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紅/零  作者: 大夜
4/9

ちょっと一息 使用人のデザート

これまでの流れで世界観が全然描写できていなく、不明な点が多々あると思ったのでとりあえず簡単な説明をこの前書きでさせていただきます。


ワンダークラン


一時は魔法使いであり、近年急激に発達した科学力を使う魔王センテに支配された世界。


登場人物


勇者 19歳、身長178cm変身後150cm 体重66kg変身後40kg ボサボサの髪にやや野性的な目をしている、肌はやや黄色がかかった肌色で性格はやや俺様主義、引きこもり。


トルテ 21歳、身長162cm 体重??kg 少女のようなボブカットに切れのあるやや細い目、肌は色白で性格は破綻している。唯一人の勇者の使用人、実は勇者の散髪までしている。何でもござれの使用人。


クリス 15歳 身長152cm 体重43kg ウォルトー国の重工企業会社の若き社長 シナプスを開発した人ではない



世界情勢


18歳で成人、義務は無いが、一般的に何かしらの職について働き始めるか、さらに進学するかの二択。


教育機関は上から19~22歳の成習(せいしゅう)、16~18歳の境校(きょうこう)、12~15歳の未門(みかど)、9~12歳の(もえ)の四つがある。


魔法が存在する。主に魔法を使える人は万人に一人程度でしかも上達する事が難しく、魔法使いと呼ばれるものはこの世界には稀である。さらに近年発達していた科学の方が効率的で生産性があるため、国に一人か二人が相場である。何故魔法使いが生まれてくるかは不明。


国や町はほとんどが城壁で囲まれており、さらにその国の領域や領海が決まっていて、たまに領域が重なったりするとミッドガルズの仲裁のもと、公平に分けられる。


まだ劇中では描かれていないが、ミッドガルズは改名され、王都レシオン(王様の名前)へと変わっている。


移動手段は主に荷馬車などで他と比べえらく前時代的である。飛行機は無く、空を飛ぶ手段は魔法のみ。


人以外には、牛や豚などの家畜や現実とあまり違いは無い、そしてモンスターなどは存在しない。



といったところですね、矛盾してたり、これはおかしいと感じた方はぜひメッセージをください。


では本編です。


ピロリ、ピロリ、ピロリ………ピーーーーーーーーー


「出来上がりました!大変熱くなっておりますので十分程冷ましてからご使用ください」


 午後になり、また食堂でアルと合流した俺は約束通りにシナプスを手に入れるため、シナプスハイデルベルク支店に来ていた。その店は寮から学校までの間にあり、距離は歩いて5、6分程度の場所にあったのだが、小さくて目立たない外装だったからアルと来てなかったら確実に辿り着けなかっただろう。


「ありがとな、アル、助かったぜ、にしてもあっという間に用意されたな…って熱ッ!」


 俺は店内で出来たてホヤホヤのシナプスを両手で転がしながら見る。マジで熱い。

「あまりはしゃぐなよウェイン、それに焼きたてのシナプスはあまり衝撃を与えちゃ駄目だよ」

「焼きたて?シナプスって焼いて出来てるのか?」

 改めてカウンターに置き、よく見ると煙のような湯気のような白いもやもやが発生している。

「シナプスは性能や形状は大体一緒なんだけど一つ一つにそのシナプスだけの個別情報っていうものを最後に焼き付ける必要がある、そうしないとシナプスの通信機能が使えないからね」

「個別情報?」

 これはしっかり説明してもらった方がよさそうだ、今後embodyでも活用できるかもしれない。

「っていう説明をされたけど僕にはさっぱりだったよ、便利だから別に原理なんてどうでもいいし」

 なんだそりゃ、期待させんなよ。

「もっとも、ウォルトー国は詳しい原理を隠してるんだけどね、貿易で有利になるために」

 あぁ、なるほどな、確かに誰にでも原理が知られてしまえば開発者には不利益だからな。

「そうか、詳しく知りたかったんだがな、残念だ」

 クリス(あいつ)なら詳しく知ってるかな?


 この時にシナプスの原理と盲点に気付かなかったことで後に大失敗に繋がってしまうのだが……それはまだ先のお話。




「何か、甘いもんが食いてぇな」

 シナプスハイデルベルク支店から帰ってきて寮の玄関で真っ先に思ったことはそんな事だった。何かやたらすっぱくて苦いもん(梅干)ばっかリ食べたせいか口内が唾液まみれで気持ち悪い、出来れば美味しいお茶に甘いケーキが欲しいな。

「もっと早く言えば、良い喫茶店知ってたんだけどね」

 俺の呟きにアルが答える。そうなのか、でも今から出かけるのは何か面倒だな、こういうときは……


「お呼びでしょうか?」


 ……どうしたもんかなぁ、そういえば寮に購買があったような……


「こ、こんにちは、僕はアルマっていいます、あなたは昨日から食堂に入った方ですね、よろしくお願いします」


 お茶は……まだ予備があったっけな?後はembodyでお湯を沸かせば完璧だな。


「はいアルマ様、私はトルテと申します、今後よろしくお願いします」 


 じゃあ早速購買に行くか………ってあれ?


