シロタマがスタンドアローンなどという新たな状態になると注意喚起をするところを鑑みると、こいつはメインのスーパーコンピュータであるW3Cとリンクされているから、あんな超人間的な言動が可能だったのだと考えていいのではないか。ようするに、こいつもスマホの音声認識と変わらない程度さ。それならここから先は普通の機械となり、おとなしくなるだろう……とな。


 そんなシロタマが司令室にいそいそとやって来て、こう言った。

「さぁーさ。しゃる(猿)回しのお時間れしゅよー。おしゃるさんがどんな運転をするか、お手並み拝見といきませぅ」


 どこが────っ!


 何も変わってないじゃねえか。その舐めた口調はこいつの地なのか、ちょっと調べてみたいところだが、そんなことをする時間はマジで無さそうで、銀龍の前方を映し出していたスクリーンに黒墨が広がったのだ。故障ではない、暗闇が迫って来たのさ。


 社長はビューワーの前で浮かんでいたシロタマを暖簾(のれん)でも払うみたいにして、手で(はた)退()けて俺たちに命じた。

「裏側へ入りまっせ。全員座席についてシートベルト着用や」

 タマ野郎を無視する作戦のようだ。


 シロタマは「きゅぁー」とか悲鳴を上げて、一旦壁にバウンドした後、怒って司令室から出て行き、玲子は両方の行動を対比するような目で観察していたが、諦めた眼差しを浮かべると、さっさと自分の席についてベルトをロックした。


 少ししてイクトの地上を映すスクリーンに、地上の影が長く伸びて来てさらに暗闇が広がった。


 時折、船首のほうでカラフルな火花が散るのは、電磁シールドにデブリが当たって消滅する時の光りだと後で知ったのだが、つい見惚れてしまうほど赤や青などカラフルで美しいものだった。

 あー。ついでに、その色の違いは衝突物の成分によるものだと、ま、どうでもいい補足を加えておこう。



「ほな、機長。高度を所定位置まで下げて、例のシステムを起動してや」


《了解……》


 黒い幕が引き下ろされたかのように急激に闇が銀龍を包み込むと、胃の辺りがきゅんと締め付けられた。


「腹減ったな……」

 そう空腹だった。

「待合室の喫茶店でコーヒーだけで済ますからダすよ」

 と言った田吾は、ピザを頬張っていたのを記憶している。これから宇宙に出ると言うのによく食べられるなと、玲子と一緒になって感心していたのでよく覚えている。


 でも、ちょっぴり後悔したのはマジな話で。こんな簡単にイクトの周回軌道に乗るとは思ってもいなくて、食事のチャンスはまだあるだろうと踏んでいた。だが発射後30分ほどしか時間は経過していないのにもう到着だ。たぶん任務が終了するまでそのチャンスはもう無い。


「……スケ!」

 呼ばれていたことに気付かなかった。

「えっ?」

 振り返ると頭から湯気をほこほこさせた社長が突っ立っていた。


「ボケーッとしなはんな! サーチライト点けんかいな!」


「ご、ごめん」

 ほらな。腹が減ると良くないことが起きる、これは俺のジンクスだ。


 頭を掻きながらスイッチを入れる。

 シュパっとスクリーンが白くなり、光を反射させた地上のゴツゴツとした岩肌に長い影が伸び、引き千切る勢いで後方へ消えた。


 瞬間湯沸かし器という異名をも持つ社長は、名前のとおりもう冷めており、ニコニコしながら、低空飛行に切り替わった映像を指差した。

「みんな、よう拝んどきなはれや。機長のホンマの実力はこれからやで」


 銀龍はかなりの低空を高速で飛んでおり、きついコントラストで映し出された岩山が猛烈な速度で飛び去って行く景色は、マジで鳥肌ものだった。


「あっ!」

 そそり立つ岩壁がサーチライトに照らされた。

 司令室の空気が一瞬で強張るものの、それを右に楽々とかわすと、さーっと上昇。まるで鳥のように向こう側へ回り込んだ。


「……さすが機長ね」と玲子は吐息混じり。

「どや。たいしたもんやろ。これで宇宙を飛ぶのが初めてやとは……信じられへんで……ワシも鼻が高いワ」

「こんなスピードで渓谷地帯を飛んで大丈夫なんすか?」

 心なしか俺の声は震えていた。


 黒々と彫り刻まれた深い谷。横たわった大蛇がのた打ち回った跡みたいな景色が、激烈な速度で迫るのだから、そりゃあ生きた心地はしない。

 鋭く尖った岩山がギャンギャン突き出しており、剣山と言っても過言じゃない。そこへと頭から突っ込んで行く銀龍。


「うはぁ。こりゃすげえや」

「空気が無くて風雨に晒されへんから、何万年もこのままなんや……見てみいあの岩。刃物みたいやがな」

 機体を斜めに傾け、さらに降下する。獲物を見つけた猛禽類さながらの急峻な角度で渓谷の底へ突っ込んで行った。


「どわぁぁうっ!」

 スクリーンいっぱいに広がる岩肌が瞬時に後方へ。

 映像に釣られて反射的に体を逸らしてしまう。田吾は固く目をつむり、俺と社長は肩をすくめ顔をしかめるものの、玲子は黙って睨みつけていた。

 こいつも野性動物並の動体視力なので平気なのだろう。

 それにしたって、狭い谷間を右へ左へ、上へ下へ、障害物を素早く避けつつ飛翔する姿は、まさに狩りをする鷹だな。


 バシッ!


