毒の調合をする
私は以前に毒を飲まそうとする子を連れて研究する事にした。
研究室は、巨木の根元に掘られた洞窟のような場所だった。
壁は黒い石で覆われ、無数のガラス瓶が棚に並び、紫・緑・赤の毒液が泡立ち、禍々しい光を放つ。
蒸気が立ち上り、甘く腐った香りと鋭い刺激臭が混ざり、
調合台には奇妙な器具──蛇のような管、溶岩のような釜、棘付きの匙──が散らばる。
分体たちが忙しく動き、毒を混ぜ、蒸留し、瓶に詰める。
空気は重く、触れるだけで痺れが来るような、危険で魅力的な空間。
「この毒めっちゃいいねぇー飲む度にますます深くなる」
私の分体たちは、基本的に毒や麻痺等の影響を受けないが、感じることは出来る。人間の世界で言う麻〇であることは変わりないが…その中でも一際毒に魅了されて分体がいた。
「飲みすぎだ……足がフラフラになってるぞ」
これからこの分体は食毒好きと呼ぶか……
「原初様が〜3人いるぅ〜」
私はその状況に目を伏せながらしょうがないな……と思い、火の中に入れて浄化させるのと回復させる。出てきたら……吐いとるし。
「はぁ〜気持ち悪い……」
自業自得だ……というかこんな分体作り出してしまった。私の責任だが……ここまで物好きになるとは(毒限定)。
「ほら……ゆっくり息吸って吐いて」
食毒好きは……何か調合していたが気にしないようにする。
「遊びに来たよ〜」
あの子が来て……調合済みの瓶の前に立ちながら毒を飲もうとしてたので、私は取り上げて
「これは飲み物じゃないよ」
あの子は私にくっつきながら、
「えぇ! 貴方は飲めるのに、私は飲めないのよ!」
私は率直に、毒好きを呼んで
「これは毒だ……飲んだらひとたまりもない威力だよ」
あの子は首をかしげると、私は食毒好きに毒を飲ませて見せる。私の分体故に、感覚も共有されるため
紫と黒の混ざった禍々しい毒液が、喉を焼くように流れる。体が痺れ、視界が歪むのを感じた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛! いきぐるじぃ……」
気絶したようだ……あの子は、理解したようで、
「あぁ〜私はこれで〜」
私は、あの子と共に研究室から出て、体の状態や記憶などを聞く。あれから欠片や話をしてきたが、記憶が戻る前兆はない。
「うーんと、寝てた時にね! 悲しかったのと、大切な人かな? 消えた夢なら見たよ」
私は、あの子に自然に聞く。
「大切な人は覚えているか?」
あの子は首を振りながら、
「覚えてないよ。でもね、黒いモヤモヤがいた感じ」
黒いモヤモヤ……私の渦か。
あの子が、私を失った悲しみを、夢で感じてるのか。
私は、あの子を抱き上げて、巨木の元へ訪れる。
幹は空を突き、枝が星空を覆うように広がり、葉から淡い光の滴が落ちる。
根は大地を這い、生命の脈動を感じさせる。
周囲の森は静かで、風が葉を揺らす音だけが響き、
すべてが繋がっているような
2人だけしか存在しなかった時に、ここで出会った場所であり、それがきっかけでいつもここで遊んでいた。私は、あの子に
「いつかまた会えたらいいね……大切な人が」
あの子は、小さい体ながらも飛び回る。
「うん!」
私はその光景を見ながら微笑んだ。きっと記憶が戻ることはないだろうと感じながら…




