修行の日々(修復者視点)
私は赤髪の悪魔に弟子にしてもらってからは、分厚い本を渡された。
「ここに天界のルールが書かれてますので、ちゃんと勉強するように」
イメージでは聖書よりも大きく分厚いページが積み重なり、それが百冊以上あることに、私は普段仕事をしながらも目線に合わせて読んでいく。
はたから見れば普通に仕事をしているが、私の目線は目の前に本が浮いており、見ながら勉強していた。日常生活には支障はなく、普通に生活ができる。
「そろそろある程度は覚えましたか?」
赤髪の悪魔は突然現れる……心の中で、
『今は仕事中だよ……話せない』
赤髪の悪魔は笑いながらも、
「ではそろそろ話しましょうか……心の中での返答で構いません。天界のルールを覚えましたか?」
私は正直に言うことにした。
「いいえ……私たち人間にとって矛盾になる事の内容が多いと思います……何故善悪について書かれていないかが不思議です」
赤髪の悪魔は微笑みながらも答えてくれる。
「では善だけの世界では平和すぎますし、なんなら機械のような世界になるでしょうね……幸せという物がわからなくなると思います」
私は気づく……悪魔も神も、私たち人間みたいな迷って後悔していくのがない事を。
「私は一時期悪魔になりたいと言ってましたが……やっぱり人の方がいいです……」
赤髪の悪魔は私の椅子の横に立ちながらも、
「私たち……悪魔やその他のものは感情がありません……だから人間がどちらにもなれることに羨ましいと思うことがあります。私たちには五感はありませんが、貴方を通して感じる事ができます。感覚の共有ですね」
私はハンバーグを食べながら……赤髪の悪魔を見ると、赤い蛇になっており頭に乗っかっていた。
「重いです……ついでに頭が痛い……」
赤髪の悪魔はとぐろを巻いて寝てしまった……そして家に帰り、乱暴に自分の部屋を開けて引き出しの中にあるタロットとオラクルを取り出して練習する。
「はぁ……まだまだか、逆位置てっ」
私は何かに気づくと急いで振り返り、向こう側の武器であるショートソードを構える。
「気づいていたか? アンタ……中々筋良いじゃねぇーか」
そう、堕天の王と同格の上級悪魔の一人だった。快楽や誘惑をする悪魔でもある。
甘い香りを漂わせ、魅惑的な笑みを浮かべ、触れれば心を溶かすような存在。
「何の用だ? やり合うならば私に対して攻撃しても無駄だ……その力を奪い権限を外すことになる」
その悪魔は不敵な笑みを浮かべながらも、
「取引しねぇか? とびきりの快楽や甘い人生を送らせてあげるよ」
私は首を横に振りながらも、
「断るよ……そんな偽りの幸せ等いらない」
その悪魔は近づき、私を触る。
「その心は、嘘をついているよ……願うものがあるんだろ?」
私はその悪魔に警戒をしながらも距離を取った。
この誘惑をどう切り捨てるか…選択する時間が迫った。