 銀龍の側壁を覆うシールド面が岩肌に触れたわずかな振動が響いた。岩石が飛び散って、砂煙が舞い上がるのがスクリーンの端に見える。


「だ、大丈夫ダか? いま機体にぶつかったダすよ」


『地面に擦り当てたのはシールド表面です。機体との間に約1メートルの隙間がありますので少々触れても一切のダメージはありません』


「それって地面まで1メートル以下になったってことじゃないか。も、もうちょい高度上げたほうがいいんじゃね?」

 思わず弱音を吐いた。極度の緊張から体がカチカチに強張ってきた。


「おしゃる(猿)にチてはたいチたモンれすね。今のは80点あげる」

 スクリーンの端っこでシロタマがくだらんことを言うが、言い返すと絡んでくるのでみんな無視だ。


「うあぁー。こんな狭ッ苦しいところをよくこの速度で飛べるダな」

 目を見開いて思わず叫ぶ田吾。見るから怖いんだよと言ってやろうか。

 手のひらに掻いた汗を袖で拭いながら、俺と田吾は互いでっかい口を開け閉めして、司令室内の酸素の消費量を減らすのに躍起になる。


「どぁぁ!」

 細く尖った岩と岩の隙間を銀龍が風の如くすり抜けた。それを目の当たりにした俺の背筋に、液体窒素を流したような寒気が走った。


「いくらなんでも今のは自殺行為だ。機体の背と腹を擦って通り抜けたぜ」

「まぁまぁだね。90点あげよーかな」

 こいつはゲームセンターにでもいるつもりなのか?


 それよりさ。いくらもと戦闘機乗りであっても、銀龍の巨体でアクロバティックな飛行を、しかもこんなにも長時間できるものだろうか。


「次の岩壁がどこから来るのか、見えるみたいね」と玲子が漏らし。

「見てまっせ」

「え?」

 凝視していたスクリーンから目を引き剥がし社長へ移動。


「機長は初めてイクトの地表を飛ぶんですよ?」

「せや。初飛行や」

 スクリーンから目を離し、意味ありげにニタリとした。


「でも……何度もここを飛んだことがあるみたい」

(ぜに)をかけてまんがな」

 と言って胸を張り、社長はスクリーンを指差して言う。

「前回ココを飛んだ無人探査の飛行データから地上の3D地図を拵えたんや。ほんで、機長はその3D地図と、いま見とる映像と重ね合わせて飛んどるわけや」


「3Dマップの作成にはシロタマも協力してるでシュ。おしゃるさんだけでは精度が劣るからね」


「すごいダ、社長。特許モノだスよ」

「じゃあ、機長には次に現れる岩山がどの時点で出現するか、事前にわかってんのか……」

 誰もシロタマを相手にはしていない。


「立体ナビですね。航空機業界に喧嘩を売れますよ」

 喧嘩は売るな。

 それからお前は買うな、近づくな。


「どや!」

 自慢げに鼻の穴を膨らました社長。

「ふへへへ、大もうけやろ」

 気色悪い声に変えた。


 藩主の費用でちゃっかり新しい商品の開発までしていたわけだ、このおっさん。

 ある意味たいしたハゲオヤジだぜ。


 俺は大いに感心するものの、田吾の不安は別のところにあるようで、瞬きを何度も繰り返して怯えている。

「もしデータが間違っていたらどうなるダ?」

「シロタマが手を出してるデしゅ。間違いなんか無いもん」

「そんときはあれでんがな、ぼーんでっせ」

 右手で花火が破裂する真似をして示し、

「いー! お、恐ろしいダ」

 田吾は急いでフィギュアの『ののか』ちゃんを引っ掴むと胸ポケットに仕舞い込んだ。その行動の意味がわからんぜ。


『目的地周辺に到着しました』

 全員から無視されようが、対ヒューマノイドインターフェースは打たれ強い。ついでにしゃあしゃあとゲーム結果まで報告するのだ。


『ただいまの機長の得点は1980ポイント、ハイスコアーです。次は誰が挑戦しますか?』

 誰もやらねえよ。


 社長は渋そうな顔でタマをひと睨みして、マイクボタンを叩く。

「よっしゃ機長、速度落としてや」


《了解です》



 速度が落ちると岩肌の細部まではっきりと見えた。地平線へ向かってウネウネと続く渓谷の隅っこ、窪んだ空地にも似た暗闇に水色の何かが視界に飛び込み、すぐに矢のように後ろへ消えた。


