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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
85/112

18

尋の突っ込みを待っていたかのように雨谷はにやりと含み笑いを向けてくる。尋もまた冗談で言っていると承知のため口調の割に表情は柔らかいものだった。すぐに病室へと向かうのだと思っていたが途中で花瓶の水を変えることを思い出したのだろう手洗い場へと向かい歩き出す雨谷の後を追うようについていく。換気を徹底しているのだろう。病院独特の匂いはなく外の景色も気分的にキラキラと光っているように映る。景色を見つつ歩いていると雨谷の含み笑いが耳に入り込んでくる。視線を向けてみると案の定いやらしい表情(しせん)を向けてきていた。

「雨谷が思っているようなことは何もないよ?」

「まぁたぁ!どうせ御崎に会えるからって想像してたから外を見ながらニヤニヤしていたんだろう?あ!俺には正直でいいぞ!分かる!分かるんだ!お前の気持ちがな。あれだけ可愛い後輩ちゃんが尋先輩!ってちょこちょこ後ろをついてきてくれると嬉しいもんな」

「何言ってんだか。雨谷だって香織って言うか・・・」

「か?」

「か、活発な彼女が居るんだからいいじゃん」

彼女のことを褒められて嬉しかったのかまあ、な。なんて相槌を打つとスキップ混じりに手洗いへ向かい花瓶に入った水を流し水を入れ替え始める。少し離れた場所の窓から見える景色を眺めてみる。夏の風が頬を撫でた瞬間、思い出させるように強いノイズが尋の頭の中を襲う。今までの砂嵐のようなものではなく鮮明に誰かの感情(ノイズ)が入り込んでくる。けれど、今までとは違い不快感はまるでなく嘘のようにストン。と、尋の心の中に落ちる。

「まさか・・・かなでさん?」

無意識に発した名前は先ほどは感じなかった親しみ懐かしさが包まれていた。だとしたら、今までたまに流れ込んできていた感情(ノイズ)は彼女のものだったのだろうか?しかし、この世の中に超能力(フィクション)のような話なんてあるはずがない。そう思った瞬間、ある出来事を思い出してしまう。

「五不思議?・・・ん?」

「ん?どうした?さっきとは違ってちょっと難しい顔をしてるけど?」

不思議そうに首を傾げる雨谷に笑みを浮かべ首を振ると雨谷も深く追及してくることなく目的地でもある御崎の病室へと向かい歩き出す。無意識に先ほど出てきたかなでの病室へと向けてしまっていた。


----------


「お疲れさま・・・って、あ!尋!どこに行ってたの!?」

病室に入ったとたんに紫穂の罵声が尋を襲ってくる。普段なら香織が声が大きいよ。なんて静止するのだけれど幸い、御崎の病室は個室だったため香織もまた笑いながら二人の光景を微笑ましそうな表情を浮かべながら見ているだけであった。しかし、尋はそこまで勢いよく言葉を向けられるなんて思ってもみなかったため驚き少し仰け反ってしまう。その姿が面白かったのか香織、雨谷、御崎は笑い出す。つられて尋も苦笑いを浮かべつつ御崎が横になっているベッドへと近づく。と、先ほどまで笑っていた御崎は尋と視線が合ったとたんにほんのり顔が赤くなり尋もまた恥ずかしそうに視線を外の景色へと向ける。昨日のことを思い出すだけで体温は一、二度上昇している気がする。鼓動もいつもより早く緊張している。と、告げていた。

「・・・」

「って!尋!お前、ちゃんとまだお見舞いの挨拶していないだろう!ほらっ!」

雨谷に背中を叩かれ一、二歩前へと出る。骨折だけで後は体のどこにも異常がなかったらしく足は痛々しいギブスがしてあるが後はいつも通りの御崎に安堵したのか自然と口元も綻んでしまう。昨日、電話で元気そうな声が聴けたけれど実際にこうしてみると安心する度合いが違う。

「ぶ、無事?じゃあないよね・・・あはは・・・えっと、でも、本当に御崎ちゃんが元気でよかったよ」

「は、はい・・・ありがとうございます」

尋の言葉に御崎も恥ずかしそうに頭を下げお礼を告げ盗み見るように尋を見てみると偶然視線が合う。と、御崎も尋と同じように口元を綻ばせどこか恥ずかしそうに下唇を甘噛みしている。いつも学校では今よりも近くで話をしたり挨拶などしていてもどこか尋との距離が遠くに感じてしまっていたのに、今はいつもよりも距離は離れているのにいつも感じていた距離は感じなかった。トクン、トクンと優しくて胸の辺りがくすぐったい。必死に目の前の男性(ひろ)が昨日の夜、自分(わたし)のためになりふり構わず自転車で来てくれたんだよね。そう考えるだけで顔が熱くなってくる。

「でも、本当によかったよね。御崎ちゃんが事故にあったって聞いたとき初めて血の気が引くってこのことなんだって思ったもん」

香織の言葉で我に返ったのか御崎を見ていた視線を香織に向け頷く。香織の意見に皆、同意しているのか確かに。なんて頷き同意していると雨谷は尋の方へと視線を向けてくる。意図が分からず首を傾げていると、

「これは尋が来てから御崎に聞こうと思ってたんだけど、実際はどんな気分だった?」

「どんな気分?とは?」

質問の意図が分からなかったのか雨谷、尋以外は首を傾げたまま質問者でもある雨谷へと視線を向けていた。尋はその問いは要危険な質問だとすぐに察し他の話題を出そうとするが雨谷の口の方が尋よりも早く動く。

「ごめんごめん。質問の仕方が悪かった。夜、面会もできるかどうか分からないのに病院に自転車で数時間かけて来る尋はどうだったのかなって?やっぱり怖かった?」

実際のところ雨谷が質問してくれたことによって尋の心は少しだけ軽くもなっていた。正直、彼女がどう思っているのか気になっていた。本音を言うのか分からないけれど少なくとも彼女は思ったことは正直に言ってくれるだろう。怒るどころか話題を変えなくてよかったとさえ思ってしまう。雨谷の問いに対して御崎は驚いたような表情を作り一瞬、尋の方へ視線を向けるがすぐに俯いてしまう。

「もうっ!そういう事を普通聞くかなぁ?ごめんね!御崎ちゃん。雨谷くんって外見は格好いいし性格もいいんだけどたまにこんな風にオカシクなっちゃうんだ」

「そうそう。圭は根はいいんだけど友達のことになるとなりふり構わないんだ。ほんとごめんね」

女性陣が男性陣の代わりに謝罪の言葉を向けていると、御崎は小さな声で何か言葉を口にする。

「・・・ったですよ」

「ん?」

一番気になっていたであろう尋が一番最初に聞き返してしまう。その姿に紫穂は驚き、香織は気が付かず、雨谷は頷いていた。すると、もう一度両手をぐっとベッドの掛け布団を握り御崎は、

「先輩が私のために来てくれて・・・すごく嬉しかった!・・・です」

そう口にすると恥ずかしそうに顔を真っ赤にしつつ俯くことなく尋の顔を見つめてきていた。

素敵な星座を見つけました。とても綺麗で私はその星の名前をゾウと名付けました。夏の空もキラキラと気持ちよさそうに夜間飛行をしている姿はとても楽しそうでワクワクします。一つ、ひとつ目に映る星を組み合わせると自分だけの星座が作れる、そんな星空が大好きです。・・・更新遅くなってすみません・・・m(__)m土下座

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