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第2話 測られる力

どうもみなさん。初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。雨時雨です。

今回は第2話です。以外にもストックがあるので少し投稿頻度は早いかもしれません。

「では、これより魔法適性の測定を行う」

老人の合図で、兵士たちが動いた。

石造りの床の中央に、水晶のように透き通った球体が据えられる。

「これは《魔力感応晶》」

「手をかざすだけで、体内に眠る魔力の量と性質が分かる」

ざわめきが広がる。

「テストじゃん」

「成績みたいなもんか?」

その空気に、俺は嫌な既視感を覚えた。

——結局、ここでも評価されるのか。

最初に呼ばれたのは、クラスでも目立つ存在の一人だった。

スポーツ万能で、いつも自信満々な男子。

彼が水晶に手を置いた瞬間、

眩い光が弾ける。

「おお……!」

水晶の中で、赤い光が激しく渦を巻いた。

「炎属性、高魔力量」

「初期段階としては、極めて優秀だ」

周囲から、どよめきと羨望の声。

彼は誇らしげに笑った。

——一方で。

次に呼ばれた生徒の水晶は、かすかに淡く光っただけだった。

「……魔力量、低」

老人の淡々とした声が、残酷に響く。

表情が、凍りつく。

それを見て、俺ははっきり理解した。

このテストは、希望を与えるためのものじゃない。

現実を突きつけるためのものだ。

そして——

「次、名を呼ばれた者、前へ」

呼ばれて、俺は一歩踏み出した。

視線が集まるのを、肌で感じる。

水晶の前に立ち、深呼吸をしてから手をかざした。

——何も起きない。

光らない。

揺れもしない。

「……?」

ざわめきが、遅れて広がった。

老人は水晶を覗き込み、もう一度俺の手を見る。

杖を軽く振り、測定をやり直した。

それでも結果は同じだった。

「……魔力反応、なし」

一瞬、言葉の意味が理解できなかった。

「魔力……ゼロ?」

誰かが、信じられないという声で呟く。

「そんなことあるのか?」

「壊れてるんじゃ……」

老人は、ゆっくりと首を振った。

「この水晶が誤ることはない」

その言葉で、胸の奥が冷え切った。

——魔法は、学べば誰でも使える。

そう言ったのは、あんたたちだろ。

「魔力を一切持たぬ者は、この世界では——」

老人は、言葉を選ぶように一瞬だけ黙った。

「戦力外だ」

その宣告は、容赦なく突き刺さった。

だが。

「もっとも」

老人は続ける。

「我々は、その可能性も想定している」

彼の背後から、別の魔導士が小さな祭壇を運んできた。

「魔力を持たぬ者には、スキル授与を行う」

俺は、半ば機械的に祭壇の前に立たされた。

「授与されるスキルは、完全にランダムだ」

「当たりもあれば、外れもある」

——運任せ、か。

祈るしかなかった。

光が降り注ぎ、意識が一瞬遠のく。

頭の中に、無機質な声が響いた。

《スキルを授与します》

《スキル【サイコロ】を獲得しました》

《スキル【マリオネット】を獲得しました》

「……え?」

周囲がざわつく。

老人が、眉をひそめた。

「【サイコロ】……効果不定、完全運任せ」

「【マリオネット】……魔力糸による操作系、

だが魔力を持たぬ者には実質使用不能」

——ハズレ、だな。

誰かが、はっきりそう言わなくても分かった。

「……魔力ゼロで、ハズレスキル二つか」

「終わったな」

笑いをこらえるような声が、耳に刺さる。

俺は俯いた。

だが、そのとき——

老人だけが、俺から目を離していなかった。

「……いや」

その小さな呟きは、誰にも届かなかった。

魔力ゼロ。ハズレスキル。

それが、この世界で“最弱”を意味することを、

俺はこのとき、はっきり理解した。

適性テストが終わったあと、

俺は自然と、クラスの輪から外れていた。

誰かが明確に「近づくな」と言ったわけじゃない。

ただ、距離があった。

「あいつ、魔力ゼロなんだろ?」

「スキルもハズレらしいぞ」

ひそひそとした声が、やけに鮮明に聞こえる。

「戦えないなら、足手まといじゃね?」

正論だ。

反論できる言葉なんて、持っていなかった。

王国の兵士たちは、魔力量の高い生徒たちを前に集め、

今後の訓練について説明を始めている。

俺の名前は、呼ばれない。

——最初から数に入っていない。

石壁にもたれて座り込んでいると、

足音が一つ、近づいてきた。

「……なに一人でいじけてんの」

聞き慣れた声だった。

顔を上げると、そこには幼馴染が立っていた。

彼女の名前は大門莉奈。

地球でも、席が近くて、

小さい頃からなんとなく一緒にいただけの関係。

「みんな、向こう行っちゃったよ?」

そう言いながら、彼女は俺の隣に腰を下ろす。

「行けばいいだろ」

ぶっきらぼうに言うと、

彼女は少しだけ眉をひそめた。

「やだ」

即答だった。

「魔力がゼロでも、あんたはあんたでしょ」

その言葉に、胸の奥が少しだけ痛んだ。

「……戦えないぞ、俺」

「じゃあ、戦わなきゃいい」

あっさりと言われて、言葉に詰まる。

「サイコロ? マリオネット?」

彼女は俺のスキル名を口にする。

「正直、意味分かんないけどさ」

そう前置きしてから、続けた。

「でも、あんたって昔から

変なとこで諦め悪かったじゃん」

言われて、思い出す。

テスト前に徹夜して、

部活でも補欠でも辞めなかったこと。

「……変わってないよ」

「なら大丈夫」

彼女はそう言って、少しだけ笑った。

その瞬間、

背後から冷たい視線を感じた。

振り返ると、

高魔力組の中心にいる数人が、

俺たちを見ていた。

——線は、もう引かれている。

こちら側と、あちら側。

それでも。

俺の隣には、まだ一人、残っている。

この世界で最初の味方が、

幼馴染だったことだけが、

唯一の救いだった。

いかがでしたでしょうか。もし、面白いと思った方はこれからも応援をよろしくお願いします。

前回言い忘れていましたが、問題点(誤字、脱字)などがあった場合には、ご報告をお願いします。

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