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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
80/112

15.5

追求したくても紫穂が戻ってきては聞くことが出来ない。関係なく先ほどの言葉にはどんな意味が含まれているのか聞いても良かったのかもしれないけれど、流石に隣に雨谷(かれし)が居るのにも関わらずずいずいと自分勝手に聞けるほど尋には勇気もなければ度胸もない。相変わらずの弱腰の自分に対してため息が自然とこぼれてしまう。どうしてここまで弱腰なんだろうか?自信が無いからなのか?グッと無意識に情けない自分自身に苛立ちを覚えてしまい握り拳を作ってしまう。尋の苛立ちを雰囲気で感じ取るもお構いなしに尋の肩を軽く叩いてくる。尋も叩かれた反動で自然と紫穂へと視線を向ける。目に映ったのは情けない自分を責めている尋、呆れたようなでもどこか温かみのある笑みを浮かべる紫穂であった。

「私が電話している時に何があったか知らないけどさ、尋ってすぐに思ってること顔に出るよね。もう少し私を頼ればいいのに。どうせ、香織のことで悩んでるんでしょ?」

「ばっ!」

咄嗟に視線を後ろへと向けると雨谷と二人でイヤフォンをつけ楽しそうに動画を観賞中だったためこちらの会話は聞こえていないようだった。胸を撫でおろしつつ視線を紫穂へと戻し抗議の視線を向ける。尋の焦った表情、険しくなった表情の両方が可笑しかったのか紫穂は笑いからかうように人差し指で左肩辺りをつついてくる。

「大丈夫だって!」

「大丈夫じゃあないっての!もしも聞こえてたらどうするつもりだったんだよ!雨谷も居るんだぞ!」

「ちゃんと確認して言ったもん」

「確信犯かよ・・・紫穂ってやっぱり棘があるよね」

「棘?」

唐突な言葉に意味が分からないのか首を傾けつつ視線を向けてくるためため息をつき大げさに不敵な笑みを浮かべ

「よく言うでしょ?綺麗な花には棘があるって。だから紫穂も棘があるんだなって意味だよ」

「あ、えっと・・・その・・・」

「は?どうしておどおどしてるの?」

自分の発した言葉に何やら変な単語でも含まれていただろうか?それとも紫穂をおどおどさせてしまう言葉があったのだろうか?口にした言葉を頭の中で再度確認してみるけれど一向に思い当たる節がない。紫穂は最初こそ尋の言葉に対して恥ずかしそうな反応をしていたけれど、尋の相変わらず何も計算していない表情が視界に入り冷静さを取り戻したのか大きく深いため息を漏らし鋭いカッターナイフを突き付けるような鋭利な視線を向けてくる。恥ずかしがっていたかと思えば唐突な鋭い視線に尋ものけ反ってしまう。

「どうせ、尋の事だから何も考えていないんでしょ。なんか変に反応した私が馬鹿馬鹿しい!てか、尋の言葉でぐらぐらと揺らぐ私が悔しい!」

「な、なに言ってんの?てか、悔しいってなによ?」

「うっさい!てか、さっき尋が言ってた綺麗な花には棘があるってなに?」

「また、高圧的な言い方で怖いな!」

これ以上変な事を私に言わせるな。問われた事に対してすぐさま答えよ。ひしひしと紫穂の無言の重圧が尋の喉仏辺りを押してくる。何故、唐突に恥ずかしがったり、怒ったりしているのか気にはなったためその事に関して先ずは問いたかった。が、自由な発言は許される雰囲気ではなかった。無意識に生唾を一度飲み、

「言葉のまんまだよ。紫穂って意外に男子からモテるでしょ?僕だって紫穂の事は美人さんだと思うし。だから、綺麗な花には棘があるんだな!って言いたかっただけなのに紫穂は急に恥ずかしがったり怒ったりするからなんか色々とごちゃごちゃしちゃったんだよ」

