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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
67/112

10.1

夕陽が覆う街を見るとどうして切なくなってしまうのだろう?尋は一人ふとバスの窓から緋色に染まる景色(せかい)を見つつ心の中で問うてみる。何故か尋は御崎を駅まで送って行ったあとすぐに帰宅するのも勿体ないと思い、辺りを散策する事にした。が、見事に面白い事もなくだらだらと小銭を使ってしまっただけ。何とも悲しい午後を一人過ごしてしまっていた。きっと、無駄な小銭を使ってしまい無駄な時間を使ってしまった事による後悔の念が余計に夕陽が切なく映ってしまっているのかもしれない。夕方と言う事もありスーツを着た社会人がちらほらとバスに乗りこくり、こくりと頭を揺らし睡魔と闘っていたりスマホで新たな情報を手に入れたりとしている。何気なく視線をバスの中で泳がせているとポケットに入れていた携帯が震えたため手に取ると一件、メールが着信していた。開き見てみると御崎からであった。

「そっか。それは良かったね」

御崎からの内容を読んだ瞬間に自然と声が出てしまい表情も先ほどの切ない表情ではなく柔らかく優しい笑みへと変わっていた。現金なものだな。なんて窓ガラスに反射する自分の顔を見つつ苦笑してしまう。けれど、それでいいのだと思う。嬉しいこと、微笑ましいことがあれば微笑んでしまう。それで良い。何に対してい言い聞かせているのか分からなかったけれどそれでいいんだ。何度か頷き流れる景色を見つつ下車する場所が近くなりボタンを押すとバス全体に取りつけられているランプが赤く点灯する。

「あれ?香織だ」

自転車を押しながら歩いている香織を通過しバス停へと停車する。何故か尋は焦ったように鞄を背負い預かりものの紙袋を手に取り停車したバスの運転手にお礼を言い少しだけ駆けだすようにバスを降りると丁度、香織がバス停近くを通過しようとしている所であった。香織も尋が視線に入ったのか微笑みながら少し駆け足気味で近づいてくる。尋も片手をあげ香織の近くへと向かう。

「尋ちゃん。どうしたの?一人で買い物とか良いねっ!」

微笑みながら預かりものの紙袋を指さしてくる。

「これは違うよ。雨谷が頼まれたやつを僕が代わりに取りに行っただけなんだ」

「また、尋ちゃんを良いように使ったのか。悪い彼氏でごめんね」

苦笑を浮かべつつ頭を下げてくる。慣れたはずの言葉。香織の口から出てくる彼氏。と、言う単語(ことば)はまだ胸の奥をチクリと刺さってしまう。が、尋は笑みを浮かべ否定をする。

「全然、気にしなくていいよ。雨谷には多分、用事があったんだし。それに比べて僕は暇だったからね。だから良いの!困ったときにはお互い様だし」

尋の言葉に御崎は苦笑から微笑へと変わると、手を差し伸べてくる。ドクン。と、大きな鼓動が波打つ。手でも繋ごう。幼馴染だとしても高校生な訳だから流石にそれはマズイのではないだろうか。生唾を飲み香織から差し出される手を見つめてしまいそうになるが煩悩を振り棄てるように首を左右に何度も振る。

「ひ、尋ちゃんどうしたの?荷物籠の中に入れれるよ?」

「・・・ですよね」

「ですよね?」

「いや、香織が手を繋ごう?って意味で手を差し伸べてくれたのかと一瞬思ってビックリしただけ」

恥ずかしそうにまいったな。なんて笑いながら尋は頭を下げ手に持っていた荷物を香織へと渡す。香織は袋を受け取り籠へと入れ笑いながら、もう一度片手を差し伸べてくる。

「久々に手でも繋いでみる?」

「こ、こら!男の子をからかうものじゃあありません!」

「尋ちゃんって昔から女子(わたしたち)と手を繋ぐの恥ずかしがるよね。中学校の体育祭の最後にフォークダンスがあった時も顔を真っ赤にしてたもんね!それで、結構女の子からお誘いがあったのに踊ったのは私と紫穂だけだったし」

