剣の正体(修復者視点)
眷属は、俺の事を狼さんと呼ぶが、まぁいいや……。この剣は貴重な鉱石で作られた代物だ。
しかし……いつになったら眷属は記憶が戻るのかだ……。
やっぱり修復者としての俺はちゃんと記憶が残るが、眷属は残らない……。やはり……エネルギー体の父親は違うようなのだな……。
『狼さん? 剣を出して欲しいんだけど?』
俺は剣にしがみついて、
「断る……これは俺のものだ!」
眷属は困惑してるようだが、
『薬師さんに見てもらおうと思ってるの……悪魔さんにもこの剣について話せるだろうし』
俺は無視をしていく。
『狼さん! お願いだから声かけてよ……』
どうやら薬師はその光景を見ているようだ。
「仕方がありませんね……それほど、見せたくない物なのでしょう。いつしか見せられる時があるのかもしれません。」
眷属は落ち込んでいるが、そんなに落ち込む事か? それに眷属は疲れてるだろうし、早めに寝て欲しいのがある。
「おい……剣よりもお前の体調第一優先だ! 早めに寝ろ」
眷属は薬師と別れて、家に着き寝た所で、俺は活動再開することにした。
眷属の体から抜けた後に、人型の姿へと変貌する。
鏡で俺の姿を確認する。眷属と瓜二つの顔だが、人間の身体に狼の耳と尻尾が生えていた。
「悪くはないな……」
剣を握る。
瞬間、剣が震えた。
隕鉄の波紋が、青く強く輝き、まるで星の渦が動き出したようにうねる。
柄から温かさが伝わり、魂の奥まで染み込んでくる──
まるで、長年待っていた主をようやく見つけた、喜びの脈動だ。
剣が、俺を認識した。
長年、持ち主を失い、眠っていた神器が、
やっと「これが主だ」と喜んでいるような、
静かな共鳴。
「この剣……俺を待ってたのか?」
剣の刃を月光に翳す。波紋が渦のように流れ、
まるで■■様の渦を映しているようだ。
そしてその剣と共に夜へ駆け出す。
森の奥、村の外れ──怨念が濃い場所だ。
最初に現れたのは、ぼんやりとした人影の悪霊。
恨みの声が風に乗って聞こえる。「返せ……私の命を……」
冷たい気配が肌を刺す。影が伸び、俺の足を絡め取ろうとする。
俺は剣を抜いた。
一閃。
剣が空気を裂く音が響き、悪霊の影が真っ二つに斬れる。
切断面から黒い霧が噴き出し、怨念の叫びが夜空に溶けて消えた。
剣の刃に、青い波紋が一瞬強く輝いた──まるで喜ぶように。
次は妖魔──獣の姿をした、腐った肉の臭いがするもの。
牙を剥き、飛びかかってくる。
俺は身を翻し、剣を横薙ぎに振るう。
刃が妖魔の体を容易く切り裂き、内側から魂の光が漏れ出す。
妖魔の断末魔が森に響き、血のような黒い液体が飛び散る。
剣は汚れず、ただ美しく輝くだけ──主の手に戻った喜びを、斬るたびに表現するように。
さらに群れの悪霊が湧き出る。
怨霊の顔が歪み、恨みの手が伸びる。
俺は剣を構え、連続で斬り払う。
一閃、また一閃。
剣の動きが、まるで舞のように流れる。
悪霊の体が霧散し、魂の欠片が夜風に舞う。
剣の力は、俺の修復者のエネルギーと共鳴し、
斬るたびに力が湧き、心地よい爽快感が広がる。
剣が、俺に囁くような気がした。
──やっと、見つけた。
「この剣気に入った! 俺の相棒にする。」
だが、斬り終えた後、静けさが訪れる。
剣を鞘に戻し、そして囁きが聞こえる。
……何のために、私の力を使う?
すると、まさかの薬師と出会ってしまった。
「おや? 狩人の狼……その剣がもしかして」
俺は剣を鞘に戻して、
「あんたに会うとはな……そうだ。この剣の力を試すためだ」
薬師はその剣を見て、懐かしそうにしていた。
「その剣は、私が幼い頃に国王がお持ちになっておりました。
しかしその一ヶ月後に、その剣とともに謎の死と剣の紛失がありましてね」
俺は耳を疑う。
「まさか……お前は…なぜこの地にとどまる 残れば幸せな人生だったのでは?」
薬師は懐かしそうに、でも少し悲しげに続けた。
「私にはあの生活が苦しかった…裏切りと嘘が多いあの世界にはもう居られなかった。出家して、今この村にたどり着きました。
ボロボロだった私を村の皆が匿ってくれましてね。
その恩返しで薬師として人を診て、病気を治す事を誓いました」
俺は、それを聞いて納得すると、
「そうか……」
薬師と別れて眷属の家に戻ると、彼は穏やかに眠っていた。
俺は剣を見ながら、
「何のために俺はこの力を使うのだろうか……」
考えさせられた。
薬師との会話で、己の存在──修復者としての役割は何のために当てられたのか……。
深く悩む事になってしまった。
魂の奥で、渦のような疼きが広がるのを感じた。
■■様の声が、遠くから聞こえるような気がした。