「それやっ! もう一度戻って上空でゆっくり停止」

 銀龍が機首を上げた。真っ黒な宇宙空間がスクリーンに映し出され、ギラギラと瞬かない星々が広がったかと思うと、すぐに地面に戻り、再び進行方向の暗闇にアクアブルーの光が走った。


「おましたで。そこや!」

 ゆっくりと停止。


 全員の視線が謎の物体に釘付けとなった。


 黒い海に沈む水色の宝石だった。

 美しいモノだがどう見ても人工物だ。自然ではあり得ない形をしていた。

 近づくにつれ、その形がハッキリとしてくる。底面が四角形の錐状体。つまりピラミッド型と言われるヤツだ。先端は鋭く尖っており、映像からでも見て取れる、かなり巨大なものだ。


「パーサー。このへんで着陸できるとこはおまへんか?」

《物体から3キロメートル手前に広い場所があります》

「ほな機長。そこに着陸。ほんでから上陸班は転送の準備!」


 出たぁ──転送装置。


 恐怖に身体が凍る。古臭く言うなら物質転送装置さ。物体の分子構造をスキャンし原子の状態にまでバラしたうえに、エネルギーに変換して、送信先で元の分子構造に戻す。SFでは定番だろうけどアルトオーネでは現実さ。しかもその最先端をなんと舞黒屋が驀進しており、それを今から使おうと言う話なのだが、なんとも恐ろしいことだろ。


「あたしが一番ね!」

 玲子は喜び勇み、一回その場で飛び上がり、そのまま庭があったら駆け回る勢いで、転送機の設置してある部屋へ走って行った。

 あんなもん(転送機)に身を投じるなんていう奇特な奴が現れることが、どうしても俺には信じられないのである。


 俺は目をつむって肩をすぼめる。嵐が去るのをじっと耐える小鳥の心境さ。

 その肩を叩くハゲオヤジ。

「何しとんや?」

「へ?」

「屁やないで」

「いや便所は行きたくない」

「何をしょーもないことゆうとんのや。おまはんも行かんかいな」

「いや。俺はいいよ。そうだ、田吾が行きたがっていたぜ」

 ブタは滅相もないと首と手を同時に振り、社長は心外なことを言う。


「田吾は無線技士や。死んでも無線機の前を離れることは許されへん」

 フィギュアをチラつかせたらすぐに離れると思うよ。


「上陸班は玲子とワシと………」

 ぎゅっと俺を睨んで、

「おまはんや」

「い、いや。俺は腹が減ってるからやめとくワ」

「なにゆーとんのや?」

 社長はイタズラネコでも引き摺るみたいにして、俺をパーサーが待つ転送ルームへと拉致って行った。




 部屋に入ると爽やかハンサム面をした背の高い男が防護スーツを抱えて待っていた。


「パーサー。裕輔にそれを着させてくれまへんか」

「恥ずかしいわね。自分で着れないなんて特殊危険課の名に傷がつくわ」

 真っ白な防護スーツを着込んだ玲子が、やけに目立つ胸の前で腕を組んでいた。


 なんか腹立たしい言葉を投げかけられたが、反論の余地がない。だって本気で初めてだし。それどころか真空の外に出るのだって相当に度胸と覚悟が必要なのだ。なのにこいつは平気の平左だぜ。


「パーサー、いいわ。あたしが着せるから、あなたは転送機のほうを頼むわね」

 もう仕切ってやがるぜ、このオンナ。

「あたしは特殊危険課のリーダーなの。ほらしゃきしゃきしなさい!」

 玲子のスパルタ式防護スーツ着用講座のおかげで、次からは自分一人で切れそうな気がする。


 次があればの話な。




「では転送の準備を……」

 転送台へ手を差し伸べるパーサーは、装置のコントロールパネルの前だ。なんだかよく解らんが、複雑怪奇な装置だった。


 舞黒屋では転送機と呼ばず、トランスポーターと呼んで販売中だ。最大転送距離500キロメートル。世界最高の性能を誇る物質転送機だ。事故歴もゼロで信頼性はとりあえず維持しているが、体をエネルギーの状態に戻してまた元のカタチに復元するって………。もし間違って手と足が逆になっちまって、股のところに頭が来たらどうすんだよ。