「・・・」

「・・・別に深い意味なんて無いよ?悪口に聞こえたならごめんね?許してくれる?どう?こ、怖いよ?その鋭いフェイス?」

尋の言葉を聞いた瞬間、紫穂は尋にも本心が気が付かれないように必死に道化師を演じた。異性に美人と言われて嫌になる女性は少ないだろう。実際、紫穂も本当は笑顔を作り感謝の言葉でも口にしなんなら缶コーヒーでも奢りもう少し自分の評価を聞きだしたいぐらいだ。けれど、目の前の男の子からは聞きたくなかった。何故だろう?胸の奥の辺りがチクリと痛む。ただそれだけ。そのひと言を聞いた瞬間に火照っていた体から熱がスッと消えてしまった。分かっていた。分かっていた事なのに言葉にされるとこうも胸が痛くなるものなのだろか。知らない。聞かなかった事にしよう。グッと奥歯を噛みしめ必死に崩れそうになる表情を作りいつもの幼馴染として接する。

「尋が言うほど私ってモテないけどね」

やっと反応が返ってきた事に嬉しかったのか素直に笑みがこぼれてしまう。相変わらず幼い子のように分かりやすい。

「いやいや。紫穂って意外とモテてるんだって。当人は意外に知らないものなのだよ。ははは・・・痛っ」


【今日は会えるかな?】


「ん?どうかしたの?」

こめかみ辺りに痛みが襲ってくる。まただ。意思(ノイズ)のようなものが頭の中へと入ってくる。自分の感情に干渉されているようで気持ちはよくない。笑みを作り大丈夫だと伝えるものの未だに妙な感覚が頭の中に残る。自分のではない感情が自分の体の中に入り込んでくるのは気持ちがいいものではない。数回ほど深呼吸を済ませ外の景色を眺めようとすると目的地でもある木野咲病院の名が掲載された看板を通り過ぎあと少しで到着という場所まで来ていた。

「まさか、病院ってここなのか?」

トクン。と、大きく鼓動が大きく跳ねる。思ってもみなかったしまだ確信的な証拠もあるわけではない。けれど、何故か尋の脳裏には昨日、紫穂と見た写真の背景を思い出していた。しかし、ここが求めている場所であったとしても病院に手掛かりなんてあるわけがない。病院は一定の日数が経てば転院、退院など思った以上に回転が速く医師、看護師たちだってよほどのことがない限り一人、一人の患者を覚えているはずがない。しかし、徐々に病院へと近づいて行くにつれて鼓動、頭の中に響く不協和音が大きくなってくるのが分かる。

「尋?大丈夫?車酔いでもしちゃった?凄い眉間にしわが寄ってたけど」

視野が狭くなりつつあったが紫穂の言葉とともに視野が広がり窓ガラスに反射する自分の顔を見てみる。とんでもなく険しい表情になっていた事に気がつき数回ほど頷き感謝の言葉を向けもう一度、深く深呼吸をしていると停車ボタンが赤く光り停車駅名が掲示板に表示される。と、雨谷が椅子から立ち上がり吊革につかまり尋、香織、紫穂へと視線を向け、

「よっし!お見舞いに行きますか!・・・あと、御二人さん」

不敵な笑みを紫穂、尋へと向けてくる。二人ともが雨谷の意図も分からず首を傾げつつ雨谷を見ていると、

「なんか後ろから見てると二人って姉弟みたいだよな」

友人「あのさ?ちょっと言いたいことあるんだけどいい?」

m「ん?」

友人「アンタの小説を見てくれてる人っているんでしょ?」

m「ありがたい事に」

友人「んでさ?定期的に更新とか出来ないわけ?毎日が無理なら週一とかでさ?期間が随分と開く小説ってゴミだよ?待つ人間の身になれっての。私、前は見てたけどもう見なくなったもん」←人差し指をこちらに向けつつ

m「・・・だ、だよね(ちゃんと更新しなきゃ)」

友人「だよねじゃないよ!ホントに!」

こんなやり取りがあったのです。相手はお酒が入っていたせいかとっても怖かったです。本当に間が空いてしまいすみません。出来る限り期間が開かずに更新したいと思っているのですが中々出来なくて本当に申し訳ございません!

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