炎の天使(修復者視点)
私は炎の天使と、自室で話すことにした。
「えーと……堕落の王を倒して、魔王になりました。設備とか、その後のこととか……どうかしましたか?」
炎の天使は、少し間を置いてから口を開いた。
「これまで、堕落の王との正式な条約は存在していなかったのです。私の仲間も、あいつにそそのかされて堕落しました」
そうして、これまでの経緯を詳しく語られる。
私は、堕落の王が統治していなかった時代の契約を結び直し、それを差し出した。
ただ、一つだけ疑問が残る。
「今回は私が統治してるけど……もし他の誰かが魔王になったら、この約束は守れないよ? それでもいい?」
炎の天使は、露骨に嫌そうな顔をした。
それでも目を閉じ、静かに頷く。
「人間の貴方が魔王である時点で異例ですが……今回は例外として認めましょう。後ほど、あの者に問い詰めます」
そして、声を落として付け加えた。
「天界は……貴方の存在を“例外”として扱うしかないのです。魔界が平和になれば、天界の秩序が揺らぐ」
問い詰める相手は赤髪の悪魔だろう、と私は勝手に思い込んでいた。
その瞬間、背後から顔を覗き込まれる。
「私のこと、考えてませんよね? 修復者」
驚いて椅子から転げ落ちた。
……いつの間に、背後を取られていた?
「い、いや……問い詰める相手は、貴方しか思い浮かばなくて」
炎の天使の表情が、わずかに曇る。
「まだ記憶が戻っていないのですね……なぜです? ここまで力を発揮しているというのに……これでは……」
赤髪の悪魔は、微笑んだまま告げた。
「もう復活しますよ。兆候は、すでに出ています。あの方が目覚めれば、すべてが繋がる」
そこへ、龍が割り込んできた。
私の周囲をとぐろを巻くように囲み、守るかのように。
「記憶が戻るって……どういう意味? “あの方”って誰? 修復者を取らないでよ」
龍の声には、嫉妬と不安が滲んでいた。
腕は震え、尾が私を包み込む。
思わず、私は小さく笑ってしまう。
龍の手を引き寄せると、甘えるように身を寄せてきた。
それを見て、炎の天使と赤髪の悪魔が同時に咳払いをする。
話はそこで一区切りとなり、私は布団に潜り込んだ。
眠りに落ちる直前、誰かの声が聞こえた気がした。
「……修復者……修復者……」
聞いたことのない声なのに、胸が痛む。
何度も、両耳から響く。
誰?
胸の奥がざわつく。
何かが、近づいてくる。
それなのに、懐かしい。
まるで、母のような存在を思い出すようで――
私は、その感覚に気づかないふりをした。
この先、何が待っているか分からない。
だから私は龍を呼び、悩みを聞いてもらうことにした。
「大丈夫……僕が守るから。安心して、寝てね」
龍は離れず、落ち着いた声で私を宥め続けた。
皆様どうも作者の旅人です。
ついに……Xにてアカウントを作りました。このアカウントで告知などしていこうと思います。
https://x.com/NwRb8xf
検索いただければと思います。
それとそろそろ完結に近づきました。ここまで読んでくださった読者の皆様には感謝をしております。新作も作りはじめてますので、よろしければお楽しみにしてください。