「だって恥ずかしいでしょ!中学生とか一番女子と接するのが恥ずかしい時期なのにそこで二人で手を繋いでダンスをするって考えただけで恥ずかしいよ」

顔を真っ赤にして反応するものだから香織はクスクスと笑いだしてしまう。あまりにも必死に熱弁しすぎている事に気が付いたのか尋も両手を団扇代わりにし顔に風を送り一旦気持ちを落ち着かせようと耳を澄ましてみる。すると夏らしいひぐらしが気持ちよさそうに夕風を浴びながら鳴いている。心地よい夏の夕暮れ。昼間とは違い熱くもなくけれど寒くもない丁度よく自然と笑みがこぼれてしまう。視線を香織へと向けてみると同じように夏の夕暮れを楽しんでいるようだった。視線に気が付いたのかこちらへ視線を向けつつ微笑んでくる。尋も微笑み空を見上げてみる。

「ふふ。尋ちゃんって本当に空が好きだよね。そのせいで私まで空好きになっちゃったし」

「僕のせいって。・・・でも、僕が好きなものを好きだった人が好きになってくれるって嬉しいよ」

「好きだった人・・・か」

「ん?」

「んーん。なんでもないよっ!」

香織も尋の真似をするように茜色に染まっている空へ仰ぐ。雲も一切なくただ、赤色の世界が視界へと入ってくる。もう少し時間が経てば黒色が混じり銀色の光が輝き始める。夕方から夜へ変わって行く瞬間がたまらなく大好きで何度見ても飽きない。

「あ、そう言えばさ?」

「ん?」

昨日、紫穂に聞いた質問をもう一人の幼馴染でもある香織にも問うてみる。

「昔にさ僕ん家と一緒にキャンプじゃあなくてただ天体観測をしに行った事ってある?」

「キャンプはあるけど天体観測だけだよね?んーどうなんだろう?それって小学校よりも昔ってことだよね?」

「そのぐらいかな?多分?」

香織は記憶を巡らせてくれてみたものの心当たりはなさそうだったのか首を左右に振るだけであった。が、何か思いだしたのか思いついたのか少しだけ細くなっていた瞳が大きく見開く。

「そう言えば・・・気のせいかもしれないよ?気のせいかもしれないけど昔、小学校か保育園の年長の時に仲良かった子が尋ちゃん、尋ちゃんって一緒に遊んでたかも?いや、ごめん。曖昧な記憶だけど」

しかし、香織の表情は晴れやかなものではなくどこか悔しそうな表情を浮かべていた。思いだせそうで思いだせないことがあるとこうして眉間にしわを寄せ少し不機嫌そうな表情を作ってしまう。本人はいたって不機嫌ではなく通常なのだけど稀に出てくる表情は

見慣れていない人は香織が怒っている。そう感じる人も少なくは無い。深いため息を吐いた後、香織は一度空を仰ぎ尋の方へと視線を改めて向けてくる。その表情は先ほどとはうって変わりいつも通りの香織の表情であった。考えたところで思いだせないものを無理矢理に思いだせない。そう言う考えに至ったらしく、何か思い出せたらまた連絡するね。と、籠に入った袋を手渡してくる。尋も感謝を口にしつつ袋を受けとり香織を見送り携帯電話を見てみると一件ほど着信があったため折り返す、とコールニ回で相手は出てくる。

「あ、尋?もうそろそろ家来る?」

「相変わらず電話に出る速度が業者並みで驚くよ。・・・えっとねあと五分もかからずにつくと思うけど行っていいの?一回家に帰ろうと思ってたんだけど」

「家に?もしかして街からの帰り?」

「そうそう。ちょっと雨谷に頼まれごとをされてて」

「そっか。荷物とかなかったらそのまま家にくればいいよ。それにちょっと話したい事もあるし」

「分かった。じゃあ、このままお邪魔させてもらうね。あと、めちゃくちゃお腹すいてるからよろしくね。紫穂がつくった奈良漬け楽しみにしてるから」

尋の言葉に呆れたような笑い声で、了解、了解。なんて相槌を打ってくる。

こんばんは。本日はバレンタインデー。皆さんは想っている人にチョコをプレゼントされましたか?想っている人から貰えましたか?周りの男たちは企業が策略した日だから俺は絶対に買わない!などと荒んだ人が多く出没しております。笑

企業が考えたイベントであっても男女問わず想う人に想いをチョコに託して気持ちを伝える日って素敵ですよね。

今日は色々と温かい気持ちがたっぷり入ったチョコが沢山、プレゼントされているんでしょうね。そんな事を考えるだけで甘い気持ちになって笑顔になってしまいます。バレンタインデーの事を考えていたら胸がいっぱいになったので私はチョコを誰からも貰わなくて平気なのです。決して強がりでは・・・ないですよ。

冗談はさておき。笑

長々と私の下らない話しを最後まで読んで下さりありがとうございました。少しずつですが二章も動き出していきますので応援?よろしくお願いします。

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