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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
98/112

21

不思議な雰囲気で少しだけ大人びている。そんな印象であった。一目惚れをしてしまいそうになる。しかし、惚れる。と、好きになる。は違う土俵である。なのでこの感情は浮気ではない。言い聞かせながら雨谷は会釈を返す。自分でも最低な屁理屈であることも分かっている。

「えっと・・・」

じっと顔を見つめられることに恥ずかしさを覚えたのか申し訳なさそうに口を開いてくる。雨谷もまた、初対面の女性に失礼なことをしていたことに気が付き謝罪を口にしつつ頭を下げる。彼女は雨谷の俊敏に頭を下げるものだからつい、可笑しくなり微笑み小さく頷く。

「えっと、俺とどこかで会いましたっけ?正直、俺は存じ上げなくて・・・本当に失礼なのですが、」

雨谷の言葉に彼女も焦りながら手を振り、

「あ、いえ!私も先ほど隣にいた人と知り合いでして、その・・・」

歯切れの悪さにすぐさま雨谷は何かを感じ取る。あ、そういう事か。また、何かしでかしたのか?ぐっとここにはいない尋の事を思い口元がにやけてしまう。また、何か面白そうな予感を感じ取ったのだろう。きっと、彼女も雨谷(かれ)のたまに出る悪乗りを知っていたなら会釈なんてしなかっただろう。しかし、してしまった。親友だけど悪友。面倒ごとを全力でしょい込んでくる男に。

「ほほう。なるほど、なるほど」

うん、うん。と、彼女の言いたいことをすべて悟ったような満足げな表情を浮かべ何度も頷く。かなでもまた雨谷を真似するように何度か頷いてみる。彼は悪知恵(いたずら)を思いつていることくらい分かった。けれど、なんだろう。少しだけわくわくもしていた。きっと彼は面白い事件(イベント)を起こしてくれそう。そんなことを思ってしまう。少しだけ不思議な空間が二人を包んでいる。車椅子に乗っている少女。野球のユニフォームを着ている男子。あと、戸惑ってる紫穂。

「あ、あの・・・」

私のことを忘れていませんか?と、ぎこちなく頷きあっている二人の間を割り込むように紫穂が口を開く。まるでその場にいたことさえ忘れていたのか雨谷は驚き少しのけぞる。その行動に失礼だな。君は。と、人差し指を左右に振り肩をつついてくる。冗談、じょうだん。なんて笑いながら雨谷は紫穂の突きを受けている。二人の会話が微笑ましく見えたのかかなでは口に手を当て笑っている。笑い声に二人がかなでに視線を向ける。

「なんか、お二人って外見に似合わずお茶目ですね。美人な紫穂さんに格好いいえっと・・・」

言葉に詰まってしまいそうになった瞬間、雨谷はすかさず、自己紹介を行い頭を下げる。その咄嗟の行動に紫穂も驚いたというより関心してしてしまう。こんな風にすぐに人の気持ちを瞬時に読み取り動くなんてなかなかできない。人一倍気を使っていなければ出来っこないだろう。(あいつ)はきっとここまですぐに人の気持ちを理解することはできないだろう。まあ、でも、そう言った鈍感なところもいいんだけど。なんて、つい、ここには居ない幼馴染のことを考えてしまう。

「ん?」

ふと、視線に気が付き追ってみるとかなでがこちらを見ていた。きっと(ひろ)のことですよね。なんて言っているような表情に恥ずかしくなり苦笑いを浮かべ視線を逸らす。くすりとかなでも微笑もみ空を見上げる。なんでだろう?この人たちと一緒に居るとぽっかりと開いていた心が満たされていく。

「そうそう、それでここには何しに来たの?まさか・・・俺の」

「違うから」

食い気味に紫穂は雨谷の言葉を遮る。まあ、分かってましたとも。なんて言いたげな雨谷の笑みに紫穂は気に食わなかったのか再度、唇を尖らせ肩あたりを突く。

「ごめんごめん。それで、尋に何の用事があったの?俺でよければ伝えておくけど?」

「特に用事ってことはないんだけどね。何となく暇だったから野球を見学しようかな?って思ってたら終わってて」

「なるほどね。まあ、とりあえずベンチにでも座りなさ・・・」

短いため息をつくなり紫穂は雨谷の声が聞こえていたのか聞こえていなかったのか分からないが、くるりと病院の方向へ視線を向けるなり、

「じゃあ、私たちは病院に戻る?」

優しい口調でかなでに問うてくる。かなでは笑みを浮かべながら雨谷の方へと視線を向ける。ん?なんて雨谷はかなでの顔を見る。と、

「ありがとう。私、雨谷くんともう少しだけお話をしたいって思ってるんだけど・・・」

「え!?」

信じられない。なんでこんな奴と。なんてつい、驚愕してしまい甲高い声が頭の上から出てしまう。紫穂の驚きように雨谷は驚きかなでは驚きながらも手を口元に持っていき微笑んでいる。

「って、俺と話がしたいって言ってくれただけで驚きすぎじゃあない?ちみ、ちょっと失礼ですな!」

「あはは。ごめん、ごめん。急だったからつい、ね。だったら私も・・・」

運命の神様というかなんというか。こういう時ばかりやってくる。紫穂も残ろう。と、した瞬間にポケットに入れていたスマホが震える。液晶を見た瞬間、

「あ、ごめん!ちょっと私用事が出来たからごめんね!彼は変な人だけど根はいい人だから!雨谷くんもかなでちゃんをよろしくね!」

「おう!任された!」

そう言うと紫穂は何度か頭を下げスマホを耳に当て歩いていく。紫穂の姿が徐々に小さくなっていく頃、よし。と、雨谷が言葉を口にしつつベンチへと座り直しかなでへ視線を向ける。

「それで・・・えっと」

「あ、はい!私、実は雨谷くんと一緒に野球をしていた尋くんの事が聞きたくて!」

グッと握り拳を作り第一印象とは違う力強い表情に雨谷は驚きつつも、こっちの表情も可愛いな。なんて思い笑ってしまう。しかし、尋はどうしてここまでモテるのだろうか。少しの羨ましさを覚えつつ、

「もちろん。じゃあ、まずは・・・」

更新が遅くなりすみません。理由は今年の冬くらいにはご報告できると思います。9月までには二章は完結させますのでよろしくお願いします。改めて、更新が遅くなりご迷惑をおかけしてすみませんでした。

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