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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
89/112

これは、あと、もう少し、先のお話し

深々と雪がはしゃぐように街灯に照らされ誰も座っていないベンチにゆらゆらと落ちている。一つ、二つ、三つ、重なり積もりだす。刺すような冷たい風が何度も、何度も尋の頬を襲う。両手を擦り息を吐き暖を取ろうとするがそんなもの気休めにしかならない。本人も自覚しているのかつい、苦笑いがこぼれてしまう。尋の苦笑いの意味がよく分かったのか隣にいる香織もつい同じように両手を擦りながら笑みを浮かべる。

「尋ちゃんが今思ってる事、当ててあげましょうか?」

顔を覗き込むように優しい笑みを浮かべ目を合わせてくる。先ほどまで体中の芯がという芯が冷えていたのに嘘のように体が熱くなってくる。相変わらず、秋鹿尋という生き物は単純だな。なんて思いつい、自虐的な笑みがこぼれてしまう。いい加減、香織のあのような唐突な行動に慣れてもいいころなんだろうけれど、いつになろうとも慣れることなんてできやしない。好きな人が自分を見つめてくる状況をどう慣れろというんだ。恋愛感情なんて何もない視線であったとしても鼓動が早くなってしまうのは自然なことである。と、誰に言うわけでもなく自分自身に言い聞かせる。が、その言い訳さえ空しく思えてしまい一人落ち込んでしまう。

「ん?どしたー?また、ため息ついて?」

「ご、ごめん!ごめん!ちょっと自分がちっちゃい男だなって思っただけ」

「そう?尋ちゃんはそこまで小さくないと思うけどなっ。クラスの中だと大きいよ?」

これ以上この話を広げてしまうことは危険だと感じたのか尋はこの空気を一転するため座っているベンチに少しだけ積もった雪を救い上げ香織の手の甲へ乗せる。

「わっ!尋ちゃん!冷たいよ!でも、なんかやっと冬になってきたって感じだよね」

ちょっとした悪戯にも起こることなく香織は、へへへ。なんて笑いながら真っ黒に染まった夕空を見上げる。尋もつられるように空を見上げる。と、雪が顔に当たり予想以上の冷たさにすぐに顔を下げてしまう。香織も尋と同じように顔をさげていた。お互いに顔を見合わせると自然に笑いが起こる。

「ベンチに座って雪を眺めるのはロマンチックだけど流石に冷たさには勝てなかったね」

「予想以上に冷たかったよね。流石、雪だ」

顔を見合わせ笑っている二人。第三者が見たらきっと二人は付き合っている。そういう風に見えているのかもしれない。ふと、そんな願望(ねがい)が脳裏に過ってしまい、咄嗟に両頬を数回叩く。急に変な行動をするものだから当然のように香織は驚いてい・・・なかった。唐突に変なことをする秋鹿尋は見慣れている。幼馴染だもの。そのぐらいの意味不明さなんて気にしない。だけど、少し気にもなってしまう。

「尋ちゃんって私と居るときにたまにだけど、こう言う風に変な行動するときあるでしょ?あれって何なのかな?」

両頬を叩く真似をしながら笑い問うてくる。尋も間をおいてしまえばきっと変な事になってしまうと感じてしまい咄嗟に

「さ、寒かったから気合を入れるために頬を叩いて痛みで頬を温めたんだ!」

自分自身でも言っている意味が分からないのは承知。とにかく間を置かずに言葉を出せればよかった。香織は、なるほど。気合かー。と笑みを浮かべる。尋も苦笑いを浮かべつつも何とか誤魔化しきれたのだろう。と、満足そうに頷いている。

「よっし。そろそろ時間だよね?」

「え?もうそんな時間だっけ?」

携帯を開いてみると時刻はもう18時21分を表示していた。尋は慌てて立ち上がる。と、後ろから笑い声が聞こえてくる。

「尋ちゃん!そんなに焦んなくても大丈夫だよ!約束の場所まではすぐそこだし!」

そう言うと香織は笑いながら立ち上がり尋の手を握ってくる。トクン、トクンと鼓動が大きく跳ねる。ごくりと生唾を飲んでしまいその音が香織に聞こえていないか心配になってしまう。香織を盗み見てみるものの香織は目的であろう場所を見据えて前を向いていた。と、視線を感じたのか尋の方へと視線を向けてくる。視線が合ってしまいどうしたら良いのかわからずに見つめあっていると、香織は薄っすらと優しく儚い笑みで、

「じゃあ、秋鹿くん今日はよろしくね」

時刻は18時28分を過ぎようとしていた。

こんばんは。ご無沙汰しております。やっと、やっとのことネット環境が整いました。これでやっとパソコンで更新できるようになりました。本当に私の物語を待っていた?方々にはなんて言ったらいいのか・・・。本当に遅くなりました。リハビリがてら本当ならこの辺りの章を掲載しているであろう物語の断片をアップさせていただきます。今掲載している本編は明日、明後日には見返し改変をしつつアップできると思うのでもう少しお待ちいただけると幸いです。

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