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アカネ・パラドックス  作者: 雲黒斎草菜
《第三章》追 跡
218/297

  グランド・ケイゾンへ  

  

  

 俺たちが滲み出す不穏な気配を感じてか、そろそろ店の中が騒々しくなってきた。退却の時期ではある。


 ザグルが料金を支払うあいだに、俺はウエイトレスに小声で伝える。

「今夜、店の裏で会ってくれないか? タダとは言わない。情報料はちゃんと支払う」


 ウエイトレスは店の奥で光る目玉へ怯えた仕草で瞬いてから、気づかれない角度でうなずいた。

 遅れて店主も顔を出し、

「連邦軍の旦那。また来てくだせえ。旦那みたいなお方が出入りしてくれると心強いんでさ」

 ザグルは「ああ」とか適当な相槌を打ちつつ、俺たちと一緒になって外へ出た。


 店の中とは打って変わって、外は爽やかな緑の風が吹いていた。

 森の木立がサワサワと小さな音を奏でてなびき、リゾートにふさわしい清々しさだった。


「おっと。これはまずい」

 慌てて茂みの裏へザグルが身を隠した。前方から連邦軍の服装をしたザリオン人が2人やって来たからだ。

 連中は4人の優衣へ、はっきりと怪訝な視線を振りかざしてから店内へと消えた。


 ほどなくして、ざらついた大声が店の外まで渡って来た。ザリオン人の声がでかいのはザグルだけではないようだ。


「オヤジ、クサの収穫はどうだ?」

「日照り続きで……少し成長が悪いようです」

「そうか。生き物だからな。なら薬局はどうだ。タマはそろそろ完納だろ?」

「へい。そっちは間もなく完成でさ」


 茂みを掻き分け出てきたザグルが店内を睨みつけて言う。

「今の連中は第八艦隊の奴らだ」

「なぜこんなところに艦隊の連中がうろついてんだ?」


 玲子も店内の連中をすがめて探る。

「ザグルの制服を目にしても、町の人らがたいして反応しなかったのは、見慣れているせいね」

 思わぬ登場人物に疑念も膨らむが、とにかく今はここを離れるべきだ。やはり4人の優衣は目立ちすぎる。



 しかし一歩進んで釘付けに。


「ジフカへは、観光ですかい?」

 不気味な影が進路を遮った。


「さっき、ちらっと聞こえたんだが、あんたらFシリーズのガイノイドを探してるんだって?」


「な――っ!」

 俺は呼吸が止まらんばかりに息を飲んだ。


 でも天然パぁーマンのマサと玲子はそれぞれにおかしな反応を見せる。

「誰だ! 壊れた案山子をぶっ立てやがって。通り道のじゃまだぜ」

「違うわよ、何かのイリュージョンよ。こんなの見たことあるもの」

「首が落ちるってヤツな」

 二人がそう言い合うのも当然だ。信じられないかもしれないが、肩のところが真っ平らになっていて、首が落ちて無いのだ。でもしっかりと二本足で立って俺たちの通行を妨げている。


 よくテレビで肩のところから胸辺りにかけて、首がすとんと落ちるイリュージョンを見るが、俺たちの前に現れたのはその首を持っていない。青いジャケットを羽織った首なし人間だった。


