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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
60/112

5

しばらくするとバスは信号に捕まってしまったのか流れていた景色が止まってしまう。何故か尋も一休み。なんて言いたそうなため息を無意識に吐いていると御崎は尋の反応が面白かったのかクスリと笑いだす。良く分からなく尋は首を傾げながら視線を向けると、

「いま、無意識だとは思うんですけど先輩、ため息をされたんですよ」

「え?してたかな!?」

「私の勝手な解釈だったらすみません。なんとなく先輩がため息した気持ち分かるなって思って。車に乗ってるだけで私は何もしてなくて疲れるはずはないのに何故か車が止まった時にため息とかたまにしちゃったりするので。先輩もそうなのかな?って思ったら少し可笑しくて笑っちゃいました」

穏やかな笑顔に尋もなるほどね。なんてつられるように笑みが自然と出てしまう。穏やかでゆったりとした時間。なんだか、こんな穏やかで暖かい時間を過ごしたのは久々な気がする。香織たちといる時はここまでまったりと過ごした時間なんてあっただろうか?個々ならたまにあるかもしれない。けれど殆どの確率で雨谷紫穂(おまけ)たちが付いてくるのでまったりはできない。と、言っても騒がしいのも楽しいので別に嫌だということではない。停車していたバスは動き始めるといつもなら気にならない事で笑ってしまう。ただ、バスが動き始めて御崎の体が少しだけ揺れただけで微笑ましくなり笑みがこぼれてしまう。御崎も恥ずかしそうな笑みを浮かべつつ照れくさそうに俯き視線を少しだけ下げつつ小声で口を開いてくる。

「なんか、凄く不思議です」

「不思議?」

「はい。だって、先輩と一緒に学校でもない日に・・・休みの日にこうして一緒に居られるなんて不思議です。それに夜は天体観測まで誘ってくださったし」

「ははっ。そう言われると確かに不思議だよね。御崎ちゃんとこうして夏休みに二人っきりでバスに乗るなんて思ってもみなかったもん。でも、一年の男子たちは怒るだろうね。一年で一番人気の女の子と一緒にバスに乗るなんてそうそう出来ない事だし」

ふふん。なんて自慢げに鼻息を吐きつつ腕を組み誇らしそうに視線を向ける。と、御崎は少しだけムスッとした表情を浮かべ尋の腕を数回ほど突いてくる。なにか気に障るような事を言ってしまったのだろうか。小心者(ひろ)はすぐさま謝罪の言葉を向けようと口を開くがそれよりも先に御崎は、

「一番人気とか言うのできたらやめて欲しいです。確かにみんなにそう言って貰えるのは嬉しいですし嫌な気持ちはしないです。けど、先輩にはなんか・・・そう言う風に言われたくないんです。・・・私が一番人気って言われてるから話しとか仲良くしてくれてるんですか?」

「ぜ、全然そんなことないよ!ご、ごめんね!今度から絶対に・・・絶対って言葉は好きじゃあないんだけど!この事に関しては絶対にもう言わないよ!御崎ちゃんが嫌だな!って思うことは言いたくないから!ごめんね!」

尋の言葉にムスッとした表情は溶け始めどこか嬉しそうな笑みへと変わりコクリと一度だけ頷く。尋も御崎の頷きに安堵したのか胸を撫でおろしつつ背もたれへもたれかかりながら先ほど御崎が言った言葉を思い返すとどこか寂しい気もしてしまう。何故なら自分にだけは言われたくない。そんな事を言われてしまうとどこか仲間はずれされているような気分になってしまう。しかし、それでも本人が言われたくない。そう正直に告げてくれたのだから今後一切口にしまい。自分に言い聞かせるように何度も心の中でいい聞かせる。思っている事は表情にすぐ出るから気をつけろ。昔から紫穂(おさななじみ)たちに言われている事だった。ハッと尋はその忠告(ことば)を思いだしたのか両頬を叩き御崎へと視線を向けると外の景色を見ていたため小さくため息をつき御崎の頭越しから外の景色を眺めつつ

「何か面白いものでもあった?」

「面白い事ですか?なにもないですね。けど、こうして先輩と一緒に居れることが面白いですよ」

「そ、そう?そう言ってもらえると光栄でござるな」

クールに返答しようとしたが語尾がすこしだけ侍風になってしまい明らかに動揺している事がバレテしまったが御崎はござる、ござる。なんて楽しそうに尋の真似をし始めるだけでこちらに視線を向けては来なかった。左右にゆらゆらと動く後頭部が可愛くつい、手が頭へと伸びて行く。が、あたるか当らないかの寸前で思いとどまり手を素早く体まで引き戻す。

「あ、危なかった」

「何か外で危ない事をしている人が居たんですか!?」

キョロキョロと流れる景色の中から探し出そうとする御崎の姿が可愛く頬笑みを向けてしまう。

「ごめんごめん。危なかったって言うのは僕が御崎ちゃんの頭を撫でてしまいそうだったことなんだ」

「えっと・・・そ、それは危なかった危なかった・・・ははっ」

「あ、うん。えっと、なんかごめんね」

「い、いえ。わ、私こそ頭を撫でてしまいそうな頭でごめんなさい」

綺麗な黒い髪を自分でポンポンと軽く叩きながらへへへ。なんて思いだし笑いでもしているのか照れくさそうな笑みを浮かべる。その姿を見て尋も何故か顔が急に熱くなり誰に向かってしたのかお辞儀を済ませるとバスの天井を眺めはじめてしまう。気まずくは無いけれどどこかむず痒い沈黙が続きしばらくすると二人が下車する場所でもある木野崎病院前というアナウンスが流れる。

更新が遅くなりすみません。

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