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夏になる頃へ  作者: masaya
二章 from sky
59/112

4

時計へ視線を向けると到着時間まであと少しと言うところであった。御崎はさきほどの天体観測の件から鼻歌なんか歌って先ほど以上に上機嫌さがうかがえる。ここまで表情を表に出して喜んでくれると尋もまた嬉しくなり心がほんのりと暖かくなってくる。御崎の横顔を見つつ微笑んでいると視線を感じたのか振り向く顔を見るなり頬を真っ赤にしつつゆっくりと視線を逸らしてくる。ぎこちない動きに尋はつい、声を出しつつ笑ってしまう。御崎がどうして一学年で一番人気があるかが分かった気がする。容姿はもちろん中身も彼女は美人(すなお)なんだろう。非の打ちどころがない。と、言うのはこの事なのかもしれない。しかし、そんな完璧で可愛く人気のある女の子がどうして平日にこんな平凡でどこにでもいそうな自分と一緒に過ごしてくれているのか不思議に思ってしまい笑いながらも首を傾げてしまう。せっかくの夏休みなのだからお誘いだって無いわけがない。それなのに何故だろう?気になってしまったら最後、尋は顔に出てしまいすぐに何かを考えている顔。と、言うのが分かってしまう。それは御崎もそうであり逸らした視線をばれないように尋を盗み見していたため表情の変化に気がつく。

「先輩?」

「ん?どうかした?お腹でも痛い?」

てんでずれた言葉が微笑ましくて笑ってしまう。尋もつられて微笑んでくる。が、そうじゃあない。聞きたかったのはそう言うことではない。自分自身に言い聞かせ再度、尋の方へと視線を向け口を開く。

「お腹は大丈夫ですっ!それよりも、どうかしましたか?さっきまで笑っていたのに少しだけ難しそうな顔をしてたので・・・」

「えっ!そんな難しそうな顔をしてたかな!ごめん!心配させちゃったよね。ちょっとだけね?考え事をしてて」

両手を両頬へ持っていき円を描くようにこね回しつつ強張っていたであろう表情を和らげつつ、何かを決心したのか尋は頷くと御崎へと再度視線を向けてくる。御崎もちょっとだけの考え事が、気になっていたのか今回ばかりは視線を逸らしては来ない。ここまで気にさせてしまっていたのか。別に言いにくいことじゃあないんだから心配させるぐらいならすぐに考えこまず聞けばよかった。と、反省しつつ口を開く。

「ごめんね!考え事って言うのは、今日って夏休み真っただ中でしょ?」

「はい」

「それなのにどうして御崎ちゃんは僕と一緒に手伝いをしてくれるのかな?って思ってさ」

「えっ」

尋の言葉を聞いた瞬間に顔が真っ赤になってしまうことが分かる。尋には決してバレテはいけない。別に本心がバレテしまってもいいのだけれどなんとなく先ほどまで向けていた視線を逸らし地面へと向けてしまう。尋は御崎の表情に気がつくことなく弁解を続ける。

「んでね?御崎ちゃんぐらいの人なら夏休みだと色々とお誘いとかあるのかな?って思って。僕としてはとってもありがたいことなんだよ?一人で病院に行くよりも全然心構えが違うし。でも、無理について来てくれるのなら申し訳ないな!って思って」

「そ、そんなことないですよ!夏休みは長いですし、それに友達とも色々と約束はありますから。でも、こうして先輩と一緒に話ししたりどこかに出かけれるのって友達と遊ぶより一番楽しいかもしれません!」

ちょっとした夏の魔物が御崎の背中をポンと押してみた。告白にも近い言葉。貴方と一緒に話しや外出できる事が一番嬉しい。そんな事を高校生男子がしかも一学年で一番人気のある女性から満面の笑みで告げられてしまったら誰だって勘違いしてしまう。尋だって少しからず勘違いしかねない。しかし、御崎は素直に言葉を告げただけであって告白なんて思ってない。本心ではあるが告白では無い。なので尋の表情の意味が分かり自分の言いたい事も言えたた御崎はニコニコと微笑んでくるだけ。尋もつられて微笑んでいるが鼓動はいつも以上に早く脈打つ。勘違いするな。そんな事は無い。純粋に先輩として慕ってくれているだけであって男としては見られていない。何度も何度も自分に言い聞かせていると丁度いいのか悪いのかバスが鈍い音を立てながら二人の前へと停車する。

「よ、よっし!御崎ちゃん!乗ろうか!」

「はいっ!」

乗車すると涼しい風が二人の周りを包んでくる。尋も冷たい風のお陰か少しだけ火照った顔を冷やす事ができ冷静さを取り戻し始める。夏休みと言うことで乗客はちらほらといたがほぼ貸し切りと言ってもいいぐらいの丁度よい人数であったた。ちょうど、真ん中よりも前側に席が空いていたため御崎はその場所へ座ると尋も迷うことなく隣へと座る。