 俺が驚いて突きつけたシロタマ製の麻酔銃を指の先で横へ逸らしながら、

「驚かせてスマンな。オレはミュータリアンで、この辺ではシュリムって呼ばれてんだ」

 頭が無いのにちゃんと銃口の位置が解かるんだ。


「シュリムだって。名前かな?」

「こいつにオレたちの言うことが理解できるのか?」

「なんで?」

「脳みそねえもん」

 さすがマサと玲子のコンビは最強だ。ザグルでさえ入っていく余地なしだ。


 ミュータリアンは自分の胸辺りを強く指し示し、

「あるワっ! 胸だ胸の辺りだ」


「理解できないんじゃなく、聞いて無いんじゃない?」


「聞いていないのはお前らだ。ちっとは人の話を聞け!」

 首なし人間は両手を振って必死でアピールするが、玲子とマサには何も伝わっていない。


「何よー。聞こえてんじゃん。耳どこにあんの?」

「愚問だな……耳はここに決まってる!」


「そこは脇の下って言うのよ。こんなの相手してらんないわ。行くわよ」

「昔から耳はここだ……おい、ちょっと待て!」


「でもどこから声が出てんだ。口どころから、首が丸ごとねえんだぜ」

 度胸が据わるというレベルを越えて、俺は感心の境地だな。マサと玲子。あんたらはすごい。首なし人間を前にして、よくそれだけボケ続けられる。


 玲子はひょいと向き直り、思い出したように尋ねる。

「眼は?」

「ヒューマノイドの連中はみんな同じ質問だな。ほれ声はここから。目だってある」

 小さく広げて見せた手のひらで、黄色い目玉がこちらをギロリと見た。


「うわ――っ!」

 これには度胆を抜かれた。遺伝子操作の失敗とは言え、こんな生物学を無視したような生命体が誕生するのか?

 こりゃぁ、観光客が集まるはずだ。


 シュリムと名乗ったミュータントが差し出した左右の両手のひらに、目玉が一つずつ。恐らく左手にあるのはやっぱり左眼だろう。そして右手の目玉の下に鼻。左に口がついている。傷口にも似た薄い唇が手の中で微妙に蠢いて語りかけてくるのが、不気味の一言に尽きるのだが、玲子は驚きもせず、