 玲子はニタニタしながら言う。

「上着を穿いてズボンを被ればいいのよ。それよりさ、右手と左手が逆になったほうが不便そうよ」

 俺にはその理屈がよく解らない。


「ウダウダ言うとらんと、はよマスク締めて、転送台に乗らんかい!」

 さっさと準備を済ませた社長が白い潜水服みたいな姿で憤然としており、俺が渋々転送台に乗ると開始を宣言。


「さぁ、楽しい社員旅行の始まりやで!」

 どこが――……。


 活き活きとした目をする玲子と、死んで三日も経つ魚みたいな目をした俺の肩に両手を添えて、パーサーへ命じるケチらハゲ。

「あの物体の5メートル手前に平たい場所がおますやろ、あそこへ転送してくれまっか」

「了解しました。ただ社長……」

「なんでっか?」

「影の中はマイナス160℃近くになっています」


「マジかよ。凍るじゃないか」

「当たり前じゃない。マイナス160℃がなによ。ここは宇宙なのよ。マイナス1000℃にだってなるわ」

「……………………」

 呆れて物も言えないぜ。


「あのな………マイナス1000℃なんて無いんだぜ、玲子」

「どーしてよ?」

「まあええがな。大丈夫や。この防護スーツはごっつい低温に耐えられるんや、心配いらん」


 またまた沈黙。

「……………………」


 ったく。とんでもない社員旅行になったもんだぜ……。


 玲子はまださっきの話の続きを考えて首をかしげていた。

 原子の鼓動がマイナス273コンマ15℃で停止するから、熱力学上それ以下は無いんだと教えてやってもいいが、めんどくさいから放っておけ。


 それよりパーサーはそんな極低温よりも113℃も高温だと教えてくれたが、俺の経験上、マイナス10℃でも鼓動が停止しそうになったことがある。しかも外は超低気圧下だ。もし防護服が破れでもしたら、想像を絶する苦しみに悶えながら死を迎えるんだ。そんなとこへ好き好んで出て行く奴の気が知れん……しかもこれより俺の体を原子の状態にまでバラされるんだと思うと…………ああ、憂鬱だ。


 不安に沈む俺の向こうでは、玲子がパーサーから絶対温度のレクチャーを受け始めた。

 しつこい女だぜ。ま、どっちにしても見てみろあの眼の泳ぎっぷり。パーサーはクソまじめな男だから、どうせ熱力学の基礎から説明を始めているはずだ。たぶん初期の段階であの顔をしてんだぜ。脳の大半が筋肉で覆われ、残りの隙間にファッションを詰め込んだオンナに、物理学が入る余地は無いのだ。



 出立(しゅったつ)までの残された時間で、バカ女の困り果てた割りに美形の御尊顔を拝んでいると、

「ぶっちゃいくな恰好して……人間って不便でしゅね」

 俺の前に球体が現れた。


 白色の球体を鬱陶しげに睨み上げる社長。

「おまはんも行くんか?」

「行ってやってもいいけど、シロタマはそのオモチャで転送されるのは嫌でしゅ」

「おー。俺と同意見のヤツがいるじゃん」

 すんげえシロタマが身近に感じた。


「どないする気や?」

「後部デッキのハッチから出るでしゅよ」

「あーそんな方法あんの? だったら俺がシロタマを抱いて後方デッキから行くワ」


 パーサーの講義からこれ幸いに、と逃げてきた玲子がのたまう。

「あなたはあたしたちと転送機よ。もう三人分の計算をパーサーがしてくれてるんだからね」


 くそっ。遅かったか……。


「俺とお前の身体のパーツが入れ替わるなんてことはないだろうな?」

 入れ替わるとしたら、下半身と上半身、どっちがお得だろう……なんて、ちょっち不埒な意識が蠢いたことは正直、否定することはできない。


「あほか……」

 見透かされていたのか、今度はオレが白い目で睨まれてしまった。






 瞬間意識が飛んだ。と言ってもほんの刹那の事で、何がどうしてと言うほどのもんでもない。ただ短い時間だと思っていても実際は数年かもしれない。何しろのその間は生命体としての機能を果たしていないのだ。ただの原子の雲になってんだからな。


 俺……無事に実体化したのか?

 指を一本ずつ折ってみるが、問題無く動くし、足はちゃんと地面に立っており、尻も縦に一本、キレイに割れていた。もっとも二本や三本、ましてや横に切れ目が入っていたら間違いなく大問題だ。


《なに、くだらないこと言ってるの!》


 通信機を通したキャンキャンした声が響き、玲子のマスクが俺のマスクに当てられた。

 カーンと金属的な音が響き、俺は吃驚仰天(びっくりぎょうてん)だ。


「ば、バカヤロー。割れたらどうすんだ!」


 ヤツは拳の腹でガンガンとマスクの天辺を叩き、とんでもないことを言う。

《超硬質ガラスよ。拳銃で撃たれたって割れないわ》


 あ──あまり撃たれたくない。

  

  

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