あなたはこの小説にどのようなタイトルをつけますか?
短いです。好奇心でつくってみました。
「あなたはこの小説にどのようなタイトルをつけますか?」
このような内容の言葉が書かれていた本を偶然見つけた。
場所は近所の図書館、その最上階に当たる3階の数十以上も存在する棚の中からだ。この本を見つけたのは本当に偶然だった。意図もしていなかった。たまたま、その本棚を見たらそんなタイトルの本が存在していた。それだけの話だった。
こんなタイトルの本を見つけたらやはり中身が気になる。好奇心にそそられた。
どんな話なのだろうか。
タイトルからだけでは想像することができない。
赤い色をしたその本を取る。本の厚さは大体高校時代に使っていた日本史の教科書ぐらいだろうか、300ページ程度の長さがあるだろう厚さであった。
まずは、表紙を見る。そこにはやはりタイトルらしきものは書かれていなかった。いや、タイトルだけじゃない。作者名も出版社名も何も書いていなかった。文字らしきものは1つとしてなかった。ただ、赤い一色に塗られているだけの表紙であった。
怪しい。いかにも怪しい本であった。
でも、怪しいからといって本をめくらない……なんてことはしない。むしろ逆だ。人間こんな時めくりたくなるというのが性だ。
不思議だというものには人間は引かれる。
だから本をめくってみることとする。臆することはなかった。好奇心の方が強かった。
ページを1枚めくる。そこにはまず何も書かれていなかった。タイトルはやはり最初の1ページ目だというのに書かれていなかった。
おかしいなと思う。
でも、1ページ目のどこを見てもタイトルらしきものは書かれていない。だって、1文字も書かれていないのだから。
では、さらに次のページをめくってみることとする。
すると、急に目の前が光った。
「ま、まぶしい」
とっさに目を瞑る。
まぶしい光にさすがに耐えることができなかった。
そして、光に慣れたことか目を開けてみると目の前に広がっていたのは──
普通に図書館であった。
本来であれば異世界に飛ばされるとか何かあってもおかしくはないような経験であるはずだ。
何も起こらなかったことに少しがっかりする。しかし、その一方で何かあったとき、もしも異世界に飛ばされていたらどうなっていたのだろうかと考えるとこれまた怖くなる。
この本は一体何ものなんだ。
怪しい本だ。不思議な本だ。でも、この不思議な本に誘われた気がして少し不思議な気分を味わうことができた。実際に異世界に転生することや転移することはできなかった。でも、異世界転生や転移したかもしれない。そんな気分を少しでも味わうことができたのなら貴重な経験となる。ああ。よかった。そう思えるような気がしてきた。
この本にはどんな名前を付けよう。
そんなことを思いながらも本を元のあった棚に戻して家に帰るのであった。