「あなた、もしかして目つむって殴り合うの? それじゃあだめよ」

 お前は笑いながら殴ってくるけど、それはそれで引くぞ。


「Fシリーズのガイノイドを探してんだろ?」

 ようやく本題に入れる喜びを、手のひらに浮かべて――うぅ、なんかおかしい。


「情報料次第で教えてやってもいいぞ」


「おあいにく様。あたしたちの仲間がもう発見済みです。あなたなんかに用は無いわ」

「一つ聞いていいか?」

 平たい肩がそう訊いてきたザグルに向く。

「何だ?」

「クサ……とは何だ?」

 そいつは右手の鼻を鳴らし、

「大麻だ」


「タマとは?」

「覚醒剤だろ。お前らそんなことも知らないで、ジャンドールへやって来たんか?」

「わるいかよ」


「いいか。おまけを付けてやる。ここはジフカの観光都市ガウロンとは違うんだ。言わば真のジフカがここだ」

「ジフカの裏側と言う意味か?」

「そうだよ。第五艦隊のザグルさん」

「オレを知ってるのか?」

「知るも何も、連邦軍の制服を着て第五艦隊の艦長徽章を胸に付けてんだ。おのずと誰かも分かる」


 ミュータリアンは左手の口をグイッとザグルの耳元に近づけ、

「あんたたちもクサの栽培をしに来たんだろ。でもここら一帯は第八艦隊が押さえているぜ。やるんならもっと北側か、グランド・ケイゾンでも突破するかだな」


「ああぁ。良い情報だった。少ないがこれを取っておけ」

 ザグルが渡したのは、今レストランで払ったのと同じ紙幣だった。


「ちっ。第五艦隊はシケてんな。第八ならこの倍はくれるぜ……うぉっと! そんな怖い顔すんなよ。まぁまた何かあったらこの店に来な。いつでもいるからな」


 眼玉の付いた両腕を前に出して、それはまるで夢遊病者のような格好で、店の中へとミュータリアンは消えた。


「バド一家の野郎。どこまでも腐ってやがる」

 ザグルの奥歯が折れそうな音を出した。


「バド一家って? ヤクザ?」

 マサの肩がぴくりと反応して、ザグルが首を捻る。

「ヤクザとは何者か知らないが、極悪な奴らだ。バド・ヤダルが第八艦隊の艦長で、その叔父が例の連邦軍提督のバド・スクラグだ」


「へっ。どこの世界にも似たような話は転がってんだな。オレとヤスが、以前マイトでぶっとばした鬼瓦一家もそんな感じだ」


 こいつらいくつの組事務所を爆破したら気がすむんだろ。


「ザグルの旦那。ここまで来たんだ。オレも極道だ。あんたから受けた一宿一飯の恩義忘れちゃいねえぜ」

 珍しくマジ顔でマサはポケットから無線機を取り出した。


「ヤス。大至急来てくれ。カチコミ掛けんぞ!」

 と言って、玲子に金属刀で頭を殴られていた。


「カチコムのはアカネを救い出してから。あたしも手伝ってあげるから」


《カチコミっすか。了解。1分で到着しやすぜ》


 カチコミって何だろ。ヤスの声も楽しげだし。俺とザグルだけがポカンとしていたことを報告しておこう。





 俺たちがいたレストランまでは、曲がりくねった未舗装路が麓から九十九折(つづらおり)になっており、そのまま裏側へと続いている。

 そんな地形なのだが。


 数十秒もしたころ――。

 丘のはるか下方から、爆音と共に砂煙を巻き上げ駆けあがって来た一台のシャトルが、もうもうたるホコリを吹き飛ばして、俺たちの前で逆噴射を掛けた。


「ぶふぁぁぁ!」

「もう何よ~」

 辺りはざらざらした砂ボコリが立ち込め真っ白に。


 風が吹き、大気が澄んでくるにつれて、銀白色の巨体が俺の頭上にせり出して来た。流線型の船首から滑らかな曲線に繋がり翼になる。そのノーズからタラップが下がると、ヤスの元気そうな顔が覗いた。