「えうえっ!」

「えうえ?」

お互いの肩が触れるか触れないかの距離に御崎はつい、頭の上から変な声が出てしまい挙動不審になってしまう。尋は何故、そこまで取り乱すのかよく分からなく首を傾げつつ不思議そうに視線を送ってくるだけであった。が、何かに勘付いたのか目を見開きつつ席を立つ。

「ご、ごめん!いつもの癖で隣に座っちゃったけど配慮が足りなかったよね!ごめんなさい」

つり革につかまりながら苦笑いを浮かべつつ頭を下げてくる。御崎も驚きのあまり、いえ。私こそ変な声を出してしまってごめんなさい。と、良く分からない言葉を口にしつつ頭を下げる。お互いに頭を下げ合ってあの二人は何をしているのだろうか?なんて乗車している人の変な視線を感じてしまったのか尋は咳払いしつつ御崎へと視線を向ける。

「本当にごめんね・・・大丈夫?」

「わ、私こそ変な反応しちゃってごめんなさい。ちょっと驚いちゃって!それで、それでですね」

あたふたとする御崎は可愛くつい頬笑み話しを聞いていると御崎がこちらへ視線を向けてくると

「せ、先輩がよろしければ・・・その、えっと・・・」

「ん?」

あたふたしていたかと思えば次はもじもじとなにやら言葉に詰まっているのか上手く声が出てこない様子に尋はただ、ただ心配してしまう。大丈夫?なんて声をかけようとした瞬間に俯いていた御崎の顔が映る。キリッと整った顔が真っ直ぐにこちらに向いてくるのだから尋はつい、驚き一歩後ろへと下がってしまう。

「も、もしもよろしければ隣へどうぞ!」

「あはっ。あ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて座らせて貰おうかな」

予想外の言葉につい笑いながら御崎の隣へと腰掛ける。座った瞬間に御崎は窓際へちょこっと寄ってしまった事にショックをちょっぴり受けてしまう。が、きっと気のせいだ。なんて自分自身を誤魔化し壊れかけそうになる心へ何度も喝を入れ御崎の方へ視線を向ける。未だに御崎の表情はどこかぎこちなく、本人にとってはてんで面白くは無いのだろうけど、つい笑みがこぼれてしまう。先輩らしくなんて背伸びをしたのか景色を見つつ、

「やっぱり夏の景色ってなんか青々しくて綺麗だよね」

「は、はいっ!私って夏が大好きなんです」

「そうなの?確かに夏の朝の香りって澄んでていいよね」

尋の言葉に同感するように何度も何度も頷いてくる。ここまで同意されたのは初めてで驚きつつも嬉しくなってしまったのか尋もまた調子に乗ってきたのかいつもよりも口数が多くなってくる。それに比例するように御崎もまた嬉しそうな表情を浮かべ話し始める。しばらく自分は夏のどんなところが好きか。なんて話をしつつ気が付けば街へと出ていた。最初の辺りこそ乗ってくる人も少なかったが今は座席は全て埋まっている状態であった。

「やっぱりみんなスマホを構ってるね。一人ならまだしも二人以上でいるなら話しでもすればいいのに」

ボソリと尋が口にすると肩を人差し指で突きながら御崎が口を開く。

「やっぱり公共交通機関だからみんな遠慮してるんじゃあないですか?私たちも小声になってますし」

「た、確かに。人が密集している所で大声で話すのはマナー違反かもしれないね。御崎ちゃんとの話しが楽しくてつい喋りっぱなしだったし。大丈夫?疲れてない?あと少しで到着するし休憩がてら静かにしよっか」

尋の心配(といかけ)が恥ずかしかったのか視線を少しだけ下げつつ、大丈夫です。心配して下さってありがとうございます。と、口にしつつ窓へと視線を向ける。尋もならよかった。なんて満足そうな表情を作りつつ御崎の後頭部越しから流れる景色へ視線を向ける。真っ青な空にジリジリと温度を上げそうな太陽が映る。

「今日はいい日になりそうだ」

最近、気温の変化が激しく皆さんは体調を崩したりしておりませんでしょうか?暖かいココアなどを飲みながらこの物語を見て頂けるとより私と同じ環境下で物語を見れると思います。←なんじゃそら

冗談は置いておいて本当に異常気象と言う言葉が合う日々が続いているので体調管理には十二分気をつけて日々をお過ごしください。長々と物語に関係のない文章を最後まで見て下さりありがとうございました( ^^)

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