妖もの
私は…旅をしながら歩いていると、集団に囲まれた。
「ここは誰の縄張りか知ってるのか?」
奴らは薄気味悪い声で嘲笑しながら、
「兄貴! こいつ一人ですぜ」
なんだろうか? キツネか? 耳と尻尾が特徴的な種族。黄泉の国近くでは、こんな魂を食らう妖怪もいるのか。
私は無視して歩くと、キツネの一人が剣を構える。
「へへ…久しぶりの食事だ」
私は、キツネの仲間を何人かを無力化して、そいつに近づいた。
「おい…この地図の場所まで案内しろ」
そいつは首を縦に振りながら、震えていた。
「わ、わかりました…でも…俺、何も食べてなくて……」
私は首を傾げながら、彼らが食べるものがなんだろうかと思った。
「何を食べてる?」
彼は緊張しながらも、
「魂を食べてます」
あー、いわばエネルギーを食べてるのか……。私は、エネルギーが凝縮した玉を渡した。
「それを食え…そして案内しろ」
彼は食べながら頷き、これでこの地に詳しい子たちを案内係兼ねて護衛としてもらうことになった。
長い道中の中で、彼らとは仲良くなった……。今では休憩する時は、彼らはキツネの姿になり甘えるように寄り添ってくる。
「首領様〜撫でて〜」
彼らのリーダーとなっていた。可愛いが、いつか別れなければならない。
「よしよし……」
そしてついに、中間地点の神社に着いた。彼らは入れないようだ。結界のようなものが、魂食いの者を拒んでいる。
「首領様……」
私は、神社の神にこの者たちを受け入れてくれる場所はないかと聞いた。
神は静かに微笑み、答えた。
「黄泉の国へ行く道中に、稲荷の総本宮と呼ばれる聖域がある。
そこは狐の使いが守る場所で、無数の赤い鳥居が千本も連なり、山全体を朱に染めるようにトンネルを作っている。荒ぶる魂が封印される為に今では神としておる。
あそこなら、キツネの者たちも自然に受け入れられるはずだ」
私は、その言葉に目を細めた。
赤い鳥居の連なり……私の世界にはない、鮮烈で神秘的な場所なのだろう
狐の使いが守る聖域なら、この子たちにぴったりだ。
私は感謝の意を示す。
「教えてくれてありがとうございます」
私は、周辺で旅の準備をしていた時に、キツネたちが質問してきた。
「首領様はなんで死の国へと行くのですか?」
私は、彼らを撫でながら答えた。
「過去に別れたあの子がいるんだ……」
彼らは、私に甘えながらも、
「首領様にとって大切な方を無くされても、我らがいますよ」
私は、微笑みながら星々を見上げた。
「ありがとう……少しだけ救われる気がしたよ」
私は思う……あの頃の世界にはもう自分は戻れないと。
あの子と私だけしかいなかった世界には。
でも、あの子ならきっと分かってくれるはずだ。
こんな世界でも、私が子たちを愛する気持ちを。
まずは、この子たちを連れて目指すは、稲荷がいる聖域へと赴いた。