「お待たせしやした、あにい。計算より12秒短縮だ。さすがシャトル・ユースケは高性能だぜ」


『相棒よ~。何もこんな超低空で道なり行くことは無いんだ。空から行けばもっと早く到着したんだぜー』

「ばっかやろう。こういう山道は攻めるに限るんだ。空から行ったって面白くもなんともねえだろ」


『へっ。これだから走り屋はいけねえ。無駄な動きばっかりしやがる』


 こいつがシャトル・ユースケか……。

 スマートな機体からは想像もできない言葉遣いに、がっくりと肩を落とす。

 俺と同じ名前を付けやがって、こっちは大迷惑だぜ。




 ホコリにまみれた衣服をパタパタはたいて、シャトルのタラップを登る。

 機内は意外と清潔できれいな空気が満たされていた。


「何してんの?」

 4人の優衣がそれぞれにエアコンの前に立つのはどういう理由なのかは知らないが、

「ここが落ち着くものですから」

 茶色ボブカットの優衣がそう言い。他の優衣もそれぞれにうなずく、その同期した動きにめまいを覚えた。


「さてこれからどうすんの?」と訊いた玲子に、

「もっと応援を呼んだほうがいいかも」と言い出した優衣をひとまず止める。

「待てって。これ以上呼ぶと混乱する人らがいる」


 4人の優衣に搭乗されて、落ち着き無く不自然な振る舞いをするヤスとマサ。

 免疫が付き始めてはいるが、ザグルも動揺を隠しきれない様子。


 粒子加速銃をシャトルの側壁に立て掛けながら、

「でも……」と口火を切ってから、

「グランド・ケイゾンは縦600キロ、横800キロもの広大な土地です」

 と赤毛の優衣が言い。


「EM輻射波が途絶えたら、たったの4人では少な過ぎます」

 と栗色の優衣が補足する。


「やはりここはマルチ優衣システムを起動して正解です」

 と言うのは黒髪優衣だ。誰が起動させたのか……おのずと解るが、今は黙っていよう。


「EM輻射波が途切れるということは、故障したか、あるいはホールトしたのではないのか?」とザグル。

 柔らかげな栗色の髪先を揺すって別の優衣が言う。

「故障はしていません。時間的にどれほど同期がずれたのかは分かりませんが、遮断現象はインターバルに現れます」


「間隔を空けて遮断。つまりヴォルティ・アカネは、ケイゾンを出入りしていると言うのか!」

 ザグルには説明が必要ないが、ヤスとマサは完全に取り残されていた。二人揃って、丸い目を優衣とザグルのあいだで往復させるだけだ。


「あり得ん……何万年も誰も入ったことのない禁断の土地なんだぞ。我々が神の土地と呼ぶ封印された場所なんだ」

 ザグルがそう言うんだから、あり得ない事なのだろうが、

「ちょっと待って、とにかく一度そのグランド・ケイゾンへ行ってみましょうよ」

 と言った玲子に、ようやくマサが手のひらをぽんと打った。

「なるほどな! カチコミを掛けるならよく調査してからだな。ニュータイプは頭脳戦だもんな」


「あのさ。さっきからカチコミって何だよ?」

 マサに訊いたのに答えたのはシロタマだった。

『ヤクザ用語で、殴り込みのことを意味します』

 

「……やっぱり」

 肩をすくめてから、

「まずアカネの救助が先だ。ケイゾンへ行こう。カチコムのはそれからだ」





 シャトル・ユースケはふありと浮上。木立のあいだをすり抜けると滑らかに空高く舞い上がった。真下にさっきのレストランが見えたが数秒で消えた。


「ヤスくん。手慣れたもんだな」

 熟練度の高い操縦に驚きを隠せなかった。

「ユースケとオレは一心同体なんだ。ユウスケさん」

 何か違和感を覚えるなー。


『なんでえ。オメエもユースケっていうのかい?』


「うっ」

 なんちゅうガラの悪いシャトルだ。

「ああ。何の因果か、そうみたいだな」


『はは。よろしくたのむぜ。ユウスケの旦那。そうだ後部格納庫にワインをしこたま抱えてんだ。飲んでいくかい?』


 俺は玲子を睨みつつ、

「仕事が全部済んでから頂こう。俺は仕事優先主義さ」


『はーっ。珍しい野郎もいるもんだ。普通は酒が先だろう。なぁ相棒?』

「いや。オレもストップ・ドリンク・ドライブ(SDD)だ」


『かぁー。どいつもこいつも、クソ真面目な野郎ばっかりで、つまんねえなー』


 いつまでこのシャトルは喋り続けるんだ。ちょっと口数が多すぎないか?

