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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
79/112

15.3

口調こそ呆れているようにしているが表情は尋に褒められたことが嬉しいのか明るいものになっている。スマートフォンを手渡され画像を何度かスライドさせていくとアルバムとは全く関係のない画像が液晶へデカデカト映し出される。何気なく見ていた紫穂は驚きのあまり二度見するとすかさず奪い取り鋭い眼光を向けてくる。悪意を持ってやったわけでもなければわざとでもない。自然と調子よく画像をスライドさせていたら偶然出てきたものである。が、戸惑いと共になぜそんな画像があるか気になってしまい、いつもなら紫穂の眼光に怯み謝罪の言葉を口にして終わってしまうが今回は違った。

「勝手にちょい、ちょいってスライドさせて他の画像を見たのはごめん。だけど、なんで僕の寝顔の画像が紫穂のスマホの中にあるんだよ?アルバムにあるって事はそれ紫穂が撮ったやつだよね?」

「ちょい、ちょいじゃあないっての!女子の携帯を勝手に見るなんて最低!」

「だから、不可抗力だしそれはごめんなさい!って言ってるでしょ!それよりもどうして僕の寝顔がそこにあるのかを知りたいの!」

「むー!」

つい、数秒前まではご機嫌だった表情もすっかり不貞腐れてしまい頬を膨らませそっぽを向いてしまう。勝手に調子に乗ってスライドさせてしまったのは申し訳ないと思う。しかし、まだ自分が紫穂に問うた答えが返ってきていないため後頭部辺りを見つめていると視線が気になったのか視線をこちらへと戻してくる。視線こそ合わせてこないが尋が返答を待っていることは分かったらしく大きく肩で息を吐くと、

「なんか、尋の寝顔って久々に見てさ。私もよく分からないんだけど懐かしくて撮っちゃったんだ。別に画像を加工してばら撒こうなんて思ってないから安心して」

「ば、ばら撒くって。怖い事を言うね!」

「そう言う事だから別にやましい理由があったからって事じゃあないから。もういい?」

これ以上追及したところでただ、ただ紫穂の機嫌が悪くなることは間違いないため尋も数回ほど頷く。もう少しだけ写真を見せて欲しかったけれど流石に今の雰囲気では言い出しづらく気を紛らわせるために口笛を吹きつつ外の景色を眺めていると紫穂が肩を突いてくる。

「そう言えば、昨日の夜に偶然外見てたら尋がもの凄い勢いで自転車でどこかに向かってたけどどこに行っていたの?とんでもなく喉が渇いてたの?」

「あぁ・・・あれは・・・」

本当の事を言ってもいいのだろうか?雨谷同様に気持ち悪がられるのではないだろうか?紫穂に気持ち悪く思われるだけならまだいい。もしも、紫穂に伝え香織の耳にも入ってしまった場合どうする?引かれでもしたらそれこそ立ち直れない。失恋もしているし諦めなければいけないと思っている女性である。が、それでもどうせなら気持ち悪いとか引かれたりせず仲の良い幼馴染として接して欲しい。一回でも気持ち悪いなんて思われてしまえば信頼を取り戻すのにはとんでもない労力が必要だろう。夜に事故があった後輩の子を心配してニ時間以上かけて病院の前まで来る。想像しただけで女性からしたら恐怖じゃあないだろうか。御崎は優しい後輩だったから良かったかもしれないけれど他の人は違うかもしれない。いや、殆どが恐怖を覚えてしまうだろう。喉まで出かかった言葉を飲み込み笑みを作ると、

「なんだか急に自転車で思いきり走りたくなってね。星も綺麗だったしさ。やっぱり高校生男子ってたまに夜一人で全力で自転車を漕ぎたくなる時ってあるんだよ」

「へ、へえ・・・そうなんだ」

「引いた?」

「うん」

「素直だね!!」

ツッコミが予想以上に面白かったのかお腹を抱えながら笑いだす。ここまで楽しそうに笑っているのだから後ろに座っていた二人も気になってしまうのは仕方がないこと。ちょこんと尋の肩へ手を置き興味深そうに首を傾げてくる香織が視界へ入ってくる。危うく見蕩れてしまいそうになる自分を律するように奥歯を噛みしめ視線を雨谷へと向ける。雨谷も紫穂の笑いが何によって起きたのか気になっている様子でこちらへと視線を向けていた。雨谷、香織が紫穂に何故そんなに笑っているのか?と、問うてきた場合、紫穂は間違いなく最初から答えてしまうだろう。もしもそうだとしたらとてもマズイ。雨谷は昨日の夜、自転車でどこへ行ったのか知っている。その事がバレテしまえば紫穂はともかく香織が引いてしまうかもしれない。尋の頭の中は様々な思考が駆け巡り一番良い解決策を探しているが焦っている思考回路で唐突にいい案なんて出てくるはずもない。諦めかけた瞬間、丁度よく紫穂の携帯が鳴り紫穂は席を外し少し離れた一人席へ座り電話を始める。安堵からか大きなため息が漏れてしまう。それを見た香織はクスクスと笑い雨谷は背もたれにもたれかかりスマートフォンへ視線を戻す。

「尋ちゃん。なにか分からないけど相当焦ってたでしょ?」

「あ、焦ってた?なにを?」

「尋ちゃんって安心した時って大きなため息を絶対に吐くもん。また、何か隠し事でもしてるんでしょう?」

流石、幼馴染である。的確なところばかりをついてくるがここでぎこちない反応をしてしまえばそれこそ全部話さなければいけなくなる事は火を見るよりも明らかなため、何もない!と、言わんばかりに思いきり首を振り否定をする。その姿を見て香織は、分かった、分かった。と、数回頷き頬っぺたを突いてくる。

「尋ちゃんは自分で思っている以上に表情に出るからね!隠しても私は尋ちゃんをずっと見てるからすぐに分かるからねっ!」

「えっと、それってどう言う意・・・」

最後まで言葉を聞かず香織は微笑み雨谷と同じように背もたれにもたれかかり鼻歌を歌いながら外の景色を見はじめ、改めて問うとした瞬間、

「ごめん!お母さんからだった。ん?どうかした?」

何となく紫穂が戻り聞きづらくなったため視線を前へと戻すと、

「んや。なんでもない。早く座らないと危ないよ」

「ん?・・・うん」

最近、物語を書く時間が取れなく更新が遅くなってしまい呼んで下さっている方には何度もご迷惑をお掛けしております。すみません!短いですが更新させて頂きました。

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