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アカネ・パラドックス  作者: 雲黒斎草菜
《第二章》時を制する少女
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宇宙は謎に満ちている


  

  

 ここは地球が存在する天の川銀河の真反対側に位置する、ハウネルカウザー星系の端っこ、ルシネットという太陽の第五惑星。アルトオーネという星での話しである。どこからどうみても地球とそっくりだが、あくまでもアルトオーネという惑星だと信じて欲しい。筆者でさえも時々解らなくなるぐらいだから………。

  

  

  

       ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  

  

  

 

 いやあーそれにしてもさ。宇宙は謎に満ちていると思わないかい?

 だってよ。殲滅(せんめつ)させたと思っていたドロイドが一体だけ無傷で残っていたんだってよ。星は超新星爆発を喰らって蒸発したのにだぜ。しかも何光年も漂流したそいつは450年かけて500兆にも増殖するんだってさ。



 想像を絶する天文学的な数にまで増えたそれらは互いの重力で引き合い、星雲状に固まり、感情を一切排除した暴走する人工生命体の集団となった。


 宇宙を徘徊する悪逆非道な連中は知的生命体を無差別に襲い、頭脳から知識や技術を無理やり吸収。やがて数個の星域を一瞬で蒸発させるほどのテクノロジーにまで新化し、その領域を他の銀河へ拡げる勢いを持つらしい。


 人々はそれをダークネブラ(dark nebula)と呼び、遥か未来では全宇宙の脅威になるそうだ。


 だってさ。

 ──どう思う?


 信じる、信じないの次元じゃないね。

 はっきり言って俺には関係無い。手が届かない遠方で450年も未来のことだ。俺の宇宙では関知しないね。知ったこっちゃない。

 しかしこのままほっときゃ、えらいことになる。ということで動き出す連中もいる。それがあの管理者だ。



 未来では数百の星域をも統一する種族にまでなった連中だが、この問題が大きな懸案となっていた。なにしろ元は自分たちが作ったドロイドだから、そんな奴らにでかい顔をされていたのでは立つ瀬がない。ところがだ。問題解決に当たって意見が分断されていた。


 ひとつは星間協議会に加入する知的生命体を安全な場所へ移住させ、星域もろともダークネブラを抹消しようとする強硬派。

 そしていまひとつは、ダークネブラが最初の一体だった過去に特殊隊員を送り、その時代でその出来事にいちばん関与した人物に破壊させて、ダークネブラが存在しない歴史に変えようという時空修正派、つまり穏健派の二つだ。


 時間渡航を可能にした管理者の技術力は驚愕に値するのだが、ダークネブラはその管理者をも捕らえ同じ技術を吸収しており、他の銀河へ直通する亜空間ハブをも建設中だという。時を急がなければ彼らの存続自体も危ぶまれていた。



 強硬派の意見はここに重点を置いており、早い話が、

『グズグズしてるとヤバくね? さっさと消しちまおうぜ』だ。


 穏健派の意見も理解しやすい言葉に変換すると、

『ムチャはやめてよ。ここに住む下級生物たちはどーすんの?』だな。



『知るか! ミミズの心配なんかしてられっか!』


『きゃぁー。鬼! 悪魔! だからあんたたちロクな事が起きないのよ! 日ごろの行いが悪いとバチが当たるわよ!』


『うるせぇぇぇ。このバカ! 黙って消毒しちまえ!』


『だめ! 絶対許さない。この子たちがかわいそうよ。ミミズよりもうちょいましだもん。猿だけどね』


『でもネブラの連中、俺たちと同じガジェット持ってんだぞ。キリねぇーよ』


『じゃぁさ。例のガイノイドを過去に送ってあいつらを退治させましょうよ。うまく行けばあたしたち手を汚さなくていいしぃ…』


『まぁ。試してみる価値はあるな。それにあの時代のゲイツとか言う猿には、ちょっち頭の上らないところがあるからな……失敗したら消毒液ぶっかければいいし……。そうすっか!』



 こんな低次元のやり取りが450年後の未来で行われたかどうかは知らない。

 なんたってナナが言ったんだ。


 大丈夫かって?


 ……さぁね。

   

   

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