「くだらないこと言ってないで、早くケイゾンに飛んでくれ」


『おう。わかってらい。すでにケイゾンの上空だ。未知のフィールドで覆われてらー』

「未知?」と尋ねる俺に、


『おうよ。未知っていったら。未だ知らずって書くんだ。舐めんなよ。こちとらダテに大学出てねえからな』

「シャトルが大学出たのか?」


『だから出てないって言ってんだろ。バカだなー』


「ヤスくーん。シャトル黙らせることできないの?」

「へい。すいやせんレイコさん。それがね、どうもできなくて……。おい、ユースケもちっと静かにしてくれ」


『あいよー』

 やっぱ名前を変えるほうが先決だ。非常に気分が悪い。




「なによー。グランド・ケイゾンとか言うので、もっと綺麗なところかと思ったら、ただの森林じゃない」

 大海のごとく広がる枝葉の天井をキャノピーから見下ろしながら、玲子が文句を垂れた。


『次元フィールドが約4万8000ヘクタールに渡って張り巡らされています。通常の方法では進入することはできません』

「何のためにそんな広範囲を塞いでんだろ?」


『遮蔽フィールドの面積は大きく変化する年があります。今から1400年前が最も小さく、1万2000ヘクタールほどしかありませんでした』

「なぜ大きさが変わるの?」と玲子。


『封印の理由が不明なために、それも謎のままです』

「来たこともないこの土地のことをザグルの旦那よりも知ってるシロくんのほうが謎だぜ」

 とヤスが感心し、ザグルもうなずく。

「閉鎖空間が拡張するときは町を避けるそうだ」

「人工物を嫌うということか?」

 いくら会話を続けても疑問しか浮かばなかった。



「ケイゾンの端で着陸できる場所はありませんか、ユースケさん?」

「はい?」

 条件反射で優衣に振り向いちまった。


『あるぜー。そらよっと』


 シャトルは急旋回、森の奥、葉むらを掻き分けるように機体を揺らして奥深く進入し、滑らかに制動。ゆっくりと着陸した。言葉に似合わないきめ細やかな挙動は驚きだった。





「なるほど………異様な圧迫感があるな」

 澄み切った緑の風の中に不可視の物体がそそり立っていた。


 素手で触るのは危険だと言うシロタマの忠告を守ってザグルが落ちていた木切れで突っついたが、ケイゾンの端に広がる不可視なエリアは確かに存在する。

 それは薄っすらと漂う煙のようなもので覆われており、ほぼ透明で硬質な感じは、突いた木切れが簡単に折れたことで分かった。そこでザグルは次の手を打った。


 ドガッ!


 その硬さは想像を越えていた。ひと抱えもある岩を投げつけたのだが、白煙を上げて岩が砕けただけで、フィールドは何の変化も無かった。ただその衝撃は表面を広く伝わり、いつまでも不気味な振動をまき散らし、たくさんの鳥が逃げ惑っていた。


「こんな中に茜が入ったのか?」

「どこかに隠された出入り口があるのよ」

「すでに調べ尽くしたが、そんなものは見つかっていない」とザグル。


『次元フィールドは球状です。宇宙の基本相互作用である量子力学的レベルの力で構成されたフィールドを突破することは物理的に不可能です』


「ほーら、こいつの得意の分野だぜ。難しい話でごまかそうとするんだ。聞くことはない」

「量子力学的レベルの力とは何だ?」


「ザグル、やめたほうがいいぜ。脳ミソ沸騰するぞ」


『グルーオンが伝える強い力。ウィークホゾンが媒体の弱い力などです』

「核力の話か?」


『そうです。この力は絶大で、重力子、グラビトンが作用する重力を1とすると、弱い力が10の30乗、光子が関与する電磁気力が10の40乗、強い力にいたっては10の45乗にも及びます。超新星爆縮で星の中心部に溜まった中性子が、そこへと落ち込んでくる莫大な質量を一瞬で受け止めるパワーを秘めています』


「ほぉ。なるほどな」

 と感嘆の溜め息を吐いたマサだが、目の焦点が合っていない。当然玲子にとっても言葉として認識できない。すぐに退屈して金属刀の先で、フィールドの表面をカンカン言わせてヒマを潰していた。


 マサも玲子と同じ脳構造なのは承知の上さ。案の定、シロタマから顔を逸らし話題を大きくズラした。

「ところでアネゴ……。ユイねえさんはいったい何者なんすか?」

 玲子は口先をアヒルみたいに平たくして、

「マサ。さっきからそればっかりね……」

 フィールドの表面から剣先を離し、マサの鼻先に突き出した。


「あなたはどう思ってるのさ?」


 マサは視線を上げてしばし黙考。

「ん……子だくさんの家に生まれた霊能力者」

「じゃあそれでいいわ。そういうことにしておきなさい」


「い、いや。そういうわけには」

「あなたが納得いく結論を出したんでしょ、ならそうしなさいよ。この子のことを理解しようとしても、無理なの」

 玲子が面倒臭くなっちまったものは仕方がない。ザグルだってニヤニヤするだけで、何も言おうとせず、俺も説明に時間がかかるので放置さ。


「まあ……そうっすね。六つ子だっているぐらいだし」

 マサはそれで収めたようだが、この後、子だくさんでは説明できない事態に陥るのだ。


 くれぐれも脳みそをお大事に。

  

  

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