表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつかまた会えたならば  作者: 旅人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/86

羊飼い達(眷属視点)

 僕は、年に1回の羊飼いたちが来る時期を楽しみにしていた。

 何故ならば、彼らは占術に詳しい人たちで、ついでに交易品の羊肉も美味しいからだ。

 僕は急いで前に仕掛けた罠の場所に森へ入り込み、険しい道筋を越えながら罠を確認すると、鹿やうさぎなどが捕らえられていた。

「やった! 上手くいった!」

 そう! 僕の初めての捕獲成功だったからだ。僕は喜びながら獲物を仕留めて持ち帰る準備をする。

「なんだ! 上手くいったのか?」

 狼が起きたようだ。どうやら捕まえた獲物を確認していたようで、僕は狼さんに言った。

「1週間後に羊飼いが来るから、物々交換ようにね」

 狼さんは意図を理解して、心の中で答えた。

「はやく解体しないとな! 1週間後に来るんだろ? 早めに燻製肉のソーセージを作れ! ハーブと野草の場所は教えるから」

 僕は、狼さんの手助けで山の野草やハーブを見つけて、さっそく仕込む。父に教えてもらった通りに。

「これで多分交易品はできてるはず」

 たくさん吊るされている。そう、燻製のソーセージは贅沢品の一つであり、旅をする人にとっては大切な保存食だからだ。

「こんなに沢山のソーセージか…どんくらいで羊貰えるんだ?」

 狼さんも尻尾を振りながら、心の中でめっちゃ可愛い仕草をしていた。

「まだまだやる事あるよー。うさぎとかも山小屋で血抜きしてるから、それも取ってこないと」

 僕は、また山に入り山小屋へ急ぐと、

 突然、背後に重い息づかいが聞こえた。

「おい! クマが後ろについてきてる!」

 心臓が跳ね上がる。巨大な影が木々の間から迫ってくる。茶色の毛皮、鋭い爪、血走った目──森の王だ。

 僕は、父から教えてもらったクマの対処方法を実践することにした。

 この時代、クマに狙われたら逃げずに誘導する。落とし穴の罠へ。

 全力で走る。足元は落ち葉と泥で滑り、息が切れる。体が疲労で重く、汗が目に入る。

 狼さんは霊体で僕の前を走っていた。

「右だ! 木の陰に隠れろ! 奴を罠へ誘え!」

 クマの咆哮が背後で響く。地面が震える。爪が木を裂く音、息の熱気──死の匂いがする。

 僕は地形を記憶で辿る。岩を飛び越え、倒木をくぐり、急斜面を滑り降りる。

「横に飛べ! 下が罠だ!」

 僕は横に急いで飛び、茂みの中に入り込む。

 ドン!!

 巨大な衝撃音。クマが落とし穴に落ち、底の尖った木の棘に突き刺さる咆哮が森に響いた。

 でも、まだ終わらない。

「まだこいつ生きてる! はやく斧で首を切り落とせ!」

 狼が威嚇しながら叫ぶ。魂の奥で、生存本能の意志が熱く燃える。

 僕は震える手で斧を握り、穴の縁に近づく。

 クマは棘に刺されながらも暴れ、血飛沫が飛び散る。土と血と獣の臭いが鼻を突く。

 一瞬、足がすくんだ。死ぬかもしれない。

 でも、狼の声が背中を押す。

「やれ! お前ならできる!」

 僕は飛び込み、斧を振り下ろした。

 一撃。

 二撃。

 首が落ち、クマの体が静かになる。

 血まみれの斧を握ったまま、僕は膝をついた。

「死ぬかと思った……」

 狼さんは、静かに寄り添う気配を見せた。

 騒ぎを聞きつけた猟師たちが来ており、

「なんと! 少年……大人の仲間入りだな」

 そう……僕の家系は、一人でクマと戦うことで一人前となる。

 猟師は角笛を吹き、徐々に猟師たちが集まり、今日の獲物を運ぶ。

「息子よ……無事でよかった……そしておめでとう。これからは成人だ」

 そして盛大に村はお祭りとなった。

 魂の奥で、狼が優しく息を吐くのがわかった。

「成長したな…」

その夜は、1人前の証として狩猟の弓と専用のナイフを貰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