「トルテか、いつの間に居たんだ?」


 まぁ気付いてて無視してたんだけど。

 だがその程度の言葉ではトルテの表情は崩れない。


「私はいつでもお傍にいますよ」


 その台詞は日常生活でしかもトルテから言われると頼もしさより恐怖の方が大きく感じる。

 何でだろう?


「なぁウェイン、聞きそびれてたけど二人ってどういう関係なんだ?」


 しまった、アルの事を忘れてた。



「に「親戚だ」………はい」



 コイツ……今なんて説明しようとしたんだ?


「へぇ親戚なんだ、随分と仲がよさそうですね」


「それはもう夜の「昔からの付き合いでな」…………」


 トルテが何か言いたげな目で俺を見てくるが無視する、だが文句を言いたいのは俺もなので後でピコハンでもお見舞いしておこう。

 アルのほうはなにやら思案顔で俺とトルテを見て、なにやら納得したように笑顔になりトルテに話し掛ける。

「にしても食堂にトルテさんのような綺麗な方がいることでこの寮が華やかに感じますね」

 そうなのか、俺の屋敷は微塵も華やかさなんて無かったけどな。

「そうでしょうか?これまでにそのような事は言われた事がありませんので……」

 と言いつつトルテは無表情でこっちをジトっと見る。なんでそんなもの言いたげに俺を見るんだよ?

「それはあなたの周りにいた人たちの目が節穴だったのでは?」

 節穴で悪かったな、だがその台詞はそっくりそのままお返しするぜ。トルテは外面のいい猫かぶりだってことに気付いてないだろう?


「確かにそうかもしれませんね♪」


 よし、ピコハンから木槌(きづち)に変更だな。

「そ、それはともかく、先ほど私が試作のケーキを作ったので良ければいかがでしょうか?」

 何か悪い予感でもしたのかトルテは慌てたように話題を変えた。

 まあいい、今回は見逃してやろう。


「いいんですか?では喜んでいただきます」


 どうやらアルも何か感じたのか話をあわせる、でもこれは丁度いいな。


「そうだな、甘いものが食いたかったところだ」


 そしてトルテに案内され寮の生徒が立ち寄らない事務員室に向かった。





「お待たせいたしました、こちらが試作のケーキ『小悪魔トルテ』です。上質なバウムクーヘンに濃厚な生クリーム、二つの食感に仄かな梅干、この贅沢は小悪魔の仕業、でございます」


 柑橘系の香りがする紅茶とともに出されたケーキは一見したところ普通のショートケーキだった。

 苺の代わりに梅干が乗っていることを除けば。


「小悪魔の仕業というより悪魔のいたずらだな」

 悪意しか感じねぇよこのケーキ。

「なかなか斬新な発想ですね……」

 アル、無理して褒めようとすんなよ、どう見てもゲテモノの領域だからコレ。確かに梅干は旨いけど生クリームとか絶対あわないだろ。

「いただきます……」

 アルは笑顔でそれをフォークで一口サイズに崩し、優雅に頬張る、一瞬口の前でフォークが止まったような気がしたけど恐らく強烈な(シソ)の香りがしたからだろう、しかしそれでも食べた勇気はたいしたもんだ。

「おいしいか?」

 俺の方はのんびりと紅茶を飲んでいる、いやしっかしマジでこのお茶美味いわ、いやホント半端無いわコレ。さすがトルテだな。

 アルはゆっくりとフォークを置き、そして紅茶を一口飲んで口を開く。


「素晴らしいです、初めての味でなんと表現したものか……とにかく他に無い味です!」


 器用においしいかまずいかという言葉を使わずに……よくそんな褒め言葉が出てくるな。

 おかげでトルテが珍しく調子に乗ってニヤニヤしてるじゃないか。


「そうか、だったらもう一つどうだ?今日店まで案内してくれたお礼にさ」


 そういいつつ小悪魔トルテをアルのほうに押し付ける。

「いや、そんな礼には及ばないよ、それに僕は糖分を制限をするようダウナーに言われていてね」

 ちっ、駄目か。

 仕方ね、先に梅干だけ食っちまえば後は普通のケーキになるだろ。

 覚悟を決めて梅干を口に含むんだ。


「ん?」


 全然しょっぱくないぞ、それより全然甘い、噛み応えもあってなかなか旨いぞ?

「大変失礼しました、ウェイン様の方は梅と間違えて杏を使用していました」

 ……杏くらい知ってるぞ、だけどどうやったら梅干と杏を間違えるんだ。


「残念だねウェイン、どう?こっちも食べみない?」

 アルが恨めしそうに俺を見てこっちに小悪魔トルテを勧めてくる、まったく往生際の悪いやつめ。

「遠慮しておく、人様の食いもんに手を出すなと爺ちゃんから言われて育ったんでな」

 するとアルはそっかと心から残念そうに呟き自分のケーキにフォークを落とした。

 

 俺たちが二人共ケーキを食べ終えた後にトルテが食器を片付けながら




「また試食してくださいね?」




 と笑顔で言って、その言葉にアルが泣きそうな顔で頷いていた。

 ……もし食堂にあのケーキが出てくるようなことがあれば確実にアルの責任だ、絶対恨んでやる。

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