表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏になる頃へ  作者: masaya
一章 恋の妖精と時々幽霊
20/112

19

とりあえず着信があり急ぎの用事だといけないと思い折り返し紫穂へと電話をかける。と、1コール鳴った直後に電話が取られる。電話をとる速度が思った以上に早く相当急ぎの用だったのだろう。ひろは自然と発声一言目が謝罪の言葉を口にすると電話越しから聞こえてくる声は急いでいる様子もなくいつも通りの紫穂の声色であった。

「あれ?急用じゃあなかったの?」

「急用?別にひろに急ぎの用事なんて無いけど?」

ならどうしてここまで電話に出る速度が速かったの?と、聞こうと思ったけれどなんとなくどうでもいい事だろう。そう思い、なるほどね。なんて言葉を口にしつつ疑問をとりあえずは飲み込んでおく。しかし、口調からして急ぎの用事が無かったのならどうして電話をかけてきたのだろう?様々な疑問が湧きあがってくる。しかし、その疑問を問うたところで素直に返答してくるだろうか?答えはきっとしてこない、だ。そうなるとこの電話はいつまで繋いでいれば良いのだろうか?お互いに言葉を口にする事はなく無言電話が続く。しばらくすると、意を決してひろが口を開く。

「あ、あのさ?別に急用じゃあなかったら家に帰ってから家にくればよくない?電話代が勿体ないし」

「た、確かにそうだよね・・・でも・・・えっと・・・」

「?」

妙に歯切れが悪い反応にひろはため息をつきつつ紫穂が喋り出すまで待つことに決め歩きだす。耳からは微かに紫穂の吐息の音が聞こえる。どれだけなにか言葉を言うのに息が荒くなっているんだよ。なんて思っていると自然と口が緩み笑ってしまう。その笑い声が気になったのか紫穂が問うてくる。素直に吐息攻撃が凄いから笑ってしまった。そう言うと恥ずかしそうに、馬鹿。と、言いつつマイクから口を離したのか吐息が聞こえなくなる。相変わらず口調こそ強めな時が多いけれど稀に見せる女の子っぽい反応はいつもとは違うギャップで聞いているこちらが恥ずかしくなってしまう。

「あ、あのさ」

「ん?」

「う、家に去年やり残した花火があって・・・それでさ・・・い、一緒に今日の夜しない?」

「花火?いいね!やろうよ!」

「ほ、本当?!」

先ほどのよそよそしい感じでは無くパッと明るくなったような声色になったような気がする。伝えたかった事を言え満足したのか約束の時間を決めるとすぐに通話は切れる。ただ、花火をしよう。と、言うことを言うだけでどれだけ時間がかかっているだ?もう少しそのぐらいの事なら早く言ってくれれば電話代ももう少し安く済んだろうに。なんて料金の事をすぐに考えてしまう自分に対して自虐的な笑みを浮かべる。単純に自分はセコイな。なんて思ってしまった。空を見上げてみると先ほどまで少ししか顔を出していなかった星たちがキラキラと輝き夜の空を照らしていた。ただ、星を見ているだけで笑顔になってしまう。ふと、御崎と一緒に撮った写真をもう一度見たくなり携帯へ視線を向ける。

「何度見てもこれは凄い。紫穂にも見せてあげよっと」

携帯を見つつニヤケていると画面が着信画面へと変わり驚いてしまう。が、すぐに通話ボタンを押し出ると妙に焦ったような雨谷の声が聞こえてくる。

「ひ、ひろよ!俺、見てしまったぞ」

「何を見たの?女子更衣室で覗きでもしたの?覗きってマジで犯罪だからやめた方がいいと思うよ?親友からの忠告」

生まれてこのかた覗きなんてした事無いっての!と、強い口調で言われてしまい冗談半分で言ったつもりが思いのほか本気で取られてしまい戸惑ってしまう。きっと、いつもの雨谷ならノリに乗ってくれた後にツッコミをしてくるはずなのだけど今回ばかりは損な余裕も出てこない物体を見たのだろう。戸惑いつつもひろは雨谷の言葉を待っていると、

「す、すまん。俺もちょっと余裕がなくてボケるの忘れてた。・・・ってか!今はそんなお茶目な会話をしている場合じゃあないんだって!俺見ちゃったんだよ!オバケを!!」

「オバケ?またまた、御冗談を」

しかし、呼吸の荒さといいいつもの雨谷らしからぬ余裕のなさに信憑性は高い気がしてくる。だからと言ってこの世の中にオバケなんて都市伝説的なモノが居る訳がない・・・と、そう思っていたが今日の昼休みの出来事を思い出してしまう。アレも現代科学では説明できないであろう物体を目の当たりにしたばっかりだった事を思い出してしまう。ひろが勝手に思っているだけだがアレもきっと都市伝説的な妖精(モノ)ではないだろうか?電話越しで無言になってしまうひろに雨谷は自分が言った言葉を信じてくれているのだと言う風に勘違いし先ほどの焦ったような口調ではなく嬉しそうな声色へと変わる。

「それでな?」

雨谷の声には含み笑いが込められておりよからぬことでも考えているのだろう。手に取るように分かるほど笑いを堪えているように感じ取りひろの表情は雨谷とうって変わり雲行きが怪しくなってくる。が、そんな事を雨谷が分かるはずもなくひろが予想していた以上の提案を口にする。

「今から学校に来てくれ!もう少ししたら妖精探検の練習がてら学校の肝試ししようぜ。なんか今日は職員会議があるらしくて結構遅くまで学校が開いてるらしいんだわ!だからチャンスなんだよ!チャンスって言うのは目の前にあったら飛びついてゲットしないとダメなんだよ!分かる?この俺の熱々な気持ち」

すぐにでも電話を切ってしまいたかったがあまりにも熱いテンションで語ってくるものだから切るタイミングを見失ってしまう。勢いのまま頷かせられ仕方がなく学校に駆け足で向かいだす。電話でこそ雨谷のテンションに押されぎみで雲行きが怪しかった表情もどこか期待がこもった笑みへと変わって行く。夜の学校にクラスメイトと練習ではあるけど探検ができるなんてよく考えなくても男子ならばワクワクするに決まっている。次第に駆ける速度が速くなっていく。空を見上げてみると満面の星空とまではいかないけれどキラキラと輝く星が多く顔を出し始めていた。きっとなにかが起こる。ひろは夜空を見つつ、淡い期待感を直感で感じ急ぎ学校へと向かう。

本日は文字数が大幅に少ないですが区切りがいいのでこのまま投稿させていただきました。目標の10万文字に近づいてきたので、赫姫、それはそうなるもの、smArt Starの物語の更新も再開させていただきます。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