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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
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GW特別篇 一の星と一つの気持ち

「よし、準備ができたかな」

両手についた泥をはたき落としながら雨谷は満足そうな表情を浮かべ尋へと視線を向ける。尋もどこか誇らしそうに笑みを浮かべている。ふと、何かを思ったのか雨谷が口を開く。

「そう言えばさ?俺らって去年もゴールデンウィーク一緒だったよな。どれだけ暇人なんだよって話だよな」

苦笑いを浮かべながらもどこか楽しかった思い出のように話してくる。そう言えばそうだったね。なんて尋も相槌を打ちながら足元に置いてあるビニール袋から缶コーヒーを二本取り出し一本を雨谷へと投げ渡す。

「ありがとう。くぁ!やっぱりうめーな初夏の夕方に飲む缶コーヒーは・・・っておい!一生懸命火を起こした俺にコーヒーってどうなんだよ!?普通、ここはきゅっとのどごしのある炭酸ジュースだろう!俺のコーラとって」

ぶつぶつと唇を尖らせながら催促してくるためもう一度袋の中を漁りコーラを手渡す。これだよ、これ!と腰に手を当て相当のどが渇いていたのか一度に半分近く飲んでしまう。

「美味いな!てか、買い出し班はまだ来ないか?」

「そう言えば、そうだね」

腕時計を見てみると買い出しに行ってもう一時間三十分近く経とうとしていた。しかし、買い出し班のメンバーを考えれば遅くなっても仕方がないメンバーだったりする。どうせ、食材の調達の前に服屋や雑貨屋に寄り道しているに違いない。尋の表情を見て雨谷も同じことを思ったのか苦笑いをするしかなかった。文句を言っても仕方がないため二人仲良く隣同士に並べてある椅子に座り空を見上げる。少しずつ青空がオレンジ色に変わり始める。本日はゴールデンウイーク最終日前日のため外でバーベキューをしよと雨谷が唐突に企画したことである。場所は庭も広い尋宅で行うことも本人には雨谷が道具を運んでくるまで知らなかった。最初は驚いていた秋鹿家も雨谷くんがすることなら仕方ないね。と意味も分からない親の諦めで了承されてしまう。尋本人も仕方がない。と、諦めて付き合っている。諦めていると言いつつも本音は尋も楽しんでいる。休みの日に家族でいることも楽しいが、友達とわいわい騒ぐほうが楽しいに決まっている。

「尋ん家には大きなライトがあるから暗くなっても焼肉できるけど、流石に遅いよな・・・てかさ?ちょっと聞きたい事があるんだけど良い?」

世間話かと思いきや雨谷の表情はどこかいやらしい表情を浮かべている。ロクな事ではないことは確かであると確信したが、他に話題があるわけでもなくしぶしぶ頷く。と、食い気味で雨谷が口を開いてくる。

「お前さ、この辺りで幽霊船が出るって噂知ってる?って言う設・・・」

「絶対うそでしょ。悪いけど僕はここにずっと住んでるんだよ?だから、そんなの信じません。てか、露骨に分かりやすい嘘だね」

ため息交じりに言葉を口にすると、雨谷は首を振りながら、

「だから!最後まで聞けっての!そう言う設定で女子と肝試しをしようって話をあそこでバドミントンしてる野郎(クラスメイト)と話をしてたから尋も話しを合わせてくれって事をだな」

「僕は別にいいけど、紫穂とかもいるからすぐにバレるんじゃあない?」

人差し指を伸ばし左右に振り笑みを浮かべながら、

「その辺りは大丈夫だ。もう手配済みだからな。てか、本当は吊り橋効果を狙った夏までにクラス女子ともう少しお近づきになりたい大会(願望)なんだ。これ」

「はぁ?」

雨谷の言葉に頭の先から声が出てしまう。どうも、このバーベキューパーティーも夏に何か少しでも思い出が欲しいとクラス男子が雨谷に頼んだことから始まったらしい。そもそも大会の企画段階から参加させてもらえていない複雑さを覚えながらもだから、自分の家でバーベキューをしようという話になったのか納得する。

「なるほど。確かにあの場所に行くなら僕の家が一番近いしいい条件かもね。」

その通り。と指を鳴らし二人は少し先にある山へと視線を向ける。

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